635.経営状況チェック 資金運用

2023年11月24日

いよいよ2023年も年末が近づいて来た。「年末」という声を聴くと、やはりこの1年の経営状況をチェックをしたくなるもの。

では、具体的にどうやって、経営状況のチェックをすればよいのだろうか。

そこで、今回から「経営状況のチェック」をテーマに経営状態の総括方法を紹介しよう。

その第1回目は「資金運用『手元資金』」だ。

 

手元資金とは、資金運用の一つだが、見方を変えると「毎日の事業を運営する資金」のことでもある。

毎日の事業を運営する資金とは、言い方を変えれば、日々の経営の中で発生する支払返済の原資といえる。

そこで「一体、何が日々の経営の中で発生する支払い」なのか考えてみよう。

 

一つは、月次試算表に示されている『負債』だ。

その中でも、これまで説明したきたように、『流動負債』が日々の経営で支払わなければならない「負債」を示す。

この『流動負債』を正確に表示させるために、『流動負債』と『固定負債』を正しく分けることが大事だということは、

これまで説明したきたとおりだ。

「同じ負債だから適当に・・」では、経営状態を知る月次試算表や決算書にはならない。

日々の経営で返済しなければならない金額を知るためにも流動負債と固定負債は正確に分ける!

 

『流動負債』には、買掛金や未払金、未払費用、預り金、それに仮受消費税、短期借入金などがある。

仮受消費税とは、販売を通じて顧客から預かった消費税のことだが、実際はその全額を納付するのではなく、仮払消費税との差額を

納付する。しかしならが、余裕をもって事業に備えるためには「仮受消費税は全額納付する」と考えた方が確実だ。

さらにもう一つ忘れてならないのが『長期借入金』だ。

この長期借入金の中には必ず1年以内に返済しなければならない部分があり、この部分だけを『固定負債』ではなく、

『流動負債』に分類する。その科目を『1年以内返済長期借入金』といい、忘れずに『流動負債』の中に表示させておきたい。

 

そうすると、「手元資金が十分なのか、否か」を見るバロメーターとして『流動負債』を考えれば良いことがわかる。

『手元資金』がこの流動負債を上回る状態であれば、ともかく1年間程度は「資金繰り的には安泰だ」と判断できる。

これが『手元資金』として超えなければならない、第一の一番低いハードルだ。

あなたの企業に流動負債を上回る手元資金があるか、チェック!

 

しかし、実際の企業経営で加えて考えておかねばならないのが「給与と賞与」だ。

給与は毎月の損益の中で計上されているが、「資金支出」としては別だ。

また、賞与は通常は年2回、資金支出されるが、総額の12分の1ぐらいは資金支出予定として毎月積み立てておく必要がある。

それを会計で取り入れる場合は、流動負債に『賞与引当金』を設けて備えるわけだ。

しかし取り入れていない場合は、別途考える必要がある。

したがって、第二のハードルとしては、流動負債に「給与・賞与を加えて考えておく」必要がある。

あなたの企業は「流動負債+給与・賞与」を上回る手元資金があるか、チェック!

 

さらに、もう少し視点を長くして、手元資金有り高をチェックしたい場合は「月次売上高」を指標に使う。

月次売上高は、事業にとっての「1か月間の生活費」だ。

つまり、手元資金を月次売上高を比べて「何カ月分の生活費が手元資金としてあるのか」知っておくことで推測することが出来る。

あなたの企業は手元資金と月次売上高を比較して向こう何カ月分の生活費があるのか、チェック!

 

このような考え方をもとに、経営分析では『流動比率』『当座比率』『手元流動性比率』などという用語があるが、

興味ある方は、各自でそれぞれを調べていただきたい。

 

さらにもう一つ、「売買活動に関する資金」も考えてみよう。

販売に関係する資金運用には『売上債権』と『棚卸資産』がある。

一方、購買に関する資金調達には『支払手形』や『買掛金』などの「買入債務」がある。

つまり、売買活動では「買入債務」という形で資金調達をし、売上債権と棚卸資産という形で資金運用をしているわけだ。

売買活動は買入債務で資金調達して、売上債権と棚卸資産に資金運用している!

 

たとえば、現金商売は「資金繰りが楽だ」と言われる。その理由は購買で資金調達はするけれど、販売で資金運用はしないからだ。

話を戻すと、「(売上債権+棚卸資産)ー買入債務」の差額分だけ、最低でも資金調達が必要ということになる。

仮に、売上債権+棚卸資産が500万円あって、買入債務が200万円ならば、300万円資金調達しなければならない。

そして、この300万円が『手元資金』としてあるのかということだ。

このことを『運転資金要調達高』と呼ぶ。

売上が著しく伸びている企業は、この『運転資金要調達高』もどんどん必要になるので、もし調達できないと

いわゆる「黒字倒産」ということになる。

運転資金要調達高が調達できていないと『黒字倒産』になる!

 

 

このような一般的な会計の見方が『経営分析』と呼ばれているわけだが

大事なことは経営分析と呼ばれる一般的な杓子定規な見方だけで見るのではなく、自分で考えることだ。

それが生きた経営分析であり、自社の経営ノウハウになっていく。