113.病める借入金問題

2012年10月25日

1.病める借入金問題
現在の中小企業における借入金はどのような状況になっているのでしょうか?
TKC経営指標に収録されている224,595社の平均総資本額を100として、B/SとP/Lを作成すると次にようになります。

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①総資産/総資本全体を100円とすれば、借入金の合計は46.7円となります。つまり、事業で運用している資金の約半分は借入金という状況です。
②その借入金の内訳は、1年以内に返済しなければならない短期借入金が13.5円、長期間で返済できる長期借入金が33.2円という状況です。
③一方、それに対する営業利益と減価償却費の借入金返済原資の合計は年間で3.2円という状況です。1年以内に返済しなければいけない短期借入が13.5円あるのに、その返済原資が3.2円・・、約10円が不足している状況です。
その10円はどうしているのでしょうか?
恐らく役員借入で補填しているか、返済のためにさらに借入をしているか、あるいは返済猶予を願い出ているかということになります。
④これを実額ベースで説明すると、224,595社の平均短期借入金は20,159千円、長期借入金は53,391千円となります。それに対する返済原資は減価償却費が4,841千円、営業利益が僅か508千円の合計5,349千円となります。

このような状況下なのに、来年平成25年3月末で東日本大震災復興緊急保証制度中小企業金融円滑化法という二つの制度が終了してしまいます。
したがって、中小企業経営において借入金対策は喫緊の課題となります。

これから、自社の借入金依存度の見方と改善処方箋をご説明します。


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