221.経営技術「製品市場戦略」

2015年6月29日

■製品・市場戦略

製品-市場戦略とは「経営戦略の祖」といわれる経営学者アンゾフが1957年に提唱した企業成長戦略理論です。
古典的理論であるだけに私たち中小企業が経営の工夫を考える際にもっとも考えやすい考え方の一つです。
ぜひ、この考え方をもとに自社の成長する道すじを考えてみたら如何でしょうか。

 

■4つの切り口
横軸に製品あるいは商品・サービスの軸をとり、既存と新規に分けます。
縦軸は市場の軸をとり、同じく既存と新規に分けます。
そうすると「既存製品を既存市場」にという箱と、「新規製品を既存市場」にという箱、「既存製品を新規市場」にという箱、「新規製品を新規市場」にという箱、4つの箱ができます。アンゾフはこの4つに分けて企業成長戦略を提唱しました。

 

1.基本的な順番
「必ず、この順番でなくてはならない」ということではありませんが、それでも経営の工夫には行なうべき基本的な順番というものがあります。
それはまず今おられるお客様を大事にしましょうということです。つまり「既存製品を既存市場」にという市場浸透戦略が第1優先となります。
第2優先は今のお客様に新しい製品を提供する「新規製品を既存市場」にという新製品開発戦略です。
それだけ新規市場、新規顧客を開拓するのはむずかしいということをアンゾフは言っているわけです。特に中小企業の場合はまだまだお客様にさせていただいていないことが多くあり、市場浸透戦略を取ることによって差別化につながってきます。さらにその差別化が新規市場開拓にもつながるという相乗効果もあります。
第3優先は既存の製品を新しい市場に提供するという「既存製品を新規市場」にという新市場開拓戦略となります。
最後に「新規製品を新規市場」にという多角化戦略になりますが、これは結果的にそうなると考えた方がよさそうです。

 

2.市場浸透戦略とは自社の高付加価値化戦略
市場浸透とはいまの顧客層に未だ購入していない既存の製品・商品・サービスを販売しようという考え方ですから、これまでと同じ方法ではなく、提案や説明・サービスあるいは顧客密着度などを考え直し、より付加価値化して既存の顧客に販売しようという考え方です。したがって、その意味では市場浸透戦略は、製品・商品・サービスの再付加価値化戦略なのです。

 

3.新製品開発戦略とは差別化戦略
次にいまの顧客層に新しい製品を開発し販売するということは、新しい顧客ニーズに対して同業者とは異なる新しい製品を提供して収益を拡大しようという考え方です。したがって、その意味では新製品戦略とは差別化戦略に他なりません。

 

4.新市場開拓戦略とは市場浸透戦略と新製品開発戦略の実績を持って市場拡大する戦略
既存製品を既存顧客に浸透できていないようでは新しい市場に売ることはできません。新しい市場を開拓できる条件は、市場浸透もできておりかつ新しい製品も開発できているからこそ、初めて成し遂げられることです。いまのお客様を満足させられないままで新しい市場開拓をすることは、ザルで水をすくうことと同じです。したがって、その意味では新市場開拓戦略とは市場浸透と製品開発の実績を持って行なう戦略と言えます。

 

5.インターネットは必須
既存製品を既存市場に浸透させるにも、まして新しい市場を開拓するにはインターネットによるウェブ戦略が必須です。
ホームページやインターネットショップサイトにインターネット広告を絡めると新市場開拓の成功確率をかなり引き上げられます。これまで中小企業にとっては大企業と比べると新市場開拓はコスト的にもかなり困難なものでしたが、インターネット出現以来、中小企業にとっても実現可能なものとなりました。
インターネットを活用すると、全県、県外、日本全国、さらには全世界より、コストをかけずに注文を取ることが可能となります。 「市場縮小化」とよく言われますが、それは日本の中だけの出来事です。世界は人口増と経済発展によってますます市場拡大しています。したがって、その意味では中小企業である私たちはインターネットをもっと重要視し、使いこなさなければなりません

 

6.多角化は結果の戦略
大企業の場合には蓄えた資金と豊富な人材をもとに、異なった事業領域で事業を展開し、多角化戦略を取ることは可能です。
しかし、中小企業には残念ながらそのような資金力も人材力もありません。したがって、中小企業における多角化戦略とは「結果の戦略」と考えてよいのではないかと思います。
市場浸透を展開し、それを新製品開発に結びつけ、その実績をもとに新市場開拓に取り組み、その結果、必要あれば分社的な多角化を展開すればよいと思います。

 

 

この製品・市場戦略は非常にオーソドックスな戦略理論で、幅広い事業に活用できる考え方です。また収益拡大は事業にとって避けられない永遠の課題です。収益拡大ナシには継続的な事業は成り立ちません。世間では市場の縮小化と盛んに言われていますが、1社1社の中小企業にとっては現実的にはそんなことはありません。商圏やエリアさえ拡げれば市場は大きくなります。極端なことをいえば世界の市場は拡大してます。特に日本には人口が拡大している東南アジア地域に隣接し、かつ経済成長も著しい地域でもあります。こんなに有利なポジションいる先進国はないと言えます。そして、それを可能とするのかインターネットです。

インプルーブ研究所は経営のサポートからウェブの制作まで行なえますので、ご相談ください。