160.マーケティング 組織分析フレーム7S

2014年3月15日

第11話 組織分析のフレームワーク7S

経営戦略を遂行するためには組織を分析し、企業戦略に応じて組織を変更しなければならない。
その際に活用できるのが、マッキンゼーによって提唱されている『組織分析のフレームワーク7S』だ。
具体的には下図のようなフレームワークだ。 

            <組織分析のフレームワーク7S>

組織分析のフレームワーク7S

1.組織分析のフレームワーク7Sとは

会社の経営組織は次の7つの項目からなっていると考えられる。
(1)共通の価値観や理念(Shared values)
いわゆる企業理念であり、長年、事業を継続して育まれてきた無意識の価値観だ。特に技術系やものづくり系の企業に多い。
いいものを作るだけが我々の仕事だとか、鉄道であれば安全運行さえしていればいいというような暗黙の価値観だ。
(2)経営スタイルや組織風土(Style)
知らず知らずのうちに縛られている暗黙知であり、出る杭は打たれる組織風土だ。特にオーナー経営系の企業に多い。
あまりにもオーナーの成功体験が強く、言いたいことも言えず、物言うことが逆らっているように思われる組織だ。
(3)人材(Staff)
人材は基本的に組織の中にしかおらず、育成するしかない。たとえヘッドハンティングしても、なかなか組織の中で活かすのは至難の業だ。たとえば店頭公開をめざし人材を外部から招聘した事例などを何度か見るが、その多くは頓挫する。理由は明白、その人材が居た組織といまの組織とは違い、以前の手法を持って改革しようとしても人はついて来ないからだ。
(4)能力(Skills)
人の能力、たとえば、営業力であったり、技術力、マーケティング力など一朝一夕には変わらない。新しい手法、他社での成功した手法を導入したからといって、自社では成功しない。自社の能力に合った手法にカスタマイズする必要がある。
(5)社内の仕組み(Systems)
社内のシステムを変えるのは比較的たやすい。たとえば、評価システムであったり会計制度などであれば、変更すれば何とかなる。しかし、システムも人によるシステム(報告など情報の流れ)であれば変更することは難しい。
(6)組織構造(Structure)
組織構造とは組織体系などの変更のことをいうが、変更さえすれば機能するので比較的しやすい。
(7)戦略(Strategy)
戦略とは事業の優位性を保つための方策だが、立案することは難しいが、決定さえすれば周知徹底することは容易い。

2.ハードのSとソフトのS

ハードのSとは、戦略・組織構造・社内の仕組みの3Sをいう。
ソフトのSとは、共通の価値観や理念・経営スタイルや組織風土・人材・能力の4Sをいう。
ハードのSは企業努力によって比較的短期間で変更できるが、ソフトのSは容易ではない。ここを抑えておく必要がある。

3.7Sのポイント

(1)共通の価値観や理念(Shared values):価格中心からお客様中心に考える
(2)経営スタイルや組織風土(Style):社内事情よりお客様を起点とした行動規範が重要
(3)人材(Staff):売るだけの人材から継続的に売れる人材へ
(4)能力(Skills):コスト管理能力からマーケティング能力へ
(5)社内の仕組み(Systems):管理・年功序列から権限委譲と自ら考える人への評価
(6)組織構造(Structure):縦割り組織から顧客横断型組織へ
(7)戦略(Strategy):製品志向から市場志向・マーケティング志向へ

 

優れた企業はこれら7つの要素を互いに補完しあい、強め合いながら戦略を実行している。
貴社もまずはそのような意識を持って戦略を遂行し始めることが大事だ。