79.会計は決算申告ではない

2011年7月11日

会計・税務のために多くの企業が会計事務所に顧問依頼をしている。その目的を、決算における決算書並びに申告書の作成委託だと思っている経営者は多い。しかし会計目的は決算・申告にあるのではなく日々の経営管理にある。だから経営の「経」と管理の「理」をとって「経理」という。
振り返ればリーマンショックを何とか乗り越え、ギリシャショックも乗り越え、デフレ・円高・原油高の荒波を何とか乗りこなしていたら、今回の震災・原発事故である。国内外の環境は激しく変化し、本当に先行き不透明な時代となっている。会計は経理であり、1年の結果をまとめた決算よりも、経営の羅針盤とも云える月次TB(試算表)を使いこなすことが重要である。
今後、日本の大きな経営環境の変化として、次のようなことがあげられる。

(1) 日本経済成長は、3%~5%程度の復活基調となる(これから世界が必要とする技術のほとんどが日本に集まっている)
(2) 円は円高で推移する(技術力に加え日本には豊富な資金力がある。当然、世界の通貨に対して円高となる)
(3) 株価は乱高下しながらも実質株高基調となる(円高基調のため名目株価はそれほど上がらないが、実質的には日本株は株高となる)
(4) デフレ傾向は続く(内外価格差がまだあるので、それに対して物価は是正方向へ動く)
(5) 努力を続ける企業が大きな成長を成し遂げる(戦後復興期は終わっているので景気回復=各企業の業績回復とはならない)

そこでいま重要なことは何か。それは会計・経理を経営技術とし、月次試算表を使いこなすことである。
1.会計知識なくしてマネジメントはできない時代
6月10日付日本経済新聞コラム『大機小機』に次のような内容が掲載された。
①日本企業の経営は大きな転換期を迎えている ⇒中国、韓国をはじめとするアジア企業の台頭
② “会計”は企業経営のインフラである ⇒会計には、現預金、売上債権、在庫、固定資産、買入債務、借入金、売上、売上原価、製造原価、給与、経費など、企業のすべての経営情報が入っている
③会計知識なくして企業経営はできない ⇒経営実態の重視、B/S重視など、トップ自らの会計知識なくしては、経営者としての判断ができない
④B/Sにこそ真の改善がある ⇒損益計算書からは利益体質の改善は生まれるが、企業体質、財務体質の改善は貸借対照表にある
⑤キャッシュフローやB/S中心の経営に転換する ⇒先行き不透明な時代の津波に飲み込まれないためには資金管理と貸借対照表管理経営が重要である

2.決算書よりも月次試算表が大事
企業経営の記録として、決算書はもちろん大切である。しかし、企業体質の改善という意味では、決算時に行う決算対策とは、応急措置・対処療法でしかない。見栄えは良くなっても実態は変わらない。なぜなら表現を変えただけに過ぎないからである。決算時の一時的に対策を講じるだけだから、それはそれで致し方がない。
そこで実質の企業体質改善や財務体質改善には月次試算表が重要であるということになる。企業体質や財務体質を改善していくには時間がかかる。決して応急的な措置ではできず、継続的に治療をし続ける必要がある。そのためには月次対策と定点観測が大事となる。

そのためには経営者自らが会計を理解し、月次試算表を読みこなし、対策を講じられることが重要となる。貴社の会計事務所はそのような指導・支援をしてくれていますか。そして社長として、毎月、月次試算表を見ていますか。