351.収益拡大の考え方④

2018年2月24日

第4回 原価率を引き下げる方法

 繰り返すことになりますが、収益拡大のためにまず最初に取り掛かるべきは「固定費の削減」です。これは社内努力だけで利益を増やせるからです。これさえ出来ないのに、二の手・三の手を成し遂げることはできません。

 そのうえで今回は「原価率を引き下げる方法」です。

 

1 原価率とは

 売上原価率は次の計算で求められます。

  売上原価 - 売上高 ×100 = 売上原価率

したがって原価率を引き下げるとは、売上原価を抑えるになります。では、売上原価とは何なのでしょうか?

 

2 売上原価とは

 売上原価とは次の計算で求めます。

  (期首商品+商品仕入-期末商品)+(期首材料+材料仕入-期末材料)+労務費+外注加工+その他製造経費
  +(期首仕掛-期末仕掛) = 売上原価

この中で労務費とその他製造経費は固定費なので、「固定費の削減」の中で無駄なものは削減します。

したがって原価率削減は「商品・材料・外注」の3つが本丸となります。

 

3 売上原価率を引き下げる考え方

(1)商品と材料費

 これらの原価は上の計算式から考えると、仕入高と在庫で決まることがわかります。

例えば、商品Aの期首又は月初在庫が1000円あって、5000円仕入れ、期末又は月末在庫が3000円あれば、原価は3000円となります。5000円仕入れたのに、原価が3000円って、ちょっと不思議ですね。
そうなんです、いくら仕入しても在庫に計上すれば原価率は下がり、粗利は増えることになります。しかし資金繰りは確実に悪くなります。

 そのようなことにならないためにも、商品と材料費の原価率を抑えるためには「在庫管理」と「仕入数量管理」が絶対重要となります。

 また在庫管理にはそんな後ろ向きの効果だけでなく、在庫管理を徹底すれば自ずと売れ筋が掴めるようになりますので、無駄な仕入れをしなくて良い効果ももたらせます。

 在庫管理は決算のために年1回すれば良いものではなく、また月次決算のために月1回すれば良いものでもありません。
経営のためには少なくとも毎週でもしたいところです。

 それに準じて、必要な商品・材料だけを適正数量を発注すれば、デッドストックもなくなり、原価率も下がり、資金繰りも大きく改善します。
このコラムでも何度か紹介していますが、着実に黒字経営を継続している中小企業の共通した行動特性(コンピテンシー)は「在庫管理を必ず適正に行って在庫が少ない」ということです。

(2)外注加工費

 外注加工費を抑えるためには、無駄な外注加工を発注しないということと内製化するということがあげられます。

当然、社外へ加工を依頼するわけですから社内加工賃より高くつきます。したがって内製化できないか検討することが重要です。

 一方、内製化するために新たに設備を導入し人員も増員しなければならないという場合は、逆に外注先を探すという選択肢もありということになります。現在はそのことを「ファブレス(Fabless)化」と呼び、その名の通り、fabrication facilityつまり工場を持たずに製造業としての活動を行うビジネスモデルもあります。

 

 

 これからの企業経営においては「粗利益の向上」がどうしても求められます。粗利益の向上は仕入発注量管理と在庫管理、内製化又は外注化が3大要素です。これらを実現しやすいのは中小零細であるスモール企業です。この中小企業の強みを活かしてピカリと光る経営を目指しましょう!

 

 

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