6.経営に活かす会計の基本

2009年7月11日

今回から本来の会計の目的であった「経営に活かす会計」について解き明かして行きたいと思います。会計は元来、外部報告のためのものではなく、会社として記録を正しく取ることあったわけです。正しい記録を取ることによってそれを加工し自社資料として活かし、最終的にはもちろん外部報告(決算)するときの資料にもなったわけです。それがいつのまにか最終的な活用だけが目的化してしまい、本来の目的(社内資料として活かすこと)が外されてしまったわけです。現在は最終的な活用目的(決算)だけがどんどん発展し、制度会計として経営者から見れば、日常から離れた難しい存在として会計はあるわけです。
ではどうすれば、元来の経営のための会計となるのか。

ひとつの処理内容に一つの勘定科目(内訳科目)を設ける
「会計が難しい」言われる原因としては用語が非日常的な専門用語であることが指摘できますが、さらにもう一つ原因があります。それは各勘定科目に何が処理されているのか分からないことです。通常、会計というと会計事務所の言うとおり処理し、その結果、試算表が送られて来ます。その試算表をよく見てください・・。BS・PLともに金額ゼロの勘定科目がたくさんありませんか?なぜ、こうなるのでしょうか。これは会計指導が決算申告に焦点を合わせてなされているからです。このような会計を財務会計あるいは制度会計といいます。他方、金額が表示されている科目を見てください・・。すべての科目について何が処理されているか分かりますか?例えば「租税公課」という科目。租税公課とは国政・地方・地方公共団体の賦課金や収入印紙を処理する科目であり、具体的には法人税や消費税、あるいは法人地方税・自動車税、収入印紙税等を処理します。であれば、租税公課の下に法人税、消費税、法人地方税、自動車税、収入印紙税など科目を設けたら分かりやすいと思いませんか。さらに売掛金・・。得意先件数が少なければ、売掛金の下に得意先ごとに内訳を設けたら、どの得意先に売掛金がいくら残っているか分かることになります。便利だと思いませんか。
このように経営に役立つわかりやすい会計にするためには、科目と使用内容が1対1の関係であることが重要です。またこうすれば仕訳間違いもなくなります。

取引データはなるべく細分化して入力する
経営に役立つ会計にするためには取引データを細分化して入力する必要があります。例えば売上高を月末に一括計上すれば入力は一回で済みますが、データを一塊で入力しているため、それ以上は分析することができません。しかし、売上を発生の都度、得意先ごとに(あるいは商品ごとに)分けて入力すれば、日々の売上と得意先ごと(商品ごと)の売上が分かります。従って、前年同日比較や得意先ごと(商品ごと)の売上増減も分かるようになります。このように経営に役立つ会計にするためには、データをどんどん細分化して入力する必要があります。
データ入力件数が多くなったということは会社の規模が大きくなったか、経営に役立つ会計に移行できているか、どちらかを表します。

データは毎日入力する
毎日パソコンに取引データを入力すれば、今日の状況は明日には分かります。1週間まとめて入力すれば、1週間後でないと分かりません。月末にまとめて入力すれば翌月にならないと会社の状況は分かりません。当たり前のことですよね。経営に役立つ会計にするためには毎日入力することが基本です。
また、毎日取引データ入力すれば、1日の入力作業は数10分もあれば終わります。それを1週間まとめれば2~3時間かかることになります。さらに1ヶ月間まとめれば2~3日かかることになります。なお、毎日取引データを入力するためには、現金を終業前に締切らないと入力できません。従って、現金は午後4時になれば入出金の受付はしないとかの社内ルールを作る必要があります。

自計化(自社パソコンでの会計処理)が原則
これらをするためには、自社パソコンで会計処理を行う必要があります。パソコンで処理してこそ、会社の状況等がすぐわかるのですから。但し、ポイントがいくつかあります。 まずは正しい会計処理であることを第三者にチェックしてもらうと同時に、チェックを受けたデータは修正することができなくなる仕組みを持つことです。自社で入力したデータが必ずしも会計・税務的観点から見て、正しいとは限りません。そのためには専門家の監査を受ける必要があります。また同時に監査を受けたデータは修正できないように保護をかけないと意味がありません。監査は受けたけれど、またそのデータは変更できるようでは、監査を受けた意味はありませんからね。
次に経営に役立つ会計という観点から考えれば、さまざまな管理資料が見られる、あるいは印刷できなければなりません。また同時にこのデータが決算・申告につながらなければ再度データを入力する必要があるので、制度会計と統合化されていなければなりません。
さらに社長がじっくり会社状況を見るあるいは分析するためには、会計ソフトがインストールされている経理担当者のパソコンと社長のパソコンがピアツーピアで接続できなければなりません。
このような会計ソフトが理想ですが、TKC全国会の会計事務所が勧めている『FX2』であれば、これらの条件を満たしています。ぜひ、FX2の利用をお勧めします。

リテラシーをあげる
より自計化によって成果をあげるためには、社長ご自身、パソコンリテラシーを向上させる必要があります。リテラシーとは「使いこなせる」という意味です。これからはパソコンを避けて経営することはできません。会計ソフトはパッケージですから恐らく必要な資料すべては出てこないと思います。だから低コストで利用できるのです。これをオーダーメイドにすると数百万円はかかります。しかしパソコン会計ソフトからはデータを取り出し、エクセルなどで加工し必要な資料を作成することができます。必要なリテラシーとはワード・エクセル・e-メール・インターネットなどができれば十分だと思います。

 

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