458.会計で経営力を高めるシリーズ 預り金

2020年4月4日

第9回会計で経営力を高めるシリーズ『預り金』

 

1 預り金とは

 預り金とは、役員(社長)、社員、取引先などから、一時的に預かったおカネです。

 預り金は後日、本人に返金するか、または本人に代わって第三者に支払うおカネを管理するための科目です。

 預り金は日常的な取引の中で発生するものであり、短期的に支払うものですから、負債の中の流動負債として

 管理します。

 

預り金とは日常取引で発生するモノなので「流動負債」として管理する!

 

 

2 預り金の具体例

 一般的には次のようなものがあります。

 ①給与から天引きした住民税

 ②同じく、社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料)

 ③同じく、雇用保険料

 ④源泉所得税 など

 

 

3 仕訳例

 仕訳として説明すれば次のようになります。

(1)従業員に総支給額30万円の給料を支給した

  (借方)             (貸方)

  給与手当 300,000円       預金          237,000円  (a)

                   預り金 健康保険料     15,000円  (b)

                   預り金 厚生年金保険料   25,000円  (c)

                   預り金 市区町村住民税   12,000円  (d)

                   預り金 雇用保険料     1,000円  (e)

                   預り金 源泉所得税     10,000円  (f)

 (a)は、いわゆる「手取り額」です。

 (b)(c)は、会社と折半した社会保険料の本人負担額です。

 (d)は、本人が支払わなくてならない住民税です。

 (e)は、雇用保険の本人負担部分です。

 (f)は、本人が負担しなければならない給料に対する所得税です。

 

(2)預かった源泉所得税を納付した

  (借方)            (貸方)

  預り金 源泉所得税 10,000円  現預金          10.000円 

 

預り金は短期間とはいえども、会社が資金調達しているおカネである!

 

 

 こうやって見てみると、預り金とは一時的に会社が社員から預り、後日、本人に代わって支払うおカネであることがわかります。

 しかし短期間でも会社としては資金を調達しているわけですから、預り金は「負債勘定」となり、かつ「流動負債」に分類される

 ことが理解できます。

 

 

4 預り金の管理 

 預り金は預かってすぐに支払うものですから、管理としては漏れなく預かっているか、そして間違いなく支払っているか

 という残高管理が重要になります。

 それを怠ると、決算のときなどに残高が合わなくなって困ることになります。

 

預り金は「内訳管理」で経営管理力をアップする!

 

 

 

このようなことを考えながら会計資料を見ていると、会計で会社が徐々に強くなってきます。

どうでしょうか、会計は意外と楽しいもので、経営に役立つものだと思われませんか。

少しでもそのように思われてきたのなら、それだけ貴社の経営力が高まって来ていることを示しています。

会計を楽しみながら、荒波に強い会社になるよう取り組みませんか!?