516.会計によるリスク管理法⑥ 棚卸資産

2021年5月22日

リスク管理観点から会計を捉えるシリーズ第6回 棚卸資産

 

 ますます悪化しているコロナ感染状況ですが、経営に対してどのような悪影響が訪れるのか、予測することは難しく、

したがって「守りの経営」への舵取りが重要となっています。

「リスク管理観点から会計を捉えるシリーズ」の第6回は『棚卸資産』がテーマです。

 

 棚卸資産が引き金で経営危機に陥ることは少ないと思いますが、しかし、赤字企業『共通の病巣』は過剰な棚卸資産であることが

ハッキリしています。

その意味では、過剰な棚卸資産は人間でたとえれば生活習慣病みたいなものであり、企業寿命を確実に蝕んで行きます。

したがって、リスク管理の対象としても、少しもおかしくはありません。

 

1 棚卸資産とは

 棚卸資産とは売上の玉でもあり、また売り残った商品や製品等でもあります。

これから確実に売れると思われる商品・製品は在庫として適切なモノではありますが、売れ残った商品・製品等は極力少なくしたい

ものです。したがって、売れるだけの商品・製品を持つように、常に在庫の管理はしたいものです。

 

 そこで、在庫管理の目的・メリットを整理してみましょう。

(1)在庫管理は売上を増加させる

 顧客から注文が入ったときに、もし商品がなかったらどうなるでしょうか。

せっかくの販売機会を失くし、売上を逃してしまうことになります。場合によっては、次の販売チャンスまでも失ってしまいます。

そんな欠品などによる機会損失のリスクを防ぐのが、在庫管理の第一の目的です。

需要に応えられるだけの適切な在庫を常に維持し、いざという時、供給できるように管理することで、売上をより増加させることが

できます。

(2)在庫管理は顧客の満足度を上げる

 お客さまが必要なときに、必要な商品を提供できることは、当然のことながら顧客満足度を高くさせます。

結果的に、リピートやクチコミなどでの評判が拡がる可能性もあります。

顧客にとっては「納期」は最大の関心事のひとつですので、希望する納期に提供する企業は信用度も高くなります。

つまり、需要に応えられるように在庫を持っておくことは、顧客や取引先からの「顧客満足度」を高められるということです。

(3)在庫管理はコストを削減する

 在庫を抱えすぎると、どうなるのでしょうか。

倉庫を管理するための人件費や光熱費がかかるだけでなく、余らせてしまった在庫の廃棄処分にも費用がかかってしまいます。

つまり、適正な在庫を常に把握して、不要な在庫を抱えないことも、在庫管理の大切な目的です。

そうすることで本来不要なコストを減らすことができ、結果的に利益の向上につながります。

(4)在庫管理は資金繰りも良くする

 在庫とは、企業がキャッシュ(現金)を使って、再びより多くの現金を得るために仕入れたモノといえます。

ということは、在庫を抱えた分だけ、使えるキャッシュが減ってしまうということです。

過剰な在庫を抱えてしまった場合、投資した分が回収できなくなりますので、資金繰りの悪化を招くのは必然と言えます。

適正な在庫を保ち、資金繰りを良好にさせることこそ、在庫管理の最大の目的といえるのかもわりません。

(5)在庫管理は製品の品質を安定させる

 商品は、当然のことながら、時間が経つに連れ劣化していきます。

たとえ丁寧に管理しても、季節による湿気や乾燥の変化などによって、少なからず影響を受けてしまうからです。

そうなると、商品や製品としての価値が下がりかねません。

最悪の場合、倉庫内で異物混入が起こって、大きな事故につながる恐れもあります。

こうした劣化による利益損失を起こさないためにも、在庫管理で在庫高を適正に保ち続けることは、大変大事なことです。

 

 このように棚卸資産の在庫管理は事業にとって大変重要であり、メリットも多くもたらします。

 

 

2 「棚卸資産」のリスク管理

 では、棚卸資産のリスク管理をどのように考えればよいのでしょうか?

(1)目検

 まず第一は「目検」です。

適時に倉庫に出向いて、各商品の量や保管状態を見るということです。

これは非常に大切なことで、ぜひとも経営者自らもしたいものです。

(2)会計帳簿からチェックする

 いまひとつは会計帳簿からチェックをするということです。 このチェックは次の算式でできます。

棚卸資産 ÷ 1日当りの売上原価 = 棚卸資産回転期間(日数)

 一般的には分母は「1日当りの売上高」で計算することが多いのですが、これだと売上高には粗利益が含まれていますので、

どうしても分母が大きくなりますので、結果、棚卸資産回転期間は短く算出されてしまいます。

そうすると、常に在庫量が少ないように思えますので、「適正在庫」だと在庫の判断が甘くなります。

 そんな勘違いをしないためには、分母を「1日当りの売上原価」にすることです。

こうして計算することで、より実態に即した棚卸資産回転期間となります。

 この棚卸資産回転期間は当然のことながら業種によって大きな違いがありますので、自社の適正な棚卸資産回転期間を把握する

必要があります。ちなみに製造関係なら1ヵ月程度、商品卸・小売関係なら20日前後、宿泊・飲食関係なら5日程度でしょうか。

ただし、優良企業であればあるほど、この棚卸資産回転期間は短くなっていることを知ってください。

(3)在庫管理を行う

 最後に大切なことは「在庫管理」を行うということです。

ただし、決算・申告のために期末に行うということではなく、最低でも毎月行うということが重要です。

具体的な方法については業種・業態によって違いますので、ぜひとも自社で考えましょう。

〔ここでひと言!〕

 在庫管理というと、どのソフトウェアで行うか?という発想になりがちですが、システムで行うためには、まずは手計算で行えて

いることが前提です。手計算で行えていないのに、システム導入すれば在庫管理ができるということはありません。

 

つづく・・

 

戦略を考えるにあたって重要なことは、『思い込み』なるものを打ち破ることです。

私たちは思いの外、『思い込み』に囚われて生活や仕事をしています。

そしてその結果が「いまである」ということを忘れてはいけないと思います。

違う結果を得たいのであれば、『思い込み』を打ち破るしかありません。

-------------------------------------------------

インプルーブ研究所はITウェブサイト・マーケティング・経営会計で貴社の発展に尽力しています。

ぜひ、一度お話いたしませんか? お問い合わせはお気軽に コチラ から

-------------------------------------------------