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372.平成28年度 会社標本調査

2018年7月21日 印刷用ページ

国税庁「平成28年度分会社標本調査」

毎年4月になると、国税庁から「会社標本調査」が発表されています。
これは、前々年4月から前年3月までの間に事業が終了した法人企業の申告書に基づいて調査されたもので、
最新の法人経営状況がわかります。
今年は、平成28年4月1日から平成29年3月31日までの間に事業が終了した法人企業の申告書に基づいて発表されており、
法人の経営状況は次のとおりです。

 

1 法人企業の経営状況

(1)法人企業数

連結子会社を含む法人企業は2,672,033社であり、前年度と比べて30,185社、1.1%増加したそうです。
しかし、資本金別にみると次のようになります。

 資本金1,000万円以下  2,294,035社(85.9%)  前年2,262,380社  増減+31,655社
    1千万超~1億円以下   355,112 (13.3%)      356,019        -907
    1億超~10億円以下    16,711 ( 0.6%)       17,233        -522
    10億円超          6,175 ( 0.2%)        6,216         -41

増加している法人は、資本金1千万円のみであり、それ以外はすべて減少しています。
この傾向は平成23年以降続いており、大企業においては「統廃合」が進んでいることを示しています。
つまり、企業の一極集中化が徐々に進んでいるということです。ちょっと恐ろしいですね。   
なお、連結子会社を含む法人企業数は平成24年までは3年連続で減少していましたが、
25年から増加に転じて、4年連続増加しています。

(2)利益計上法人

利益計上法人とは、所得金額がプラスの法人であり、法人税等が発生し、納税している法人ということです。
その利益計上法人は970,698社であり、昨年より31,121社、3.3%増加し、6年連続で増加しています。

(3)欠損法人

欠損法人とは、所得金額がマイナスの法人であり、法人税等を納める必要がなかった法人です。
つまり、繰越欠損がある法人企業ということになります。
その欠損法人は1,689,427社であり、昨年より1,432社、0.1%減少し、7年連続で減少しています。

(4)欠損法人割合

これで28年度分の欠損企業割合は63.5%となり、21年度分・22年度分の72.8%をピークに、
6年連続で減少しています。
これもアベノミクスの効果なのでしょうか? いや、皆さん経営者の努力成果です。
しかしながら依然として、「3社に2社は欠損法人」という大勢に変化はありません。

では次に、利益計上法人と欠損法人では、財務上、どこがどう違うのか、見て行きましょう。

 

2 利益計上法人と欠損法人のちがい

(1)売上総利益が違う

「売上高」ももちろん違うのですが、それよりも大きな違いは「売上総利益」です。
原価率が抑えられていると見るべきところもあるのでしょうが、実は売上単価も違うということです。
つまり、無駄な原価は発生させないという『原価意識』だけではなく、
販売価格だけで勝負しないで、『中身・価値で勝負』しているということです。

(2)人件費が違う

「一人当たりの従業員人件費」にも大きな差があります。
それでいて、売上総利益に占める人件費の割合「労働分配率」は、欠損法人よりも低くなっています。
モチベーションは人件費だけが全てだというつもりはありませんが、将来のことも考えて安心して働けるので、人財・技術の蓄積ができ、それが付加価値の形成のもととなり、販売価格だけで勝負をしない『付加価値経営』を実現させているものと思われます。

(3)経費率が違う

経営者・従業員のモチベーションの高さが経費にも表れ、『経費コスト』を下げています。
それによって、たとえ同じ粗利益であっても、残る利益には大きな差となって表れています。
つまり、『儲けがでる社内構造』が出来上がっているということです。

(4)これらが財政状況にも現れている

このような損益の違いが、当然のことながら財政状況にも反映されています。
具体的には、次のようなところに現れてきます。

 

3 利益計上法人と欠損法人の財政状況のちがい

(1)自己資本の割合

欠損法人ということは、繰越利益剰余金がマイナスですから、自己資本である「純資産」は資本金を割り込んでいます。
すると、「自己資本比率」は低くくなるということです。
過度な節税ばかりしていると、繰越利益は積み立てられません。
節税は、一見、税金を得したような気分にさせるのかもわかりませんが、過度な節税は「無駄遣いしている」のと同じことです。
さらに、社内のモラルも下げてしまいます。 過度な節税には気をつけましょう。

(2)銀行借入金(有利子負債)の割合

欠損法人ということは、繰越利益剰余金がないわけですから、事業資金が足りるはずがありません。
したがって、資金調達するには、銀行から借入れを起こすか、役員借入として経営者が資金を提供するしかありません。
欠損企業は基本的に社内のモラルも低くなっていますので、融資を受けて、支払利息と返済分を稼ぐことは至難の業です。
役員借入も返済を受けるどころが、ますます積み増しすることが関の山です。
融資を受けるということは、それを元手にして、融資金額と金利分を稼ぎ、さらに利益を残すというのが、融資の本来です。
このことをよく自覚しましょう。

(3)手元資金の割合

欠損法人という状態で、手元資金(現預金)が増えるはずはありません。
なぜなら、売上よりも費用が多かったので「欠損」となり、だから税金も納める必要がなかったわけです。
売上とは、家計でいえば「総収入」であり、費用とは「生活費」です。
総収入より生活費の方が多いわけですから、おカネは残りません。
欠損法人から脱却するためには、売上高以内に原価や経費を抑えることが『鉄則』です。

(4)在庫(棚卸資産)の割合

在庫とは、簡単にいえば「売れ残り」です。したがって、通常は、帳簿どおりの資産価値はありません。
一般的に欠損法人ほど「在庫」は多くなっています。 それはなぜでしょうか?
答えは、「売上を伸ばしたいから」です。
売上を伸ばすためには、売れた場合のことを考えて、在庫を増やさなければなりません。
しかし、考えるべきことは「売れた場合」のことではなく、「売れるようにする工夫」です。
いままでと同じことを繰り返していて、仕入だけを増やしても、在庫が増えるだけです。
いままでと同じことを繰り返すだけでは売上高は上がりません。
いままでとは「何か」違うことをする必要があります。
それをするにはいろいろな抵抗が起こることも事実かと思いますが、それの先に、これまでは違う結果が待っているのです。

(5)固定資産の割合

欠損法人ほど、総資産に占める固定資産の割合は高くなっています。
その理由は、在庫と同じようなところにあります。
不要な資産は、まだ資産価値があるうちに、早く処分することが賢明です。
設備のダウンサイジングは『経営改善』の重要なポイントの一つです。

 

 

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パソコン会計をまだ導入されていない企業におかれては、一度、考えて見られたら、いかがでしょうか?

 

 

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