481.主な戦略理論 戦略理論のまとめ

2020年9月12日

これまで戦略理論として、「アンゾフの商品市場戦略論」、「ポーターの基本戦略論」、「ブルーオーシャン戦略論」、

「凋落を避ける戦略論イノベーションのジレンマ」そして「ランチェスター戦略論」を紹介して来ましたが、

今回はそれら戦略理論をまとめてみましょう。

《パラダイムシフト イメージ図》

 

1 中小企業に「戦略論」は必要か

 戦略とは、簡単にいえば「経営のやり方を考えて、事業を工夫すること」といえます。

しかしそのように事業を工夫することが、一人や少人数で事業を行っている中小企業でも必要なの? という疑問が起こります。

私一人でだからとか、たった3人だからとか、別にそんな大上段に構えなくてもいい・・ということです。

しかし、答えは「YES」なのです。

 それは、なぜでしょうか。

それは「これまでとこれからでは、経営を取り巻く『枠組み』が違ってきている」からです。

そのことを「パラダイムシフト」と言います。

 パラダイムとは、常識とされている思考の枠組みのことです。

 シフトとは、変わるとか、移ることをいいます。

つまり、これまでの当たり前だった枠組みが変わってしまっているということです。

 

 これまで日本経済は「人口増加」「生産性の向上」という二つのことを前提に成り立ってきました。

私たちは意識する・しないに関わらず、人口は増えて、作れば売れるとごく自然に思い込んで、経営というものを捉えてきました。

しかしそれがいま、「人口減少」かつ「高齢化」という、これまで経験をしていないことが起こり出しています。

そのうえに長寿化が進み、いまや「人生は百年」と言われるようになりましたが、その一方で年金支給額が減額などされ、

国民の間では「将来不安」が広がっており、消費が減退するという事態が起こっています。

そしてさらに、「新型コロナウイルス」の影響です。

 

非常に激しいパラダイムシフトが起こっており、漫然と経営をしていれば経営ができる時代は終わり

事業を営む以上「事業経営を工夫していく戦略」が必要となっている。

企業の規模を問わず、戦略に基づく経営が求められている!

 

 

2 中小企業の戦略は「ニッチ」と「差別化」が基本

 これまでいくつかの戦略理論を紹介して来ました。

それぞれ表現の違いはあるかもわかりませんが、経営資源が少ない中小企業の取るべき戦略の基本は「ニッチ」と「差別化」です。

だれも進出して来ないような小さな市場で、顧客と十分スキンシップを図り、経営資源を集中するということです。

 品目よりも「品揃え」、間接よりも「直接販売」、そして「小回りの利くサービス」を「スピーディ」に「確実に」行う。

そんなイメージです。

 ポーターはそのことを「集中戦略」と呼んでいました。 地域一番店を目指すということです。

またそのようなプロセスでたどり着く市場のことを「ブルーオーシャン」とも呼んでいます。

 

3 ニッチと差別化で、まずは「市場浸透」を

 ニッチ化と差別化でまず成すべきことは、市場浸透、深堀りです。 一見さんではなく、お得意さんにするということです。

その過程でくみ取った顧客ニーズにより、新たな商品開発を心がけることで、深みに幅が生まれてきます。

 それをアンゾフは、「市場浸透→新商品開発→新市場開拓→経営の多角化」とモデル化しましたが、

その中でも中小企業としての基本は、市場浸透と新商品開発までです。

また、ここまでが一般の中小企業がたどり着ける「ブルーオーシャン」でもあります。

 それ以上はごく一部の企業だけが中堅化あるいは大企業化してやっていくのでしょうが、

当然、リターンも大きくなれば、リスクも大きくなります。さらには人材も必要になってきます。

 

4 いつまでも活力ある事業体としていくためには

 小さな成功でも続けて行くと、経営も技術も、現状の延長線上を辿ってしまうことが多くなります。

何とかうまく行っているのですからね。

それを「強み伝いの経営」といいますが、それがいつの間にか社長指示待ちの企業体質にさせ、保守的な組織風土に育てます。

そして、時代や社会との乖離が大きくなり、やがて事業は廃れていくという流れになってしまいます。

 しかし、事業はたとえ少人数といえども、家族も従業員の人生を預かっているわけです。

さらに、お客様や仕入先に対する責任もあります。

その意味で、企業は「ゴーイングコンサーン(Going Concern)」を目指さなくてはなりません。

 

 強み伝いの経営や技術開発に終始するのではなく、

企業経営は経営者ではなく、お客様を見る経営をしていく必要がある!

 

 そこで重要なことは、その取り組もうとしていることが「持続的イノベーション」なのか、「破壊的イノベーション」なのか

ハッキリ認識し、対応を変えていくことです。

 

 戦略理論は数多くありますが、いずれも専門の学者や実力あるコンサルタントが考案されたものばかりですので、参考になること

は必ずあります。もし、あまり参考にならないと考えられるのであれば、それは自分の読み込みが足らないと謙虚に理解されるべき

かと思います

 そしてより実務で活かそうとするのであれば、それらをもとに、各社なりにまた各経営者なりにカスタマイズしていく必要があり

ます。なぜなら、たとえ同業種であっても、同一の企業は一つとして無いからです。

その意味では「当社であれば、どういうことになるのだろう?」と常に問いかけながら、戦略理論を理解する姿勢が大切です。

 

 

戦略を考えるにあたって重要なことは『思い込み』なるものを打ち破ることです。

私たちは思いのほか、思い込みに囚われて生活や仕事をしています。

そして、その結果が「いま現在である」ということを忘れてはいけないと思います。

違う結果を得たいと思うのであれば、『思い込み』を打ち破るしかありません。

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