ブルーオーシャンインプル研『経営コラム(インプルリポート)』

-クリックするとインプルリポートが開きます-

1.会計識字力
2.借入金
3.黒字経営
4.財務諸表
5.資金
6.財務分析
7.安全性
8.経営計画
9.設備投資力
10.債務償還
11.支払能力
12.キャッシュ
13.損益分岐点
14.コラム
15.マーケティング
16.決算書
17.月次試算表
18.B/S
19.P/L
20.C/S
未分類


498.会計の読み方 短期・長期借入金

2021年1月16日 印刷用ページ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

新型コロナ感染拡大、第2回目の緊急事態宣言と、経営環境の変化は大きくそして厳しくなっています。

そんなときに必要になるのが経営状況の羅針盤である会計を読み解きながら経営の舵取りをすることです。

実務的な会計の読み方を習得しましょう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 借入金とは、一般的には融資と呼ばれる銀行借入金のことです。

事業には事業資金が必要ですが、いつも自己資本だけでまかなえると良いのですが、現実的にはそうもいきません。

そのような中で銀行借入である借入金を有効にかつ安全に活用したいものです。

 今回はそんな短期借入金の実務的な読み方です。

 

第9回 短期・長期借入金の読み方

 負債の中でも重要な資金の調達の一つが「借入金」です。

賞与支給や納税などで運転資金が足りないときや設備投資を自己資金だけでできない場合など、大変重宝する信金調達の一つです。

しかし、借入金は長期間に渡り元金に金利を加えて毎月返済しなければならないので、その管理は経営において大変重要です。

 また借入金は、大企業が増資などで市場から直接資金調達を行う「直接金融」に対して、「間接金融」と呼ばれます。

 

1.管理すべき借入金の種類

 まず、管理すべき借入金の種類を勉強しましょう。

借入金は一般的には金融機関からの融資ですが、会計では「ワン・イヤー・ルール」に則って、短期借入金と長期借入金に分けて

管理するように仕組まれています。

この「短期」「長期」という言葉は一般的に使用する短期・長期とは違い、”企業経営のマネジメントに資するため”に、

返済期間で厳格に分けるようにルール化されています。

 1.返済期間が1年以内であれば「短期借入金」に区分します。

 2.返済期間が1年超であれば「長期借入金」に区分します。

したがって、賞与支給目的や納税目的などを場合を除き、借入金のほとんどは長期借入金に区分されるかと思われます。

 しかし、長期借入金であっても1年以内に返済する部分はあります。

最近では経営マネジメントに資する観点から、長期借入金を1年以内に返済する部分を「1年以内返済長期借入金」に分けるように

ルール化されています。

*自社の試算表を見て長期借入金はあるのに1年以内返済長期借入金がない場合、依頼している会計事務所に問題があるかも

 わかりません。

借入金には「短期借入金」と「長期借入金」それに「1年以内返済長期借入金」の3種類がある!

 

2 借入金の運用目的

 借入金には3種類あることはわかりました。では、それぞれに標準的な運用目的はあるのでしょうか?

それは次の表示区分がヒントになります。

仮に短期借入金が900万円、長期借入金が2000万円(うち1年以内返済分が400万円)とすると、次の通りになります。

短期借入金900万円+1年以内返済長期借入金400万円+長期借入金1600万円=借入金総額2900万円

     流動負債 短期借入金900万円+1年以内返済長期借入金400万円=1300万円

     固定負債 長期借入金1600万円=1600万円

要はワン・イヤー・ルールに則って、流動負債と固定負債に分けられます。

 そうすると、流動負債は返済期間が短い他人資本ですから、短期借入は資金化が早い流動資産で運用することが基本となります。

間違っても短期借入を固定資産に運用することがないように、マネジメントしなければなりません。

 長期借入は固定負債ですから、固定資産(設備投資)に運用してもよいことになりますが、しかしそれにも限度というものが

あります。限度を超えない範囲で、つまり無理な設備投資とならないようにマネジメントしなければなりません。

短期借入は流動資産で、長期借入は固定資産で運用することが基本!

 

 さて、そんな『借入金』ですが、それをどのように読めばよいのでしょうか。 

読むといっても「いま借入が2900万円ある」とか、「昨年よりは減った・増えた」では読んだことになりません。

ただ計算しただけに過ぎません。

 では、どうすればよいのでしょうか?

それは多角的に借入金を比較することです。多角的に比較して会社の借入状況を読み、経営的な判断をすることです。

借入金を読むとは多角的に比較し、その残高の良し悪しを判断することです!

では、どんなものと比較をすれば良いのでしょうか?

 

3.借入総額の適正をチェックする

 自社の借入金総額の適正をチェックする尺度は何でしょうか?

資金の源泉は売上高です。この源泉の量と借入の量を比較するれば、適正の指標となりそうです。

借入金総額2900万円÷平均月商800万円=借入金月商倍率3.63カ月分 

 借入金が平均月商の3.63カ月分とはどういうことでしょうか?

たとえば、理想的な経常利益率が10%として、その半分は納税と内部留保へ回すと考えると、借入金返済には最大毎月、売上の

5%を回せるということになります。

3.63カ月をこの5%で返済すると、(363÷5=)72.6カ月、約6年返済にかかると計算できます。

いま長期借入金の返済期間は7年程度ですから、その枠の中に入っていますから「適正」の範疇と判断できます。

これまでは3カ月から4カ月程度が適正と言われていましたが、いまはコロナ禍で返済期限が伸びていますから、12カ月程度でも

適正と考えられます。

借入総額と平均月商を比べれば、借入総額の適正が判断できる!

 

4.借入総額の返済期間を試算する

 借入金の返済原資は何でしょうか? それを考えます。

それは「営業利益」です。しかし営業利益は「減価償却費」が差し引きされていますが、減価償却は現預金支出を伴いません。

よってそれを戻します。したがって、最大の返済原資は「営業利益+減価償却費」となります。

借入金最大の返済原資=営業利益480万円+減価償却費100万円=580万円

*営業利益ではなく経常利益でも良いのですが、経常利益は支払利息を差引いていますから、正しくは営業利益となります。

それを極論で「全額、返済に充てる」と考えます。そうするとどうなりますか?

借入金総額2900万円÷償却前営業利益580万円=債務償還年数5.0年

これは極論の試算ですが、1年間の儲けたキャッシュをすべて返済に充当すると5年間で返済できることになります。

実際は1年間に儲けたキャッシュの半分を充当すると考えると10年間となります。

 現在、金融機関では極論の試算で債務償還年数を見ていますので、5年であればまだ借入の枠はあると判定されます。

しかしこれが10年を超えると、10年先はもう企業存続自体が不明ですので、追加融資は厳しくなります。

現在はコロナ禍のため、その判断基準は緩んでいるように思われますが、しかし、企業の健全性から考えれば債務償還年数は

5年程度がMAXとして判断したほうが良いと思われます。

 

5.借入金を改善する方法

 最後に借り入れ状況を改善する方法について簡単に触れます。

(1)経営の黒字化、黒字化の拡大

 やはり、ここでも経営の「黒字経営化」、あるいは「黒字幅の拡大」になります。

黒字経営を続けていれば、そもそも借入をすることも少なくなり、また仮にしたとしても額が小さくなります。

そうすると月商倍率や債務償還年数も当然のことながら低くなります。

 ただし、同じ黒字経営でも、「適正な黒字経営」がこれからは大きな課題となってくると思われます。

適正な黒字経営とは、従業員の人件費をしっかり上げて、それでもきちんとした営業利益率を確保するということです。

(2)リスケジュール

 略して「リスケ」と呼ばれますが、現在の返済状況を改善するには金融機関に相談して返済期間を延ばすことが有効です。

 

6.まとめ

 以上をまとめますと、次のようなイメージとなります。

ぜひ、借入金をコントロールし、経営の安全性を高めるとともに、荒波に強い経営をしましょう。

 

 これまでも何度か申しあげてきましたが、会計は決算や税務申告のためだけにしている「事務」では、決してありません。

むしろ、会計は会社経営の判断をするために日々行っている「経営管理、マネージメント業務」なのです。

いまほど、経営者の『経営手腕』が問われているときはありません。

会計とそしてマーケティングを駆使して常に経営を革新し、永続的に続けられる企業経営を目指しましょう。

 

 

 

戦略を考えるにあたって重要なことは『思い込み』なるものを打ち破ることです。

私たちは思いのほか、思い込みに囚われて生活や仕事をしています。

そして、その結果が「いま現在である」ということを忘れてはいけないと思います。

違う結果を得たいと思うのであれば、『思い込み』を打ち破るしかありません。

-------------------------------------------------

インプルーブ研究所はITウェブサイト・マーケティング・経営会計で貴社の発展に尽力しています。

ぜひ、一度お話いたしませんか? お問い合わせはお気軽に コチラ から

-------------------------------------------------

 

« 1つ前の記事(Older Entries)   |