182.競争優位に立つ 中小の戦略

2014年8月24日

第14話 中小零細企業にとって「戦略」とは

今回からは、さまざまな、『戦略理論』を紹介して行きたいと思います。
そこで、まず、中小零細企業にとっての「戦略」について、考えたいと思います。

 

1.戦略とは智慧である

戦略とか、戦略理論といえば、「我々みたいな零細企業には関係ないよ」と思われる方がいらっしゃるかもわかりません。
しかし、それは間違いです。
人・物・金のない我々だからこそ、「戦略」が必要なのです
大企業であれば、人・物・金にものを言わせて、この難しい時代を乗り切れるかもわかりません。
しかし、我々にはそれが無いのです。無いからこそ、智慧を働かして、この難しい時代を乗り切っていくしかないのです。
その智慧こそが、「戦略」なんです。

 

2.戦後からの黒字・赤字企業割合

さまざまな戦略理論はもちろん、そのままでは使えませんが、しかし、いろいろなヒントや切り口、発想を与えてくれます。
大事なことは、さまざまな戦略理論を素直に学んで、これまでの自分には無かった発想を考え、そして実行に移すことでは
ないのでしょうか。 下図を見てください・・・。

赤字黒字企業割合

これは、戦後からの法人企業の黒字・赤字割合です。戦後一貫して、黒字割合は50%を超えていたのです。
恐らくこれは、戦後復興期でしたので、今では伝説のように言われる、「作れば売れる」「事業を起こせば儲かる」時代だった
のだと思います。
しかし、1990年を境に赤字割合が50%を超え出します。これは「バブルの崩壊」と同時期ですが、恐らく、ものの豊かさ
によって価値観が変わってきたからではないでしょうか。つまり、高度成長期から成熟期に突入したわけです。

 

3.時代は戻っては来ない

したがって、これ以降は、低成長・デフレとなっていき、従来の延長線上では、企業は、利益を計上できなくなってきました。
しかし、この変化をなかなか直視できずに、いまや、法人の7割が赤字経営となってしまいました。

直近の平成24年度は、20年ぶりに赤字企業割合は減りましたが、しかし、その陰で、4万4千社を超える法人企業が廃業・
倒産しています。
安倍政権は成長戦略を「日本再興戦略」としてまとめていますが、その内容はある意味、新陳代謝の活性化策です。
私たちは景気回復に大きな期待を抱いていますが、他方で、もう過去のような経済環境には戻らないことを充分知っています。

 

4.これからは社長が経営者にならねばならない時代

そうです、もう景気に頼った経営はできないのです。これからは一人ひとりの社長が経営者と変革し、お互いに切磋琢磨して
励んでいかなくてはならない時代なのです。
その一つが経営戦略を学び、独自の発想と智慧で、経営の舵取りをしていかなくてはならないのです。
それも、中小企業・零細企業であれば、あるほどです。

 

この「経営会計コラム」がそんな一助になればと願っています。では、次回から経営戦略論の始まりです