252.緊急コラム 適格請求書

2016年3月16日

皆さん、「適格請求書発行事業者登録制度」ってご存知だろうか?

消費税率は(最近少し怪しくなってきたが・・)ご承知のとおり、予定では来年29年4月より10%へ引き上げられます。

しかし軽減税率が導入されるにあたり、同時に「適格請求書等保存方式(インボイス方式)」が10年かけて導入されることに決まりました。

 

この改正は、免税事業者等にとって実質増税となる大きな改正です。

今回は緊急コラムとしてこのテーマを取り上げます。

 

結論から申しあげますと、この適格請求書等保存方式(インボイス方式)の導入によって、消費税の免税事業者からの仕入税額控除が段階的に廃止されます。また免税事業者は適格請求書(インボイス)が発行できませんので、益税はなくなります。

適格請求書を発行するためには「適格請求書発行事業者登録制度」に登録しなければなりません。

では、適格請求書発行事業者登録制度とはどのような制度なのでしょうか?

 

■適格請求書発行事業者登録制度の概要

1.適格請求書発行事業者とは

 免税事業者以外の事業者であって、納税地を所轄する税務署長に申請書を提出し、適格請求書を交付することのできる事業者として登録を受けた事業者をいいます。なお、この登録は平成31年4月1日からその申請を受け付ける予定となっています。

 

2.適格請求書発行事業者の公表

 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号は、インターネットを通じて登録後すみやかに公表するとされています。

 

3.事業者免税点制度との適用関係

 登録を受けた日の属する課税期間の翌課税期間以後の課税期間については、登録取り消しを求める届出書の提出を行わない限り
事業者免税点制度は適用しないとなっています。

 

■適格請求書の記載事項

1.適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号

  *登録番号は昨年27年秋に通知された13桁の「法人番号」と思われます。

2.課税資産の譲渡等を行った年月日

3.課税資産の譲渡に係る資産又は役務の内容

4.課税資産の譲渡等に係る税抜価額又は税込価額を、税率の異なるごとに区分して合計した金額及び適用税率

5.消費税等

 

■税額の計算方法

1.売上げに係る税額の計算方法

 税率の異なるごとに区分した課税標準である金額の合計額にそれぞれの税率を乗じて計算するか、

 適格請求書発行事業者が交付した適格請求書の写しを保存している場合は記載した消費税額等を積み上げて計算する。

2.仕入れに係る税額の計算方法

 原則として適格請求書に記載された消費税額等を積み上げて計算する。

 

■免税事業者等からの課税仕入れに係る経過措置

1.平成29年4月から平成33年3月までの4年間 100%控除できる

2.平成33年4月から平成36年3月までの3年間 80%控除できる

3.平成36年4月から平成39年3月までの3年間 50%控除できる

4.平成39年4月以降             控除できない

 

 

 

まだ細かなことは多々ありますが、概要は以上のとおりです。

ただし、これらのことはまだ正式に決まったわけではなく、あくまでも平成28年度税制大綱に基づいています。

しかし来年からの消費税改正は税率10%にポイントがあるのではなく、適格請求書等保存方式(インボイス方式)と適格請求書発行事業者登録制度にあることはお分かりいただけたかと思います。

我が国は、全事業者に占める免税事業者の割合は4割といわれており、その影響額は8000億円に達すると言われています。

今後、スモールビジネス経営者の経営手腕が問われることは間違いありません。