409.図解 事業戦略策定 25

2019年4月12日

戦略論の第11回は、ジャック・ウェルチの「ウィング」です。

ウィニングは、2005年米国ゼネラル・エレクトリック(GE)の元CEO、ジャック・ウェルチによって書かれた書籍です。

ご存知の方も多いかと思います。

日本では『勝利の経営』と訳されており、その中で、経営の第一歩は「現実をよく知ることだ」と言っています。

経営者は、客観的にもっと社内のことを知るべきなのかもわかりません。

 

1 4つの原則 -社内組織の根底に流れているもの

勝利する経営をするためには、社内の根底に流れている「原則」にもっとパワーを与えるべきだと言っています。

原則とは、「経営理念と行動規範」、「素直さ」、「選別」、「発言権と尊厳」の4つです。

それらの表現はともかく、その意味するところを紹介しましょう。

(1)経営理念(ミッション)と行動規範(バリュー)

経営理念とは、「自社の事業でどうやって勝とうとしているのか」という問いかけに対する回答です。

優れた経営理念は、収益を上げるための方向性を明確にし、社員に自分たちはこの大きなミッションを一緒にめざす一員なのだ!

という気持ちにさせます。

経営理念を作るのは経営者の仕事・責任であり、誰かに委譲して作らせるものでもはないし、また作らせるべきものでもないと

言っています。

行動規範は、具体的で、詳細であり、明確に記述され、想像の余地がないものにしなくてならいと言います。

行動規範は、経営理念をいかに行動に移すかということであり、勝利するという目標を達成するための手段であり、

言い換えれば、業務命令としてそのまま使えるようなものでなくてはならないと主張します。

行動規範を作るにあたっては、経営理念とは違い、全員が発言できる機会を設けて、最終的に多くの人から広く賛同を得られる

ものにしなければならない。

問題は行動規範が実行に移せる担保であり、それが「信賞必罰」であり、信賞必罰が行動規範を浸透させるとウェルチは言います。

(2)率直さ

言うべきことを言えるような組織にしなければ、いいアイデアや迅速な行動の邪魔となり、さらに優秀な社員が会社に貢献しようと

する行動をやめさせることにもなりかねません。素直さとは、思ったことが言える組織風土です。

言いたいことが言える組織は、全員の参画意欲を高め、さらにスピード感も高め、またコスト削減にも結び付きます。

人は本音を話さないほうがラクですから、思うことを話さないものなのかもわかりません。

であるならば、報酬を与えてまで褒めて語り続ける組織を作ることが大切だと、ウェルチは言います。

(3)選別

会社には限られた資金」と「時間」しかありません。

勝ち組のリーダーは、見返りのもっとも高い分野に投資し、それ以外の損が出るものは切るという判断をしなければなりません。

そこでウェルチは、選別とは人とビジネスを管理する方法であると言っています。

ビジネスは強いビジネスでない限り、テコ入れするか、撤退するかの判断をし、人の組織構成はトップ層20%、ミドル層70%、

ボトム層10%に分類して、トップにはふさわしい待遇を、ミドルはトップに引き上げる育成を、ボトムには辞めてもらうしかない

とアメリカン経営らしいことを言っています。

選別は、エネルギッシュで外向きな人にとっては有利となりますが、内気で内向的な人にとっては有能であっても不利になると

割切っています。

(4)発言権と尊厳

発言権と尊厳が、会社にとってすべての人的資源とすべての頭脳を使う方法であるといいます。

発言権とは、国籍や性別・年齢・経歴・役職などにかかわらず、自分の思っていることを聞いていもらえる機会と権利のことです。

尊厳とは、人々は人々から敬意をもって接してもらえる権利のことです。

 

2.部下の成長を導く8つのルール

リーダーになるまでは「成功とは自分自身が成長する」ことですが、リーダーになると「成功とは他人を成長させる」ことに

なります。リーダーが部下を成長に導くルールが、次の8項目です。

(1)部下に自信を持たせること

チームの成績向上をめざして、あらゆる機会をとらえて、部下をコーチし、自信を持たせることです。

(2)部下に経営理念を得心させること

経営理念を覚えさせるとか、表面的に理解させるとかだけではなく、部下が共感し、納得し、そして素晴らしいと称賛するまで、

説明することです。

(3)部下をポジティブ志向にさせること

部下のもとに飛び込んで、ポジティブなエネルギーと楽天的な志向を吹き込み、常にアグレッシブな状況をつくることです。

(4)部下の信頼を築くこと

素直な態度で部下と接し、常に部下に対して透明性を保ち、部下を信用して、部下との信頼を築くことです。

(5)部下に迎合しない勇気を持つこと

ときには、部下から嫌がれるかもわからない決断を勇気をもって下す勇気や、自分の直感を信じて決断する勇気を持つことです。

(6)部下の激励は恥ずかしがらずにやること

常に好奇心と疑問をもって部下とコミュニケーションを持ち、そして励まし、部下が行動で答えられるように仕向けることです。

(7)部下に対して率先垂範であること

結果に対する責任は自分がとるという姿勢を堅持しつつ、部下には学ぶことを奨励し、自ら率先垂範することです。

(8)部下を思いっきり誉めること

部下に対する称賛やお祝いは、少し派手ぐらいにするとことです。

 

『ウィニング』は「理論」ではなく、ジャック・ウェルチの「経験論」です。

ですから、その一つ一つに凄い説得力と、ある反面、疑問も感じるところもあるかもしれません。

しかし、その背景も考えながら理解に努めると、多くの示唆が得られる経営書です。

ぜひ、自社もウィニングを掴みましょう!

 

戦略を考えるにあたって重要なことは、『思い込み』なるものを打ち破ることです。

私たちは思いのほか、思い込みに囚われて、生活や仕事をしています。

その結果が「いま」であることを忘れてはいけないと思います。

違う結果を得たいと思うのであれば、『思い込み』を打ち破るしかありません。