469.自社の環境分析方法 5フォース分析

2020年6月20日

昨日6月19日から政府は自粛が要請していた都道府県境を越える移動の制限を解除した。

アフターコロナの経済活動はますます本格化してきたが、コロナ感染拡大「第二波」「第三波」に向けた経営対策も急がれる。

今回はそんな対策立案時にも役立つ経営環境分析方法『5フォース』を紹介しよう。

 

1 5フォースとは

前回の『SWOT分析』を思い出してほしい。

SWOTは経営環境をまず、外部環境と内部環境に分け、外部環境については機会と脅威を、内部環境については自社の強みと弱み

について分析する手法だった。

しかし、外部環境について、いきなり「機会と脅威」といわれてもチョッと命題がアバウトすぎると思われる方にとっては、この

『5フォース』が重宝する。

5フォースは外部環境をさらに細かくわけ、もれなく外部環境分析ができるように誘導してくれるからだ。

その外部環境分析のカテゴリーは、次の5つだ。

 (1)業界内の競争

そしてその業界内の競争をつくる要因として、

 (2)新規参入の脅威

 (3)代替品の脅威

 (4)買い手の交渉力

 (5)売り手の交渉力

この5カテゴリーを「Five Forces(5つのちから)」と呼ぶ。

これらの観点から、自社にとっての「機会」と「脅威」を分析して行けば、外部環境をもれることなく分析することができる。

では、その一つ一つについて、機会と脅威を見ていこう。

 

2 『業界内の競争』

・まず、一般的に同業者が多い業界は競争が激しければ、脅威が存在する。少なければ、機会が存在する。

・しかし、同業者が少なくても寡占状況になっている場合は大きな脅威がある。

・また業界成長率が低い業界であれば、脅威と言える。業界が著しく成長しているのであれば、機会が大いにある。

・さらに固定費の高い業界や在庫を多く持たねばならない業界は毎月のコストがかかるので、脅威があるともいえるし、

 またそのため新規参入が少なければ機会があるともいえる。

 

たとえば、日本で一番多い小売業である「パン小売業(ベーカリー)」を見てみると、最盛期(昭和47年)には19万軒もあった

店舗数は、現在では8万軒に減っている。

確かに同業者は多いし、一時パン離れもあったようだし、固定費や在庫もかかりそうなので、一見、機会はなさそうに思える。

しかし最近では、その脅威を分析し、逆手にとって機会を創造し、さまざまなベーカリーが現れて成長率を上げている。

また、新規参入も非常に多くなっている。

 

3 『新規参入の脅威』

新規参入者の多い業界はやはり脅威だ。しかし全くなくとも、それはそれで将来的なことを想像すればそれも脅威かもわからない。

新規参入者が多いということはそれだけ業界に魅力があるわけなので、その魅力を捕らえることができれば、機会となる。

ところで、新規参入は参入障壁の高さによって決まる。

具体的には、大きな設備投資が必要だとか、経験(経験曲線効果)がものをいうとか、法的な規制があるとか、などである。

そこを捕まえることが、機会創出につながる。

 

たとえば、米穀店は昔、食管法の関係で許認可制であったので、新規参入が少なく良き時代があった。

しかし現代はそうではないので、それに対応できない米穀店が多く倒産・廃業をしていっている。

その一方、そのピンチを領域拡大の機会と捉えられた事業者は大きく繁栄している。

 

4 『代替品の脅威』

代替品の脅威とは、自社の製品とは本来的に異なる商品だが、機能的には同等又はそれ以上の価値を提供する製品をいう。

代替品があればあるほど、その業界の脅威は高まることになる。

しかし代替は自社もできる戦略である。自社の経営資源を捉え直すことで事業領域を拡げることもできる。

そう考えれば、代替品も機会となる。

 

たとえば、日本酒とビール、ビールと焼酎、鉄道とバス、砂糖とシロップなど、意外に代替品が多いことに気づく。

もちろん、淘汰された企業もあるが、逆に事業領域やマーケティングを変化させ、拡大している企業もあることは周知のとおりで

ある。

 

5 『買い手の交渉力』

買い手とは、顧客又は得意先のことをいう。

顧客や得意先側の影響力があまりに強い業界だと、やはり脅威を感じる。

日本の社会は成熟化しているので、多くの業界において「買い手の交渉力」は強くなっている。

そうなると生産性などが下がり始めるので、脅威となる。

たとえば、住宅メーカーなどの場合、住いというものは顧客にとって一生に一度の高額な買い物なので、顧客に主導権があって

厳しい業界といえるが、他方、付加価値が上げられれば、顧客単価をあげることも可能となってくる。

また買い手の意思決定者を掴むことによって、自社の機会を増やせることにもなる。

 

さらに、買い手が片寄っている場合も脅威になる。

一面、売上高の多くを占める買い手(上得意先)は有り難い存在ではあるが、見方を変えれば、脅威になりうる存在でもある。

たとえば、上得意先が方向転換をし取引がなくなる場合や、主導権を握られていて足元を見られる場合などだ。

しかし、常に新しい付加価値を提供し、自社から離れられない状況にしてしまえば、逆に機会となりうる。

したがって、新しい付加価値の創造や新しい得意先の創造が非常に重要となる。

 

6 『売り手の交渉力』

 売り手とは、仕入先のことを指す。仕入先の力が強いと脅威といえる。

具体的には仕入れできる先が少ない場合や仕入先にとって自社が重要でない場合だ。

 

たとえば、原材料を仕入できるところが限られていればいるほど、仕入先の交渉力が強くなる。

また、仕入先にとって自社が重要でなければ、いつどんな事情で取引停止や値上げなどを求められるかもわからない。

 

このように自社を取り巻く外部環境を分析して、対策を講じることは、自社の競争力や存在感を高めることにつながる。

中小企業であるわれわれは、大企業とは違い、大変弱い存在だ。

だ・か・ら・こ・そ、中小であればあるほど、このような外部環境分析を行い、できる限りの対策を講じることが大切だ。

それがまた『環境適応適応戦略』と言われるものにつながっていく。

 

 

 

戦略を考えるにあたって重要なことは、『思い込み』なるものを打ち破ることだ。
私たちは思いのほか、思い込みに囚われて、生活や仕事をしている。
そして、その結果が「いま」であることを忘れてはいけない。
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