204.覚えなくとも読める財表-7

2015年1月20日

第6回 覚えなくとも読める財務諸表 -固定資産の読み方-

固定資産とは建物や機械等の設備、車両などを言います。

家計でいえば、住宅であり、クルマなどです。
ここで思い当たることは、住宅を建てたり、クルマを購入するに当たっては、なるべく 自・己・資・金 を貯めて購入するという
購買行動です。不足する部分は親などから資金を得たりなどして、極力、自己資金を増やして、それでも足りない部分を長期返済できる住宅ローンや自動車ローンで補います。しかもその時は自分の収入などと照らし合わせて自分の返済能力を考えてローンを組みます。

やはり事業も同じです。固定資産を購入するときにはまず自己資本と相談します。事業における自己資本とは資本金であり、これまでの繰越利益です。純資産と言います。
それでも不足する場合は長期の銀行借入金を調達しようとするわけですが、かつ自社の返済能力を考慮して長期借入金を組まなければなりません。

その基本行動を基に考えれば、自社の固定資産状況を判断するヒントが思い浮かびます。

 

1.固定資産と自己資本を比べる
固定資産とは先ほども述べたように、そのほとんどが建物であったり、機械設備であったり、車両あるいは土地など、有形固定資産です。一方、自己資本とは資本金と繰越利益、つまり、純資産と呼ばれるものです。
この二つを比べることによって、自社の固定資産度合いの適正度が判断できます。
現代の中小企業ではなかなか有りえないかもわかりませんが、固定資産の原資として約半分が自己資本であるようにしていくべきです。つまり、固定資産がもし1千万円あるのであれば、自己資本は5百万円程度はあるべきだということです。
大事なことは現状50%でなくともいいのです。大切なことは現状から徐々に50%程度へ近づけるマネジメント、経営姿勢です。

経営分析ではこのことを『固定比率』と呼んでいます。
固定比率という言葉を覚えることが重要なのではなく、自社の固定資産はなんとか自己資本の2倍以内程度の規模にしていくことを知るということです。

 

2.固定資産と固定性資本と比べる
もう一つの見方は自己資本だけでなく、固定負債を加えて判断します。固定負債とはちょっと難しいそうな言葉ですが、なんていうことはない、カンタンな言葉です。冒頭に住宅ローンとか自動車ローンとか言いましたが、それは長期間にわたって少しずつ返済できる借金のことを言います。会計ではそれらは固定負債というところにまとめられています。その固定負債に自己資本を加えたものを固定性資本といいます。したがって固定資産と自己資本に固定負債を加えたものである固定性資本と比べるということです。
固定資産は長く活かすものです。したがって固定資産の資金源は、自己資本だけでは無理であっても、固定性資本で賄っていなければなりません。そうでないと極端に言えば、住宅をお金が足りないからといって、カードローンで購入しているようなものです。
こう説明すると、いかに異常か、わかるかと思います。
しかし意外と会社経営においては、固定資産をカードローンで購入していることも間々あることなのです。つまり、固定資産がもし1千万円あるのであれば、少なくとも自己資本と固定負債は1千万円以上はないと大変おかしな設備投資をしているということになります。

経営分析ではこのことを『固定長期適合率』と呼んでいます。
固定長規適合率なんていう言葉、覚えられませんよね。覚えるひつようはありません。大事なことは自社の固定資産が自己資本と固定負債内かということです。そうでなければ、そうなるように経営をしていきましょう。

 

3.固定資産と利益を比べる
家計では住宅は住むのが目的ですが、事業において固定資産は利益を稼ぐのが目的です。そこの違いを認識しなければなりません。その意味で、自社の固定資産と利益(例えば、営業利益など)を比べることは重要です。
では一体どのくらい稼げばよいのでしょうか?
業種業態、業暦などによっていろいろ違いはありますが、一つの標準的な目標は40%です。つまり、固定資産1000万円使って事業をしているならば、営業利益は400万円程度あるべきということです。いま中小企業の平均値は0.5%程度です。つまり、1000万円の固定資産を運用して、その営業利益は10万円もないということです。
あらためてこう説明すると異常だと思いませんか。しかし、これが現実です。

 

 

もっと会計を駆使して、自社の実情を検査しなければならないと思いませんか。