470.Coffee break コロナshockに学ぶ

2020年6月27日

ここでチョッと一息入れて、いま考えてなくてはならない、会計を活かしたアフターコロナの経営対策を考えてみましょう。

 

新型コロナウイルスよる感染状況は緊急事態宣言が解除され、さらに都道府県をまたぐ移動も緩和されましたので、かなり収まって

きたようにも思えますが、昨日6月25日も東京は54名、全国では105名の感染者が出ています。

まだ一次感染が収まっていないのか、それとも第二波がもうすでに始まっているのか、それはわかりませんが、とても緊急事態宣言

が解除された状況とは思えません。

とは言えども、精神的には少し余裕を感じられるようになって来たことは事実ですので、この機会に経営者として次の感染拡大期に

備え、少しでも経営態勢を立て直さなければなりません。

経営者の役割というものは、中小企業経営になればなるほど多岐に渡りますが、一般従業員との一番大きな役割の違いは、経営者と

して先を見通して、従業員をリードしていくことだと言われます。

その意味で、まだ実感が覚めやらないうちに冷静に現状把握をして、来る時期に備えての課題と対策を考えることが大切だと思われ

ます。コロナウイルスの影響は夏に向かって徐々に収束していったとしても、しかしまた、秋冬を迎えると必ず第二波が襲ってくる

とも言われています。

そこで現在のコロナショックに学び、これからの経営上の課題とその読み方および対策について考えてみましょう。

経営者たるもの、常に前を向いて指針と対策を考え、従業員の皆さんをリードして行きましょう!

 

なお、この問題に対する回答は業種業態や経営状況などで無数にあります。皆さまなりの回答を考える際の参考になれば幸いです。

 

 

1 手元資金の問題と読み方および対策

 コロナ感染拡大で多くの企業で売上高が大きく減少しました。売上高は「事業資金の源泉」ですので、手元資金が枯渇しました。

 これが何といっても、経営上の一番深刻な問題でした。

 

 では、今後は手元資金をどう管理し、対策を講じて行けば良いのでしょうか?

 今回、従業員の給料が支払えないとか、地代家賃が支払えない、あるいは負担になっているなど、多くの声が報道されました。

 実はここに、手元資金の問題を解くヒントがあるように思います。

 手元資金とは、現金と預金のことであり、売掛金などの売上債権は含みません。

 なぜなら、売上債権はいくらあっても、相手得意先が支払えなくなれば、手元資金にはならないからです。

 非常時に頼りになるのは、やはり現金と預金の手元資金です。このことを多くの経営者が今回痛烈に感じられたのではないのでは

 ないのでしようか。これからの経営において長期的な課題になると思われますが、

 

 中小企業であればあるほど、手元資金を厚くする経営を志向する必要がある!

 

 ということです。そして大事なことは、気持ちだけではなく、実際的に現実的なものとしてそれに向かって動くということです。

 実際的に現実的なものとして動くとは、「自社であればどれだけの手元資金を持つべきなのかをハッキリさせて、それだけの手元

 資金を保有する」ように舵を切るということです。

 

 では、どれだけの手元資金を保有すればよいのでしょうか?

 最終的には、経営者が自ら判断すべきことですが、その考え方はおおむね次のとおりです。

 今般のことで学べば、『最低固定費』の半年分程度は、最低でも保有するようにするべきということです。

 最低固定費とは、今回でよく理解された方も多いと思いますが、売上がゼロになってもかかる費用のことです。

 つまり、人件費、家賃、それにリース料や賃借料などです。

 これらの費用は具体的に計算できるはずですから、その6カ月分以上の手元資金を常に保有することを目標に行動するということ

 です。

 

 では、手元資金を多く持つ対策としては、どのようなことが考えられるのでしょうか?

 1.まず、経営を常に「黒字経営」にして「納税」する

  現在、3分の2の中小企業が欠損企業であり、納税をしていません。納税をしていないということは、内部留保がありません。

  内部留保がないということは、つまり、手元資金は増えないということです。

  節税のために冗費している場合ではありません。しっかり黒字経営にして、納税しましょう。

 2.日常的な対策としては「費用を抑える」こと

  単純な話ですが、費用の支出を抑えれば、その抑えた分だけ、手元資金は残ります。

  無駄な原価を抑える、無駄な経費を削減する、ということです。

 3.「在庫管理」をしっかり行う

  無駄な原価を抑えるには、在庫管理による裏付けが必要です。

  そして、デッドストックの発生を減らす、無駄な仕入をしない、ということです。

 4.即効的な方法として融資を受ける

  即効的に手元資金を増やす対策として、融資を受けることが考えられます。

  以前は、運転資金目的では融資を嫌がる金融機関もありましたが、いまは状況が違い、理解もあります。

  どうしても運転資金が少ないようであれば、融資を申し込んで手元資金を厚くしておきます。

  また、そこまで早急にしなくてはいい場合でも、コミットメントラインを確保しておくことは大事な対策です。

 

ともかく手元資金を厚くしておくことが重要な対策!

 

2 借入金の問題と読み方および対策

 近未来的に「安全性」を高めておくことが、いま一番、重要なことなのかもわかりません。

 ハッキリとはわかりませんが、コロナの影響は今年だけで終わらず、この先、数年間、経営に影響及ぼす可能性があるとも

 言われています。

だからこそ、「安全性」を高めておくことが重要!

 

 経営の安全性とは何か?

 それは「手元資金が多くある」ということに尽きます。

 本来は事業を通じて、手元資金を豊富にしていくことが王道です。

 しかし、その時間的余裕がない場合には、中小企業は上場企業や大手企業ではありませんから、金融機関からの融資に頼るしか

 道はありません。

 これまでは「なるべく借入金は少なくして経営をする」ということが、一つの経営における重要な指針でしたが、これからは状況

 によっては「少し多めの借入金をしておく」ということが、重要な経営の指針になると思われます。

 

 では、借入金を少し多めにしておくという「好加減」の経営はどうすれば良いのか?

 1.借入金残高と平均月商とを比べながら経営を行う

 ここではあらためて詳しくは説明しませんが、これまで一般的な普通の黒字企業であれば、平均月商の6カ月分前後の借入残高が

 好加減と考えられていました。

 しかしこのような状況を経験し、また金融庁の指導で金融機関も柔軟な対応をしてくれますから、平均月商の1年~1年半分程度

 までの借入金残高であれば「良し」としなければならないのかもわかりません。

 

緊急事態に備える場合は、借入金を多くしておくことも大切!

 

 

3 高付加価値経営の問題と読み方および対策

 高付加価値経営というと、大企業やどこかよその国の企業のようなことと感じられるかもわかりませんが、

 これは私たちども中小企業にとっても現実的な課題となっています。

 どの企業でも、少しでも高付加価値経営化ができれば、黒字経営転換に大きく近づけます。

 問題は、ここでも「~デキレバ」というタラレバ言葉を使いましたが、「高付加価値経営にする!」という、経営者の主体的で

 能動的な取り組み姿勢です。この姿勢、実現するという強い意思が大切です。

 

高付加価値経営化はどんな会社でも出来る!

 

 では、どうやって高付加価値経営化を読み、そのような対策をしていけばよいか?

 自社の高付加価値経営化の読み方は次の3つです。

 1.売上総利益と売上高を比べる『売上総利益率』の定点観察を続ける

 2.営業利益と売上高を比べる『営業利益率』の定点観察を続ける

 3.営業利益と総資本を比べる『総資本営業利益率』の定点観察を続ける

 この3つの指標が大きくなって行っていれば、自社の高付加価値経営化は進んでいます。

 一般的に、『売上総利益率』は業種業態による影響を大きく受けますので、「このぐらいが適当」とは言えません。

 また『総資本営業利益率』も、設備投資が大きい業種と少ない業種では大きく違いますので、やはり「このぐらいが適当」とは

 言えません。

 しかし、『営業利益率』は全業種同じ基準となりますので、これは言えます。

 営業利益率は10%程度(売上が5千万円であれば5百万円)を最終的に目指したいところです。

 

 高付加価値経営化の対策はどうすれば良いのか?

 1.売上原価の使い方と人件費の使い方を考え直す

  まず、『売上総利益』は、自社の”努力”と”創意工夫”で、大きくすることが可能です。

  事業とは、材料を仕入して製品を作る、商品を仕入れて売る、何かしらの役務(サービス)を提供するということですが、

  「この商売では昔からこうされているから、うちもこうしている」ということが多いのではないのでしょうか。

  いわゆる『横並びの安心感』、赤信号もみんなで渡れば怖くはないというようなことです。

  しかしそうではなく、よりいいものを!とか、より求められるものを!などという工夫や、在庫商品の管理によって不良在庫を

  無くすことなどで、『売上総利益』をより大きくすることができるのです。

  また、『営業利益』も社内努力によって大きくすることが出来ます。

  販売費や一般管理費などの経費も使いようです。それによって、営業利益を増やすことができます。

  一般的に経費を削減することで営業利益を増やそうと考えますが、それだと最大でもその経費額以上に増やすことはできませ

  ん。もちろん、この考え方も大変大切です。確かに、付加価値を生まない費用については、いかに削減するかが大切です。

 

  削減や節約それ以上に大切なことは、使い方であり、活かし方です!

 

  たとえば、人件費も支給の仕方や制度によって、ヒトのやる気を大きく向上させ、利益に大きく貢献させることができます。

  また、ホームページなどの広告費も、使い方によって大きな効果が生まれます。

 

こういうことは理屈だと思われるかしれませんが、儲けて続けている企業はそうしているのです!

 

 

戦略を考えるにあたって重要なことは、『思い込み』なるものを打ち破ることだ。
私たちは思いのほか、思い込みに囚われて、生活や仕事をしている。
そして、その結果が「いま」であることを忘れてはいけない。
だから、違う結果を得たいならば、『思い込み』を打ち破るしかない。
インプルーブ研究所は『思い込み』を打ち破るお手伝いをします。

 

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ぜひ、一度お話いたしませんか? お問い合わせはお気軽に コチラ から

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