401.図解 事業戦略策定 17

2019年2月15日

事業戦略策定第17回は『ブルーオーシャン戦略』です。

戦略論の3回目です。

現代は売上を増やすことが、非常に難しい時代です。

なぜなら、もうすでにいろいろなモノが溢れるようにあるからです。

そのうえ、少子高齢化で市場も縮小し始めており、さらに長寿化社会によって将来の不安を感じる人が多く、

消費もどちらかといえば慎重になっているからです。 非常に複雑な、成熟した社会となっています。

そこで注目を浴びているのが、この「ブルーオーシャン戦略」です。

要は、競争のないマーケットで、付加価値の高い仕事を展開していこうということです。

「ブルーオーシャン」は、欧州経営大学院教授のW・チャン・キム博士とレネ・モボルニュ博士によるビジネスモデルです。

「ブルーオーシャン」には、中小経営にとって一番重要ともいえる、『価値革新の考え方』が述べられています。

価値改革とは「自社の顧客にこれまで提供できていなかった新しい価値を創造し提供する」という、いま一番大切なことです。

 

1 ブルーオーシャンとは、価格競争による儲からない経営を解消する考え方

値引や続けられない過剰サービスによるこれまでの経営を、ブルーオーシャンの対極として「レッドオーシャン」と呼んでいます。

ブルーオーシャンはそのような考え方を否定することから始まります。

こんな思い込みは皆さんにないですか。

 当社の製品はこれだけだ・・!

 お客様の望んでいることはこれだけだ・・!

 こんなことはとても出来ない、無理だ・・!  など、など

これらはすべて既成観念であり、これまでの単なる経験に基づく「固定概念」に過ぎません。

実はそのすぐ隣に、他社とは一線を引ける『ブルーオーシャン』があるのです。

 

2 ブルーオーシャンとは、お客に違いが見えるように経営する考え方

ブルーオーシャンでは、「良い戦略」と「悪い戦略」の特徴を次のように紹介しています。

  《良い戦略の特徴》             《悪い戦略の特徴》

  ・メリハリがある              ・続けられない、利益が出ない過剰奉仕

  ・独自性がある               ・一貫性の欠如

  ・訴求力のあるキャッチフレーズがある    ・顧客が理解できない業界内の言葉使い

そこで、すぐ隣にあるブルーオーシャンに気づく発想方法を次のように紹介しています。

 ①代替産業をよく見て、お客の「本当のニーズ」に気づく

 ②同業者で異なる市場に挑戦している企業に学び、これまでとは「異なる切り口」に気づく

 ③お客(購入者・利用者・影響者)のことを、「こと細かく観察」する

 ④補完材や補完サービスを「研究」してみる

 ⑤製品や商品の機能志向と見た目の感性志向の切り替えを考えてみる

 ⑥将来を想像してみる

このような視点でビジネス現場を見直してみると、新たな発想が生まれるかもわかりません。

大切なことは「なるほど」と理解するのではなく、「よし、やってみよう」とトライすることです。

 

3 ブルーオーシャンとは、急所や一点に経営資源を集中する考え方

どんな素晴らしい戦略を立てても、実行しなければ意味がありません。実行しなければ、意味はないのです。

実行をさせない「障害・ハードル」というものがあります。

 ①意識のハードル     ☞そんなことは・・         「考えてもできないよな」

 ②経営資源のハードル   ☞うちは無理だよ・・        「おカネも人手もないし」

 ③士気のハードル     ☞うちにはそんな社員はいないよ・・ 「一番は自分なのに」

 ④抵抗・政治的ハードル  ☞今のお客になんて言われるか・・  「まだ一度も説明すらしていないのに」

新しいこと、いままで取り組んでいないこと、に抵抗があるのはあたりまえです。

多くの事業者はそこで立ち止まり、ただ考えただけでやってもいないのに、脳はやったつもりに記憶させてしまいます。

 

4 ブルーオーシャンとは、全社一丸で決意を実現する経営

戦略実行の本質は「従業員とのコミットメント」です。

確かに、社長にしかできないことはあります。しかし、社長だけでは何もできないことは、もっとたくさんあります。

そのためには、社員とコミットメントして、全社一丸体制を構築しなければなりません。

そうした「全社一丸体制」を構築するためには、次のような「公正なプロセス」が必要です。

 ①関与  ☞社員一人一人が意見を言える
 ②説明  ☞経営者の狙いや目的が説明されている
 ③期待  ☞目標や成果が明示されている
 ④報奨  ☞達成したならどうなるか、示されている
 ⑤信頼  ☞経営に対する信頼と従業員に対する信頼がある

このように考えると、ブルーオーシャン実行の難しさは、「当たり前のことをやり抜く難しさ」ともいえます。

 

ブルーオーシャン戦略とは、これまでの業界慣習や思い込みなどに囚われずに、これまでの常識という枠の外に出ることによって、

初めて実現できます。「こんなことは大企業だけが可能だ」とか、「とても私には無理だ」など、すでに感じている方は、それが

思い込みであり、従来の常識の枠の中に留まっていることに気付きましょう。

ときには、逆から見ることも重要です。 なぜなら、ブルーオーシャンは「技術革新」ではなく、「価値革新」だからです。

 

戦略を考えるにあたって重要なことは、『思い込み』なるものを打ち破ることです。

私たちは思いのほか、思い込みに囚われて、生活や仕事をしています。

その結果が「いま」であることを忘れてはいけないと思います。

違う結果を得たいと思うのであれば、『思い込み』を打ち破るしかありません。