131.会計識字力 総資本の枝葉
2013年9月30日
第8話 貸借対照表の枝葉を見よう -総資本(その2)-
では、総資本の後段です。
(2) 当社は総資本でどのくらいの売上をあげているのか
それには売上高を総資本で割ってみるとわかります。 <基本計算式> 売上高÷総資本
同じ総資本を使って事業をするのであれば、より多くの売上をあげた方が良いに決まっています。
たとえばあなたは事業で500万円の総資本を使っているとします。それで1年間で1000万円の売上をあげた場合と、2000万円の売上をあげた場合と、どちらがより有効に総資本を活用していると言えますか?
当然のことながら、前者は総資本500万円で2倍の売上を、後者は4倍の売上をあげていますので後者のほうが総資本を有効活用していると言えます。このことを「総資本回転率」と呼んでいます。
総資本回転率は高ければ高いほど良いといえます。つまり「高効率経営」です。
ここで回転率についてもう少し詳しく見てましょう。
回転率を詳しく見るには「回転日数」で見ます。
回転日数とは1回転するのに何日を要したかということです。
総資本回転率が4回ということは1回転させるのに約91日要しているということです。
この回転日数は短ければ短いほど「高効率経営」です。
<基本計算式> 各資産項目÷平均日商
たとえばこのような貸借対照表があったとします。
年間売上高は36,500,000円、平均日商100,000円です。
各資産項目の回転日数を見てみましょう。
現金回転日数 = 500,000÷100,000= 5日
預金回転日数 =1,000,000÷100,000=10日
売掛金回転日数 =1,000,000÷100,000=10日
在庫回転日数 = 500,000÷100,000= 5日
固定資産回転日数=3,000,000÷100,000=30日
総資産回転日数 =6,000,000÷100,000=60日
ここでよく見ると、総資本回転日数=各資産項目の回転日数合計であることに気づきます。
そうです、総資本回転日数を短縮するには各資産項目の回転日数を短くすれば良いのです。つまり、高効率経営にするためには
①如何に少ない総資産・総資本で売上げるか
②同じ総資産・総資本で如何に多くの売上高を上げるか ということになります。
現在の企業はまだバブルの後遺症が残っており一般的には売上規模の割には資産が多過ぎることが指摘できます。
資産が多いと言うことは、調達している総資本が多いということです。
総資本が多いと言うことは黒字経営も少ないので、恐らく他人資本が多いということです。
他人資本が多いと言うことは返済に追われ資金繰りが苦しいということになります。
なかなか売上を急激に増やすのが難しい状況ですから、資産の圧縮が高効率経営のポイントとなります。
如何ですか、このような観点から自社の経営状況を一度チェックされませんか!?