169.競争優位に立つ 理念を持つ

2014年6月4日

第1話 理念を持つ

1.2割程度の中小会社しか『理念』を持っていない

私たちの調査ではおよそ2割程度の中小会社しか『経営理念』をお持ちになっていません。その大きな理由の一つは「持つほどの規模ではない」ということです。確かに多くの中小会社は従業員10名未満の規模です。ですから、以心伝心ということなのでしょうか?
しかし、他方、多くの経営者の方から「もう少し社員も考えて動いてくれたなら・・」という声をよくお聞きします。
ちょっと矛盾した状況です。「少しは考えて動いてくれたなら」と思いながら、その基準となる理念がないのですから。社員の立場から考えれば、「考えろ」といわれても、どう考えていいのか示されていないのですから、考えようがありません。

 

2.しっかり経営されている中小会社には経営理念がある

一方、しっかり経営されている会社には規模を問わず、必ず理念があります。これは絶対的な共通事項です。
つまり、経営理念は会社を成功させる主要成功要因CSF(Critical Success Factors)』の一つということができます。
しかし、経営理念があれば必ず成功されているかといえば、重要なことが漏れていることに気づかされます。
それは経営理念に魂を入れるように、経営理念を“浸透させる”という活動です。
経営理念を机の引き出しにしまっているようでは、会社の判断基準・価値基準にはなりません。全員で共有してこそ、会社の判断基準、価値基準になっていきます。

 

3.経営理念はいつから必要なのか

経営理念は何人以上になれば必要というものではありません。たとえ、社長一人でも必要です。私たちが多くの事例を見て感じることは、人が増えてから経営理念を浸透させるのは大変だということです。なぜなら、そのような組織風土がもう出来上がっているからです。
その意味では、社長一人でも必要です。重要なことは一人でも社員が入社したなら、そこから経営理念を浸透させる努力をすることです。それが全社一丸の体制つくりにハウツーです。

 

4.経営理念はどのように考えればよいのか

経営理念をつくるにあたって、特につくり方やルールはありません。ただ一般的なことをまとめれば、次のようなことが挙げられます。
1)会社の存在意義を考える    ⇔事業を何のために行うのか
2)お客様に対する理念を考える  ⇔お客様にどのような考えを持って接するするのか
3)社員に対する理念を考える   ⇔将来を含めて社員に何を約束するのか
4)社会に対する理念を考える   ⇔地元の地域社会に何を貢献するのか
これらすべてのことを含めなければいけないということではありません。あくまでもこのような角度から経営理念を考えればどうかという意味です。

 

経営理念は経過とともに変化していくものでもあります。ですからあまり考え込まず、まずは制定してみましょう。