156.マーケティング 5フォース(5つの力)

2014年2月23日

第7話 ファイブフォース(5つの力)

=これまでのあらすじ=
154ではSWOT分析を紹介した。
SWOT分析とは自社の内部環境と外部環境を分析する手法だ。
内部環境は「S=強み」と「W=弱み」という観点から分析する。
外部環境は「O=機会」と「T=脅威」という観点から分析する。
戦略的にはOS戦略・WO戦略・ST戦略・WT戦略が考えられ、内部環境同士の戦略SW戦略とか、外部環境同士の戦略OT戦略はないという話であった。

155では外部環境分析を掘り下げ、そのひとつの手法であるPEST分析を紹介した。
外部環境分析は「マクロ環境分析」「競合分析」「マーケット分析」の3つに分けられ、PEST分析はマクロ環境分析を行うフレームワークであった。

今回のファイブフォース分析は「競合分析」を行う際のフレームワークだ。


1.ファイブフォース分析とは
ファイブフォース分析(Five Forces Analysis)は会社の外部環境分析の中心となる「競合分析」に基づいて事業戦略を策定するツールだ。マイケル・E・ポーターの競合分析モデルであり、1980年に発表した著書『競争の戦略』の中で、業界内の競争に影響を与える5つの要因を指摘し「競争のルール」の5つの力として分類した。 ファイブフォース分析は5つの力の個々または総合的な強さを分析することで、業界における競争関係の特性を決める決定的な構造特徴を明らかにすることができる。

図示すると次のようになる。

5フォース

 

2.5フォースとは
(1)新規参入者の脅威
新規参入者の脅威は「参入障壁の高さ」によって決まる。参入障壁が高ければ高いほど、参入しにくいので業界内の競争が生じにくい。逆に、参入障壁が低い場合には競争が激化する。最近の事例であげれば、フグ料理だ。東京都では2012年10月よりフグ調理師がいない飲食店でもふぐ料理は提供できるようになった。その途端に競争は激化し、消費者は手頃な価格でもふぐ料理を賞味できるようになったことは記憶に新しいところだ。
主な参入障壁には、規模の経済性、必要資本額、確立されたブランドに対する顧客のロイヤリティ、経験曲線効果、デファクトスタンダード、政府の規制などが挙げられる。

(2)業界内の競争
一般的に同業者が多いか同規模の会社が多く存在している業界、成長が遅い業界、固定コストまたは在庫コストが高い業界、撤退障壁が高い業界などは敵対関係が激しくなる。
代替製品・サービスの脅威や競争相手の買収などにより敵対関係の強さが急変する。

(3)代替品の脅威
代替品の脅威は、自社製品とは異なる製品群でありながら、自社製品と同等以上の価値を提供するものによってもたらされる。
例えば、欧米の砂糖メーカーは砂糖の代替製品である果糖分の多いコーンシロップが大量に販売されたことにより、甚大な影響を受けたと言われている。

(4)買い手の交渉力
買い手は、同品質なら低価格なものを、同価格なら高品質なものを購入したいと考える。したがって、価格と品質は買い手の購入量や情報量などによって変化する。
一般的に、独占的なものであれば買い手の交渉力は弱くなるが、コモディティ品であれば買い手の交渉力が強くなる。

(5)売り手の交渉力
売り手は、業界内の企業に対し最も高い価格で供給したいと考えるので、売り手と企業の間には必然的に力関係が発生し、業界構造に影響を与えます。
例えば、売り手側が少数の企業による独占状態であれば売り手の交渉力は強くなる。逆に代わりとなる提供元が多ければ弱くなる。

 

この5つの観点から競合分析を行えば、いままでと違った競合も見えてくる。