302.簿記の基本 貸倒れの仕訳

2017年3月12日

第10回 簿記の基本「貸倒れの仕訳」を知ろう

今回は少しマニアックな勉強です。 テーマは「貸倒れの仕訳」です。

ところで、貸倒れって、ご存知ですか?

そうです、取引先の倒産などによって、売掛金や受取手形の代金が回収できなくなってしまうことです。

このようなリスクは一定の確率で起こりえることです。

 

会計で貸倒れに関する仕訳をする目的は、単にそのようなリスクを経理的に織り込むことだけではありません。

実はそのようなリスクを織り込んでおくことで、万が一貸倒れなどの事故が起こっても会社経営に支障が起きないように、

常にそのようなことも踏まえて会社の経営状況を読むためのものなのです。

そこのところをよく理解してください。

そうすることで再三申しあげていますが、「会計はあなたの会社をいっそう強く」します。

 

1 貸し倒れの仕訳に使う勘定科目

  勘定科目とは、もうお分かりのとおり、「取引」を記録するための分類項目のことです。

  今回、貸倒れの取引を記録するために使う科目は

  資産科目の「貸倒引当金」、費用科目の「貸倒償却」の2科目です。

  ※貸倒償却を「貸倒引当金繰入」「貸倒引当金戻入」「貸倒損失」3つ分けて仕訳する場合もあります。

 

2 貸倒引当金とは

  貸倒れは一定の確率でどんな企業でも起こり得ることです。

  そこで決算時に将来貸倒れする可能性のある売上債権の額を試算し、これを「貸倒引当金」に計上します。

  貸倒引当金は資産科目ですが、特殊な科目でマイナス表示されます。

 

3 貸倒引当金の試算方法 

(1)実績繰入率に基づく計算

  ひとつは「実績繰入率に基づく計算」と云って、過去3年の貸倒れ発額に基づいて計算します。

(2)法定繰入率に基づく計算

  もうひとつは、「法定繰入率に基づく計算」があります。

  これは中小企業や公益法人等に認められた方法で、業種ごとに次のように繰入率が決められています。

   製造業1000分の8     卸売及び小売・飲食業1000分の10   金融・保険業1000分の3

   割賦販売等1000分の13  その他1000分の6

  たとえば、小売業で期末売上債権が500万円あれば、貸倒引当金は5万円となります。

  通常は「法定繰入率に基づく計算」で良いかと思います。

 

4 貸倒引当金を計上するときの仕訳

(1)初めての貸倒引当金の計上

  上記の例のように、貸倒引当金を5万円と見積もった場合は決算時に次の仕訳をします。

      貸倒償却(又は貸倒引当金繰入) 50,000  /  貸倒引当金 50,000

  [解説]左に費用科目の貸倒償却の計上ですから、販管費に「貸倒償却5万円」が表示されます。

      右は資産科目の貸倒引当金の計上ですから、流動資産にマイナスで「貸倒引当金5万円」が表示されます。

      そうすることで万が一貸倒れになった場合と同様に、流動資産は5万円少なく計算されることになります。

(2)2年目以降の貸倒引当金の計上

 ①増やす時

  たとえば2年目の決算の時、売上債権が増えて、貸倒引当金を試算すると8万円となった場合は次の仕訳をします。

      貸倒償却(又は貸倒引当金繰入) 30,000  /  貸倒引当金 30,000

  [解説]差額の3万円を計上することで、

      期末の販管費の「貸倒償却」には3万円が表示され、資産科目の貸倒引当金には前年の5万に3万が加算され、

      流動資産にマイナスで「貸倒引当金8万円」が表示されます。

 ②減らす時

  たとえば2年目の決算の時、売上債権が減って、貸倒引当金を試算すると4万円となった場合は次の仕訳をします。

      貸倒引当金 10,000  /  貸倒償却(又は貸倒引当金戻入) 10,000

  [解説]減額の1万円を逆仕訳で計上することで、

      期末の販管費の「貸倒償却」には-1万円が表示され、資産科目の貸倒引当金には前年の5万に1万が減算され、

      流動資産にマイナスで「貸倒引当金4万円」が表示されます。

 

5 実際に貸倒れが発生したときの仕訳

(1)貸倒引当金より少ない売掛金が貸倒れたとき

  たとえば、売掛金2万円が貸倒れたが、貸倒引当金は5万円引当てている場合は次の仕訳をします。

      貸倒引当金 20,000  /  売掛金+得意先 20,000

  [解説]ある得意先の売掛金2万円が貸倒れになったので、

      貸倒引当金2万円を左側に計上することで、貸倒引当金はマイナス表示なので2万円減算され、

      売掛金は右側に計上することで、その指定した得意先の売掛金は0円になります。

(2)貸倒引当金より大きい売掛金が貸倒れたとき

  たとえば、売掛金10万円が貸倒れたが、貸倒引当金は5万円しか引当ててない場合は次の仕訳をします。

      貸倒引当金        50,000  /  売掛金+得意先 100,000

      貸倒償却(又は貸倒損失)         50,000  

  [解説]ある得意先の売掛金10万円が貸倒れになったので、

      貸倒引当金5万円を左側に計上することで、貸倒引当金はマイナス表示なので5万円減算され、0円となり、

      引当しきれなかった5万円は販管科目である貸倒償却に5万円費用として表示されます。

      売掛金は右側に計上することで、その指定した得意先の売掛金は0になります。

 

 

  このような会計処理をされると、毎月の試算表で資金繰り管理も行えるようになり、経理事務は経営管理業務に発展します。

  このような考え方の会計処理を『管理会計』と呼びますが、現代は会計を算盤ではなくパソコンという情報処理機器で行って

  いるわけですから、ぜひ、ここまで高めたいものです。

  また、このような会計処理をされると、あなたの会社をいっそう強い会社にできるようになります。 これは真実です。