111.黒字経営 損益分岐点図

2012年10月18日

8.収益力をあげる3つの考え方

収益力をあげるとは、損益分岐点比率を下げることです。損益分岐点比率とは、収支トントンの売上高が現行の売上高の何%かということです。算式を表すと次のようになります。
損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率
損益分岐点比率 =損益分岐点売上高÷実績売上高×100

損益分岐点比率が100%超であれば、赤字企業ということです。
損益分岐点比率が100%以下であれば、黒字企業ということです。
通常、損益分岐点比率は70%台を目指したいところです。
この損益分岐点図表を表すと次のようになります。

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固定費は基本的に売上高の増減に関係なく一定に発生する、変動費以外の費用です。従って、「固定費線」のように真っ直ぐな横線として表わせます。
変動費は売上高の増減と比例して発生する費用です。つまり、売上がゼロであれば基本的に発生しないような費用です。従って、売上がゼロのときはゼロであり、売上の増加に伴って変動費も増加しますので、「変動費線」のように徐々に増える右肩上がりの斜線で表わせます。
固定費・変動費を合わせると、売上高ゼロのときは固定費だけが発生し、売上増えるとともに固定費の上に変動費が徐々に増える形となります。
売上高はゼロからはじまる右肩上がり斜線として「売上高線」を表わすことができます。
すると3つの線はやがてクロスし、その後は売上高線が上に行く形になります。売上高がクロスするまでが「赤字」であり、クロスする点が損と益が分岐する「損益分岐点」であり、それを上回ると「黒字」となります。
これが「損益分岐点図表」といわれるものです。

 

(1)収益力を上げる一つ目の考え方: 固定費を下げる
固定費を下げると、固定費線が下へ移動しますので、売上高線と固定費線・変動費線のクロスする点が左側へ移動することになります。それだけ損益分岐点が下がることになりますので、り少ない売上高で黒字になり出しますので、収益力を上げることになります。図示化すると下記のとおりです。

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(2)収益力を上げる二つ目の考え方: 変動費を下げる
変動費を上げると、変動費線の角度が小さくなりますので、売上高線と固定費線・変動費線のクロスする点がそれだけ左側へ移動することになります。それだけ損益分岐点が下が ることになりますので、より少ない売上高で黒字になり出しますので、収益力を上げることになります。図示化すると下記のとおりです。

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(3)収益力を上げる三つ目の考え方: 売上単価をあげる
売上単価を上げると、売上高線の角度が大きくなりますので、売上高線と固定費線・変動費線のクロスする点がそれだけ左側へ移動することになります。それだけ損益分岐点が下が ることになりますので、より少ない売上高で黒字になり出しますので、収益力を上げることになります。図示化すると下記のとおりです。

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ここで注意する点があります。売上単価を上げると「収益力を上げる」効果がありますが、単に売上を増やすだけでは「収益力を上げる効果」はなく、「収益を上げる効果だけがある」ということです
つまり、「売上単価を上げる」ということは限界利益率(粗利益率)を改善するという効果があるので収益力を上げる効果があるということです

ここで学んでいただきたいことをもう一度まとめます。
収益力を上げる、改善する考え方は次の3つです。
1.固定費を下げる  つまり、経費削減する。
2.変動費を下げる  つまり、直接原価を減らす。
3.売上単価をあげる つまり、粗利益を増やす。

単に売上高を増やすことは収益改善にはなりますが、収益力改善にはなりません。

ご質問等はインプルーブ研究所まで。お気軽に。