286.420万社の経営者に役立つ会計の見方 セクション6

2016年11月19日

セクション6 総資産の見方 -その2ー

 2 流動資産の見方

『流動資産』とはその名の通り、流動する資産を意味し「1年以内に資金化できる資産」を指しています。

したがって、その見方も借金である『負債』それも短期間に返済しなければならない『流動負債』と比べて見ることが基本です。

ここがポイントですので、よく理解してください。 流動資産は流動負債と比べて確認するということです。

ではどのような確認方法があるのか、一緒に考えましょう。 

(1)「経営の安全性」を確認する

「経営の安全性」とは簡単に言えば、会社がつぶれる危険性を事前にキャッチするということです。

会社がつぶれる危険性とは、資金繰りがどうか、支払はできるかなどが中心となります。

①手元資金は十分か? 「手元流動性比率=手元資金÷平均月間売上高」

家計で言えば、手元資金とは『現金』と銀行に預けている『預金』です。それをもとに、毎日の生活を過ごしているわけです。

家計であればおよその毎月の生活費は把握しているわけですから、その概算の生活費と比べて現預金が同じくらいであれば、

チョッと生活を切り詰めるでしょうし、かなり足りないと判断すればそれなりに生活を切り詰めます。

しかし、企業ではそう素早く対応することはできません。毎月支払う給与は決まっていますし、社会保険料も決まっています。

また仕入やその他経費もそう簡単に削るわけには行きません。

◆したがって、家計と比べれば、企業の場合はかなり事前にその危険性を察知しなければなりません。ここが大事なところです。

では、企業における生活費とはいったい何なのでしょうか? 考えてください・・。

 ひとつは仕入代金や給料・経費ということになります。

これを会計用語に置き換えると、『売上原価』と『一般管理費及び販売費』、『営業外費用』となります。つまり、総費用ですね。

 もう一つは、貯金まで考えるとそれに加えて『経常利益』ということになり、つまりこれは『(黒字になる)売上高』です。

そこで、手元資金と売上高を比べることにします。

これが1ヶ月分もなければ、経営は自転車操業の状況です。なんとしてでも、現預金を増やさなければなりません。

さきほどの「企業ではそう素早く対応することはできない」という話を思い出してください。

◆このことを前提にすれば、最低でも、売上高の3ヶ月分程度の手元資金である現預金は持つようにしたいところです

 ②短期返済負債の支払能力は十分か? 「当座比率=(現預金+売上債権)÷流動負債」

事業をやっていて、支払わなくてはならないものは何でしょうか?

仕入代金や給料や経費ですが、それだけではありません!それに加えて、会社負担の社会保険料や借入金返済額などがあります。

◆それら短期に返済しなくてはならない総額がBSには記載されています。 そうです、『流動負債』です。

それらに対して、支払い原資は何でしょうか?

それは、現預金であり、売上債権です。それらのことを『当座資産』と言います。

そこで、当座資産と流動負債を比べます。

これが100%以上あれば、まずは安心して経営していけます。

100%未満であれば、100%以上になるように当座資産を増やすか、流動負債を減らすか、経営努力をします。

◆書籍では「流動資産÷流動負債」の『流動比率』がよく紹介されていますが、私たちにとって大事な指標は『当座比率』です。

 なぜなら、流動資産には棚卸資産や貸付金や立替金・仮払金などが含まれており、それらが資金化できるかどうかは非常に

不透明なところがあるからです。ハッキリ言って棚卸資産の実体は不明なところがありますし、貸付金・立替金・仮払金に至っては

その内容によっては資金化できる目処もない場合が多々あります。したがって、当座資産と流動負債を比べることが大事です。

 

(2)おもな流動資産の状況を確認する

流動資産の中で重要な項目は3つです。

それは、『現預金』であり、『売上債権』であり、『棚卸資産』です。

ここでのお話は、他人の会社の見方の話をしているわけではなく、自分の会社の見方を話していますので、

現預金に関しては、金庫と預金通帳をみれば、その真偽は確認できます。

問題は売上債権と棚卸資産です。 

①売上債権に不良債権なるようなものは無いのか? 「売上債権回転期間=売上債権÷平均日商」

建設業等を除けば、ほとんどの業種の場合、売り上げて翌月回収するというのが一般的です。

◆ですから、理屈上で言えば、手形を使っていなければ、月末のBSの売上債権(売掛金)は当月分の売上高と同額となります。

まずこのことを理解してください。

 毎月600万の売上がある会社で翌月回収であれば月末BSの売掛金は600万、翌々月回収であれば1200万です。

そこで、月末の売上債権と1日平均の売上高を比べます。

そうすると、翌月回収の会社であれば30日分程度の売掛金の筈です。翌々月回収の会社であれば60日分程度の売掛金の筈です。

それ以上あれば、どこかの取引先の回収が滞っているはずです。

したがってこの売上債権回転期間さえ見れば、自社の平均回収期間が掴めるとともにマクロ的な回収状況がチェックでき、未然に

不良債権化を防げることにもつながります。

◆大事なことは、少しでも売上債権回転期間を短縮する経営努力をすることと、支払いが遅れている得意先にはすぐにアクションを

起こすことです。

 ②棚卸資産は多すぎないか? 「棚卸資産回転期間=棚卸資産÷平均日商」

現代は非常に流通は発達しています。特異なことを除けば、一般的には、もう在庫である棚卸資産はあまり持つ必要はありません。

棚卸資産を多く持つということは、それだけ仕入しているのですから資金的な圧迫となります。

また持ちづづければ、モノですから必ず劣化、不良化していきます。ですから、棚卸資産は必要最小限度が理想的です。

そこで、月末の棚卸資産と1日平均の売上高を比べて、在庫量をチェックします。

◆いま、「優良」と言われている中小企業の「棚卸資産回転日数」は14日分程度です。また総資産に占める割合も6%前後です。

棚卸資産の管理は優良企業へのパスポートの一つとなっています。

 

 

今回は自社の『流動資産』の見方を勉強しました。

その要点は

 1.手元資金を平均月商と比べて、その有り高をチェックする。

 2.当座資産を流動負債と比べて、支払能力をチェックする。

 3.売上債権を平均日商と比べて、全体的な回収状況をチェックする。

 4.棚卸資産を平均日商と比べて、在庫量をチェックする。

 1~3は自社の安全性を高めます。

 4は優良企業へのパスポートのひとつである。  以上です。

 

次回は、総資産の見方 その3運転資金の見方 をご紹介します。 おたのしみに!

                                                   (次回へつづく)