512.会計によるリスク管理法② 現預金

2021年4月23日

リスク管理観点から会計を捉えるシリーズ第2回 現預金

 

 4月22日の報道によれば、いよいよ第3回目の緊急事態宣言が大阪、兵庫、京都、東京の1都2府1県に発令されるようです。

今回の緊急事態は変異株によるコロナ感染拡大防止策となるため、これまでよりも厳しい措置が取られるようです。

 当然、経済に対する影響は大きいと思われますが、そんなウオッチングはともかく、経営者には事業を守る態勢が求められます。

しっかりとした判断のもと、事業と従業員の生活を守りたいものです。

そこで今回から「リスク管理観点から会計を捉える」と題し、どのようにして会計から経営の危機を察知すればよいのか、

あるいは備えればよいのかを考えたいと思います。 その第2回のテーマは『現預金のリスク管理』です。

 

1 現預金とは

 現預金とは、ご承知のとおり、手元にある「現金」と金融機関に預けている「預金」のことです。

この現預金さえあれば、事業は継続させることができ、従業員の雇用も維持することができます。

その財源は商売による利益でも、極端にいえば金融機関からの借金などでも構いません。

ともかく現預金さえあれば、事業は継続できるのです。

 

 その現預金有り高の適正量を測る指標として『手元流動性比率』というものがあります。

手元流動性比率とは、現預金有り高を月間売上高と比べて、どの程度あるのかを測るものです。

その意味合いは、月間売上高とは企業における「毎月の生活費」みたいなものであり、その毎月の生活費に対して、

何か月分程度の現預金があるのかを知り、自社の資金状況を推し量ろうというものです。

 

 その判断基準は書籍などでは、少なくとも1カ月以上とか、3カ月以上とか、いろいろ書かれていますが、

それはまさに、経営者の判断、経営センス(感覚)に委ねられるものです。

ただ一般的なことをいえば、このコロナ下では、いつ売上が激減するかわからないので、多く保有すべき状況になっています。

 

 

2 現金のリスク管理

 では、現金のリスク管理として、どのようなことが考えられるのでしょうか。

現金に関してのリスク管理は単純明快です。それは「余分な現金は手元に置かない」ということです。

中小企業の月次試算表や決算書をみる機会がよくありますが、その書類上、数百万もある企業も少なくはありません。

みなさんはどう思われますか、書類上ですが、数百万も現金があることを?

 

 もしこのことが書類上だけでなく、実際にあるのなら(実際になければ、これはこれで大問題です!)、

それはリスク管理上、大変不適切だといわざるを得ません。

 まず第一に、用心に悪いですね。盗まれたらどうしますか?

 

〔ここでひと言!〕

 リスク管理を含め、「予防」ということで大事なことは、「結果は外れて良かった」ということです。

 つまり、取り越し苦労に終わることがパッピーなのです。

 また、早く対策を打つことも大切です。考えて考え続けていて、その最中に万が一、悪い予想が起これば大変です。

 このことはコロナ対策も同じです。

 菅総理はよく、「エビデンスを見てから」とか、「専門家に聞いてから」とかいっていますが、それでは常に判断が遅くなる

ばかりです。総理としての先見性に基づきスパスパ英断されることを、国民は期待しているのではないのでしょうか?

 そうすれば、支持率もうなぎ上りになるのではと思うのですが・・(余談です)。

(話を元に戻して)

さらに、手元におカネがあると、どうしても気持ちが緩み、出費を重ねがちにもなります。つまり、無駄使いですね。

 

 したがって、手元現金はちょっとした財布みたいなもので、小銭程度にしておき、あとはすべて預金に入れます。

小銭程度とは、業種や商売の形態によって違うのでしょうが、普通は数十万程度以内だと思います。

建設業や現金仕入れ業などで、金庫に多くの現金が入っている映像がテレビで流れることがありますが、

それはやっぱりおかしいですね。突然、いますぐ何百万も現金が要るなんてことはありません。

事前に取引を予定していて、それでその準備として一時的に多額な現金を用意しておくということはあっても、

いつも多額な現金を金庫に入れておく必要なんて全くありません。

 

3 預金のリスク管理

 では、預金のリスク管理はどうでしょうか。

これは会計をしていると、どのようにすべきか、多くのヒントがあります。

結論から先に言えば、預金を運転資金用とか、消費税納付用とか、設備投資用とか、賞与支給用などのように、分けて管理をする

ということです。

 

 いまはパソコンで経理をしているわけですから、こんなことは簡単にできます。

もちろんそうすることで入力データは増えますが、これは前から申しあげているとおり、会計は経営管理業務なのです。

事務業務のようにやたら効率化すればよいというものではありません。当然、経営を管理するために、入力データは増えていくのが

自然なことなのです。

具体的には、預金入金は一旦、すべて運転資金用に入れ、そこから用途別の口座に振替ます。

 こんなイメージです。

 <口座別管理の場合>             <科目別管理の場合>

 OX銀行残高       2,300,000     OX銀行(運転資金用)

  口座① 運転資金用   1,000,000     OX銀行 消費税用

  口座② 消費税用     500,000     OX銀行 設備投資用

  口座③ 設備投資用    500,000     OX銀行 賞与支給用

  口座④ 賞与支給用    300,000     ※この場合は、決算時にOX銀行一本化にする振替仕訳が必要になります。

 

 たとえば、消費税用の場合であれば・・

税抜き経理をしていると、必ず、預り消費税と仮払消費税が生じます。

ザックリとした消費税の納税額は、預り消費税と仮払消費税の差額となります。

この納税額は本来、企業の現預金の中にあるはずなのです。

なぜなら、預り消費税は取引先から受け取っていますし、仮払消費税も取引のときに支払っています。

ですから、この差額金額を毎月、消費税用の口座へ振替しておくと、消費税納付時に困らなくなります。

 

 たとえば、設備投資用の場合であれば・・

減価償却費は、設備など固定資産購入金額を費用化する会計制度と理解されていますが、そのことに異論はありません。

問題は、設備はいずれ入れ替えしなければならないということです。

そのことを考えると、減価償却費で計上した金額は設備投資用の口座へ振り替え、預金をプールしておくと、

次回の設備購入時はほとんど自己資金で賄えることになります。

 

 たとえば、賞与支給用の場合であれば・・

賞与も同じです。賞与は7月と12月、年2回支給する企業が多いわけですが、

仮に7月の賞与が1月から6月に対する賞与であれば、1月から6月まで、7月賞与総額の6分の1ずつを引当しておくことが

経営管理上考えられます。そのことを「賞与引当」といいますが、もう一歩進めて、その金額を賞与支給用という口座へ振り替えて

おきます。そうすると賞与資金がプールされることになりますので、賞与支給時に困らなくなります。

 

 このようにすると、恐らく多くの企業では運転資金用の預金残高が極端に少なくなったり、あるいは振替自体ができない場合も

多々出てくると思います。

しかし、それでいいんです、それこそが、企業の資金繰りの実情を表しているからです。

 

 預金をグロスで管理しているだけだと、資金は足りているように思ったりしますが、実は多くの企業では不足しているのです。

つまり、「自転車操業」が普通なのです。

でも、これではリスク管理上いけません。まず実情を掴むことが、リスク管理の第一歩です。

実情を知れば、初めてその改善のために冗費の節約とか、粗利の向上とか、売上高の拡大とかなど、次の行動に結びついて来る

わけです。

 このようなことを会計上ですると、日頃そんなに資金繰りについて問題を感じなかった経営体質がだんだん資金繰りに敏感な

経営体質に変わり、いつのまにか資金繰りに強い経営体質に変容させていきます。

 

つづく・・

 

 

戦略を考えるにあたって重要なことは、『思い込み』なるものを打ち破ることです。

私たちは思いの外、『思い込み』に囚われて生活や仕事をしています。

そしてその結果が「いまである」ということを忘れてはいけないと思います。

違う結果を得たいのであれば、『思い込み』を打ち破るしかありません。

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