255.景気に負けない経営管理-3

2016年4月9日

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事業とは、自社の事業に投資を繰り返して、成長を成し遂げていくものです。
その投資の内容を表しているのが、月次試算表と決算書の貸借対照表の「資産」です。

では、その資産の状況はどのように判断すればよいのでしょうか?
多くの企業は、毎月、貸借対照表を作成しながらも、その見方を会計事務所からも教えられていないので、ただ手もとに置いているだけという場合が多いようです。そこには貸借対照表の見方を知っている会計事務所職員が少ないという実情があります。

そこで、その主な資産の判断の仕方についてわかりやすく説明して行きます。

ぜひ、毎月の貸借対照表を読みこなしながら、自社の資産状況に問題がないのかチェックをし、景気などに負けない事業経営をしていきましょう。

 

 

■景気に負けない経営管理 第3回「不良債権を掴まないための得意先チェック」

今回は少し趣向を変えて、不良債権を掴まないために、取引先のどこをチェックすれば良いのかについて考えます。

 

黒字会社でも安心できない

このリポートでも何回か説明していますように、『資産-負債=純資産(資本金+利益)』という数式で、貸借対照表は作成されています関係がです。ですから貸借対照表上、黒字企業にすることはその気さえなればカンタンできるのです(もちろん粉飾です)。
つまり、資産さえ膨らませれば、純資産=利益はドンドン増やせます。
だから決算書を見て「黒字企業だから安心だ」とは言い切れません。 決算書を見抜く力が必要です

 

1 取引先の『現金残高』の見極め方

家計で考えればわかりますが、普通、100万円も200万円も家の中に現金を置いておきますか?
たまたま一時的にある場合もあるでしょうが、普通は金融機関に預けます。
そのことは企業も同じです。
取引先の決算書などを見て、現金が100万円も200万円もある会社は、ずさんな会社か、それとも虚偽を記載している会社か、いずれにせよ疑わしい会社です。 
但し、規模の大きい会社や仕入れを現金支払している会社、あるいは物品を買取する会社などの場合は別です。

 

2 取引先の『売掛金残高』の見極め方

意外と多くの企業では回収見込みのない売掛金を消し込んでいません。
なぜならそれらを消し込むとどうなりますか? 同じ金額が純資産から減ることになります。
そうなると、債務超過になってしまうからです。
仮に1000万円の回収見込みない売掛金が入っていたなら、それだけ純資産が増えることになります。
それを消し込めば、純資産は1000万円減ることになります。
したがって、得意先の決算書に表示されている売掛金は必ずチェックしなければなりません。

そこで確認方法は2つあります。

ひとつは売上高と比べて、確認するということです
2カ月分以上の売掛金があれば、不良債権が含まれているのではないかと疑る必要があります。
もうひとつは科目内訳書を見せてもらうということです
回収の動きがない得意先は不良債権という見方ができます。
また「その他得意先」の売掛金合計がやたら大きい科目内訳書も要注意です。
そんな大きな売掛金を「その他」として一括りしているなんて、科目内訳書の意味がないと思われませんか。

 

3 取引先の『棚卸資産残高』の見極め方

棚卸資産も売上高と比べて、確認します。 
やたらに在庫の多い会社はやはり信用できない会社か、あるいはだらしない会社かのどちらかです。

 

4 取引先の『貸付金残高』の見極め方

貸付金が多い会社は、公私混同がはなはだしい会社か、あるいは利益操作している会社かの可能性があります。
やはり、科目内訳書を提示してもらい、確認する必要があります。

 

5 取引先の『預り金残高』の見極め方

預り金は負債の科目ですが、通常何を処理している科目なのでしょうか?
一般的には、従業員から預かった社会保険料や預かった源泉所得税を一時的にプールする科目です。
したがって、毎月納付をしている場合であれば、1ヶ月分程度しかたまりません。
そこで預り金が多額にある会社は、従業員から天引きはしているが納付していないことが考えられます。
また逆にあまりに少ない会社は社会保険に加入していないことが考えられます。
したがって、預り金残高も要チェックの科目です。

 

6 取引先の『借入金残高』の見極め方

借入金があること自体は問題があることではありません。企業としてごく普通のことです。
しかし問題はその額とその減り方です。

借入額は売上高と比べて判断します。
借入金残高が月商の6カ月分以内程度あれば、特に問題はないかと思われます。
しかし年商に迫る借入金あるいは超える借入金がるのであれば、資金繰り的に厳しいものがあると思われます。
したがって、約定等を考える必要があります。

次に減り方です。
1年間でどの程度減っているのか確認し、本来の返済額は借入金残高から見て、それが妥当なのかどうなのか判断します。
また赤字経営の場合は、返済原資がないということになりますから、取引することには大きな注意が必要ということになります。
さらに、営業外費用を見て、支払利息を確認することも重要です。

 

7 取引先の『減価償却費』の見極め方

固定費資産があるのに、減価償却費がない、という場合は要チェックです。
本来、固定資産があれば減価償却することが普通です。
それをしていないということはなんらかの事情があると思われますので、確認する必要があります。

 

このように貸借対照表を読みこなすと、意外と自社の営業活動の体質がわかります。

 

 

重要なことは、モノサシはどれであってもよいわけですが、この先行き不透明で変化が早い、いまの時代は「そのようなモノサシでマネジメントしなければならない時代である」ということを経営者の皆さんが認識されることです。
現在は事業にしっかりマネジメントすることが求められている時代です。