5.会計はかんたん

2009年6月17日

会計はむずかしいものか
「会計」というと、一般的に難しいとか分からないという声が聞こえてきます。しかし落ち着いてよく見てみると、その内容は足し算・引き算で集計し、そして共通する内容で分類(それの分類項目を「勘定科目」といっている)しているだけです。そう考えると「会計」はそうむずかしいものではないようです。ただ用語が非日常的であり、それが私たちに難しいように思わせているともいえます。

取引には因果(原因と結果)がある
「会計」は取引を仕訳することから始まりますが、必ず取引には因果、つまり、結果と原因があります。
例えば、ここに現金が10,000円あったとします(結果) ⇒この10,000円は手品のように突然現れたのではなく、必ず原因があります
(原因)貯金からおろした    現金/預金   10,000円
(原因)友人から借りた      現金/借入金  10,000円
(原因)物を売って手に入れた 現金/売上   10,000円
このように取引には因果あり、このことを専門用語では複式簿記といっています。この取引を共通した内容で集計し、その共通した内容を勘定科目として表しています。

一つの使用基準で勘定科目を一つ設ける

「会計」を分かりにくくしている理由の一つに、「この勘定科目に何が入っているのか分からない」という声をよく聞きます。この原因ははっきり言えば、会計事務所が決算・申告のことを考えて勝手に科目の使用基準を決めているからといえます。例えば、銀行の振込手数料・・。これはどこに入っているのでしょうか?正しくは「管理諸費」に入れるべきですが、「雑費」に入れていることも数多くあります。またさらにはある時には雑費に、またある時には管理諸費に入っている場合もあります。このように科目の使用基準は会計事務所のご都合で決められており、お客である会社サイドのことはあまり考えられていません。
本来は税務会計の側面からの科目設定と経営に役立つ管理会計の側面からの科目設定を行い、それを一元管理すべきなのです。管理会計側面からの科目設定では一つの使用基準ごとに勘定科目設定しているため、仕訳も間違えることはなくなり、科目の一つ一つの意味が明確になるので、誰が見ても意味が分かるようになります。

科目の分類・集計のしかた
いろいろな分類の仕方はあると思いますが、会計では「お金の出所・使いみち」と「事業の儲けの状況」というふたつのカテゴリーで分類し、集計しています。
「お金の出所・使いみち」で分類した表を「貸借対照表」と呼んでいます。
「事業の儲けの状況」で分類した表を「損益計算書」と呼んでいます。

貸借対照表とは
事業を始めるためには、また続けるためには、お金(資金といいます)をつぎ込んで(資金調達あるいは資金源泉といいます)、商品や材料を仕入れたり、機械や道具を購入したり、事務所を借りたり、あるいは土地を購入して工場を建てたりします(商品や材料、機械・道具、土地・工場を全て資産といい、資金運用あるいは資金使途といいます)。
これらを要約すると次のようになります・・
事業を始めるためには、資金を調達し、資産を購入します。従って「貸借対照表」は資金調達と資産購入に分けて分類し、資金調達を「負債の部」と「純資産の部」で集計します。「負債の部」は他人から調達した資金です。「純資産の部」は自分で調達した資金です。資産購入は「資産の部」で集計します。それを図式化すると次のようになります。
◇◇◇◇◇◇◇    ◇   ◇貸借対照表
◇◇◇     ◇◇総資産              総資本
◇◇   ◇資金運用・資金使途 ◇◇       ◇資金調達・資金源泉
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|                   |      負 債 の 部       |
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|     資 産 の 部       |                    |
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|                   |                    |
|                   |                    |
|                   |                    |
|                   |    純 資 産 の 部◇◇◇◇◇
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|                   |                    |
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損益計算書とは
事業を始めると、仕入れた商品・材料に付加価値をつけて販売するわけです。そこで「事業の儲けの状況」を集計します。その集計表を「損益計算書」と呼ぶことはすでに説明しましたが、損益計算書は次のように集計します。
まず「売上高」を集計し、次に原価を集計します。原価のことを「売上原価」といいます。売上高から売上原価を差し引いたものが「粗利益」ですが、
正式には「売上総利益」と呼ぶルールになっています。
次に給与や経費を集計し、そのことを「販売費および一般管理費(略して販管費)」といいます。売上総利益から販管費を差し引いた利益を「営業利益」と呼びます。
さらに営業外の収益(受取利息や本業以外の手数料など)と費用(支払利息や割引手形手数料など)を集計し、それと営業利益を加えた利益を「経常利益」といいます。
そこから特別損益を加減算した利益を「税引前当期純利益」といいます。それを図式化すると次のようになります。
損益計算書
売上高
-売上原価
売上総利益
-販売費および一般管理費
営業利益
±営業外損益
経常利益
±特別損益
税引前当期純利益

会計は本来やさしいものなのです。こうして考えてみると基本的な会計資料である試算表(貸借対照表・損益計算書)も少し分かりやすくなったのではないでしょうか?
インプルーブ研究所に参加されている会計事務所は、いずれもこのような会計指導をされており、「管理会計」による自計化指導をされています。いまの会計事務所からの会計指導に疑問がある場合にはお問い合わせください。
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