234.経営技術「ウィニング」
2015年11月19日
■ウィニング -部下の成長を導く8つのルール
『ウィニング』は2005年米国ゼネラル・エレクトリック(GE)の元CEOジャック・ウェルチによって書かれた書籍です。
日本名では「勝利の経営」と訳されています。その中で経営の第一歩は「現実をよく知ることだ」と言っています。
1.4つの原則 -すべての根底に流れるもの
(1)ミッション(経営理念)とバリュー(行動規範)
・ミッションとは「この事業でどうやって勝とうとしているのか」という問いかけに回答を与えるものである。
・優れたミッションは収益を上げるための方向性を明確にしつつ、社員に自分たちは何か大きな重要なことの一部なのだという
気持ちにさせる。
・ミッションを作るのは経営者の責任であり、だれかに委譲してやらせることは不可能だし、やるべきではない。
・バリューとは具体的で、詳細にわたって明確に記述し、想像の余地がないものにしなくてはならない。
・バリューはミッションをいかに実践するかであり、勝つという目標を達成するための手段であり、業務命令としてそのまま使える
ものでなくてはならない。
・バリュー策定に当たっては、ミッションとは違い、全員が発言できる機会を設けて、最終的には多くの人から広く賛同を得るもの
にしなければならない。
・問題はサポート体制で、信賞必罰がバリューを浸透させる。
(2)率直さ
・言うべきことを言わなければ、いいアイデアや迅速な行動の邪魔となり、さらに優秀な社員が会社に貢献しようとする行動を
やめさせてしまう。
・言いたいことが言える環境は全員の参画意欲を高め、スピード感を高め、コスト削減にも結び付く。
・人は本音を話さないほうが楽だから思うことを話さない。だからこそ、報酬を与え、褒め、語り続けることが大切だ。
(3)選別
・会社には限られた資金と時間しかない。勝ち組のリーダは見返りのもっとも高い分野に投資し、それ以外の損が出るものは切る。
・選別は人とビジネスを管理する方法である。
・ビジネスは強いビジネスでない限り、テコ入れするか撤退するか判断する。
・人はトップ20%-ミドル70%-ボトム10%に分類し、トップにはふさわしい待遇を、ミドルはトップに引き上げる育成を、
ボトムは辞めてもらうしかない。
・選別はエネルギッシュで外向きな人が有利となり、内気な内向的な人にとっては有能であっても不利になる。
(4)発言権と尊厳
・発言権と尊厳が、会社にとってすべての人的資源とすべての頭脳を使う方法である。
・発言権とは国籍・性別・年齢・経歴・役職などにかかわらず、自分の思っていることを聞いていもらえる機会・権利である。
・尊厳とは人々は敬意をもって接してもらえる権利のことである。
2.部下の成長を導く8つのルール -リーダシップ、あなただけのことではない
リーダになる前までは、成功とは自分自身が成長するだが、リーダになると、成功とは他人を成長させることになる。
その部下の成長を導くルール(法則)が、次の8つです。
①チームの成績向上をめざして、あらゆる機会をとらえて、メンバーをコーチし、自信を持たせる。
②ビジョンを理解させるだけでなく、どっぷり浸るようにさせる。
③懐に飛び込み、ポジティブなエネルギーと楽天的志向を吹き込む。
④素直な態度、透明性、信用を通じて、信頼を築く。
⑤ときには人から嫌われる決断を下す勇気、直感に従って決断する勇気を持つ。
⑥猜疑心と言い換えてよいほどの好奇心で、部下に質問・プッシュして、部下が行動で答えるようにさせる。
⑦リスクをとり、学ぶことを奨励し、自ら率先垂範する。
⑧お祝いは派手にお祝いをする。
『ウィニング』は理論ではなく「経験」です。
したがって、その一つ一つに説得力と??も感じるところもあるかもわかりません。
しかし、背景も考えわせながら読みますと、たいへん多くの示唆を得られるビジネス経営書だと思います。
ぜひ、自社のウィニングを掴みたいものです。