124.会計識字力を上げよう

2013年8月20日

会計識字力を上げよう

 アベノミスの成果か、直近の経済成長率は2.6%と発表された。大企業は円安の影響も
受け、好決算企業が増えた。今後も(消費税率アップ後はともかくとして)この前後の経済
成長率は維持されていくと思われる。

 しかし皆さんもお分かりのとおり、昔のような「作れば売れる」というような景気回復は
あり得ない。なぜなら、時代はとっくの昔に違っているからである。いまは、昭和のような
戦後復興期でもなく、戦後一貫して増加してきた人口も減ってきた。そして何よりも私たち
の生活はもう十分豊かになってしまった。したがって、景気回復によって商売や会社経営が
楽になるような時代は来ない。つまり、これからは会社が大きかろうと小さかろうと各企業
がそれぞれなりに経営努力や商売の工夫をしなければ、事業を続けることが出来ない時代に
なっている。

 ところで明治維新や戦後、わが国はなぜ、数々の奇跡を起こせたのか。いろいろな理由が
挙げられるが、それらを支えた根底の理由が「識字率の高さ」だ。わが国は、江戸時代から
各藩に寺小屋というものが数多く存在し、明治維新後も学制をいち早く整備した。その結果、
識字率100%を実現し、それが後々の数多くの奇跡を起こす原動力となった。

 そして現代、企業経営の世界に目を移すと、75%の企業が赤字経営だと言われている。
4社に3社が売上高よりも費用が多いという状況だ。売上高より費用が多いということは、
当然のことながら儲かってはいない。儲かってはいないということは、当然のことながら、
資金繰り的に厳しい。資金繰り的に厳しいということは、財務体質も厳しいということに
なる。財務体質が厳しいということは、自己資金よりも債務が多くなるということになる。
ということは事業を続けていくことはできない。

 この赤字企業の経営者の多くが、試算表や決算書を読むことができないと言われている。
もし、明治維新の識字率と同様に、多くの経営者が会計世界における文字さえ読むことが
出来れば、会社の危機を避けられたり抑えられたりできる知恵が思い浮かぶことができた
わけだ。ただ、会計の文字を読めない人は「会計は大変難しい」と思い込んでいる。少し
でも読めれば、何でもないことなのに・・。

 会計を読めるようになることを、これからは「会計識字力」と呼ぶ。今後このコラムを
読んでいただければ「会計識字力」を上げることができる。会計識字力を上げることが、
これからの困難な経営環境の中で生き残る条件だ。
 ぜひ、読み続けて欲しい。