245.会計学-11「固定資産と償却」

2016年1月16日

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『会計学』第11回は固定資産と減価償却費の説明です。

 

ⅩⅠ 固定資産と減価償却費

 

1 固定資産の範囲と区分

固定資産は企業にとって、棚卸資産と並ぶ重要な資産です。
固定資産は会計上、有形・無形・投資その他の3分類に区分されます。
 

(1)有形固定資産

有形固定資産とは、企業が1年を超えて活用しようとして保有している資産であり、物理的な形を持った資産です。
有形固定資産の流動(資金)化は、減価償却という手続きによって、「費用計上」という形でされて行きます。

減価償却とは、有形固定資産の価値低下分をその資産価額から減額して費用計上する手続きです。
減価償却の対象となる資産を「償却資産、対象とならない資産を「非償却資産」といいます。
償却資産には、建物・構築物・機械装置・車両運搬具・工具器具備品などがあります。
非償却資産には、土地・美術品などと「建設仮勘定」があります。
建設仮勘定とは、工事が完成するまでに要したすべての支出額を一旦プールするための科目です。
 工事が
完成すれば、本来の資産科目(建物や機械装置など)へ振替えます。

(2)無形固定資産

無形固定資産とは、物理的な形を持たない資産であり、借地権・特許権・意匠権・商標権・暖簾などがあります。

(3)投資その他の資産

投資その他の資産とは、長期間保有する有価証券や長期預金・長期貸付金あるいは回収に長期間要する不良債権や長期前払費用などが該当します。

 

2 固定資産に関する会計処理

固定資産に関する会計処理には、取得原価の決定、原価配分、期末評価の3つのポイントがあります。

(1)固定資産の取得原価

①固定資産の取得には5つの取得方法が想定され、それぞれ次のような取得原価となります。
 1.購入する                  購入代金には付随費用も加算することを覚えてください。
 2.自家建設する            製造に係る原価を以って取得原価とします。
 3.現物出資する            出資者に交付した株式の発行価額を以って取得原価とします。
 4.交換する                  基本的には交換譲渡した資産の簿価を受入資産の取得原価とします。
 5.贈与の受入れ          公正な評価額をもって取得原価とします。

②圧縮記帳
 
圧縮記帳とは、国庫補助金・建設助成金・工事負担金に相当する金額を取得金額から控除することをいいます。

修繕費
 修繕費とは固定資産を修繕することですが、その内容によって2つに分けられます。

 1.資本的支出
 修繕によって、資産価値を上がったり、使用可能年数が延びたりする効果をもつ場合、その支出額は取得原価に追加
 しなければなりません。その場合を資本的支出といいます。

 2.収益的支出
 定期的な修理や部品交換など価値を増加させない、あるいは使用年数を延長させない支出は、その期間の費用として
 計上します。

(2)固定資産の原価配分

固定資産に関する会計処理の第2のポイントは「原価配分」です。つまり、減価償却です。

減価償却の目的と効果

 1.減価償却とはすでに説明した通り、取得原価を各期に費用として分配する手続きです。

 2.利用可能として推定された年数を「耐用年数」といいます。

 3.取得原価から耐用年数に基づく評価額を差引した価額を「残存価額」といいます。

 4.製造に関する有形固定資産の減価償却費は、製造経費に計上します。

 5.販売及び管理に関する有形固定資産の減価償却費は、販管費に計上します。

②減価償却の方法

 1.残存価額
 従来は取得原価の10%と規定されていましたが、2007
年4月以降に使用を開始した資産からは、残存価額はゼロ
 して計算してよいことになっています。覚えておきましょう。

 2.定額法
 定額法は次の通りに計算します。
 定額法による減価償却費=(取得原価-残存価額)÷耐用年数  *現在は残存価格ゼロです。

 3.定率法
 定率法による減価償却費は次の通りに計算します。
 定率法による減価償却費=(取得価額-減価償却累計額)×償却率

③リース会計

 リース物件を利用する権利を固定資産のリース資産として計上し、相手科目は固定負債の長期未払金とします。

  リースで機械装置を取得した場合  リース資産(有形固定資産)/ 長期未払金(固定負債)

  リース料の支払          長期未払金(固定負債)  / 普通預金 (当座資産)

(3)固定資産の期末評価

固定資産に関する会計処理の第3のポイントは「期末評価」です。

①期末評価の計算方法

 固定資産期末評価=取得価額-減価償却累計額+資本的支出

②会計処理

 1.月々、減価償却費の概算計上をします    減価償却費(製造原価及び販管費)/ 減価償却累計額(有形固定資産)

 2.決算時に一度、戻します          減価償却累計額(有形固定資産) / 減価償却費(製造原価及び販管費)

 3.あらためて正式な減価償却費を計上します  減価償却費(製造原価及び販管費)/ 機械装置など(有形固定資産)

 *つまり、決算時に減価償却費は洗い替えします。

 

  

今回のキーワード

有形固定資産と無形固定資産、投資その他の資産

資本的支出と収益的支出

残存価額ゼロ

定額法と定率法

リース資産、長期未払金

減価償却累計額、洗い替え