467.会計で経営力を高めるシリーズ 総まとめ

2020年6月7日

第17回会計で経営力を高めるシリーズ『総まとめ』

これまで16回にわたって『会計で経営力を高める』を説明して来ましたが、今回はその最後となります。

その最後として、「総まとめ」をお送りします。

 

1 ますます厳しくなる経営環境に対して「経営力を高める」ことが重要

まず最初に「消費税率の引上げ」「働き方改革の導入」「インボイス制度の導入」など、これからはますます中小企業の経営環境が

厳しくなると申し上げていましたが、この間に訪れた新型コロナウイルス感染拡大で、もうそのことは誰もが認めざる得ない状況と

なりました。

具体的な対策は業種業態あるいは経営組織や人材も違いますので、個々の企業で考えるしかありませんが、それと同時に「経営力を

高める必要がある」と提言しました。

 

それが「会計力を高める」ということです

 

 

2 会計は取引を二つの目で見ていることをまず理解する

自社の会計を理解するためには、「会計は取引を二つの目で見ている」ということを理解することが大事です。

ふたつの目とは、「資金の運用・使途」と「資金の調達・源泉」の目です。

 ・資金とは、キャッシュのことで、現金と預金のことです。

 ・資金の運用とは、B/Sの総資産のことです。

 ・資金の調達とは、B/Sの総資本、負債・純資産のことです。

 ・資金の使途とは、PLの費用のことです。

 ・資金の源泉とは、PLの売上高と営業外収益のことです。

このことが理解できれば、おおよそ、自社の会計資料は読み取れてきます。

 ・事業資金をどこから集めているのか      👉総資本(負債・純資産)を見ればわかる

 ・事業資金をどのように運用しているのか    👉総資産を見ればわかる

 ・資金運用の仕方に問題がないのか       👉総資本と総資産を比べればわかる

 ・資金運用は活かした運用が出来ているのか   👉総資産と売上高又は利益と比べばわかる

 ・営業成績に問題はないのか          👉売上高と費用又は利益を比べばわかる

  などなど

 

会計は「資金の運用・使途」と「資金の調達・源泉」の二つの目で見る

 

 

3 会社の安全性は手元資金有り高(キャッシュ)に尽きる

会社経営の安全性の見方にはいろいろありますが、今回の新型コロナウイルス感染拡大でハッキリしたことは、何といっても「手元

資金」大事さです。

これが今回の新型コロナウイルス感染拡大で、痛烈に学んだところです。

手元資金さえあれば、ある程度休業が続いても会社は持ちこたえられます。しかし、それがなければ給与は支払えませんし、家賃も

支払えません。挙句は倒産するだけです。

 

では、そんな手元資金の状況を判断する方法はどうすればいいのか?さらには、増やすにはどうすればいいのか?ということです。

手元資金を測る方法は・・

 ・平均月商と手元資金を比べ、平均月商何カ月分の手元資金があるのかを計算する方法が一般的です。
  そのことを「手元流動性比率」と呼びます。

 ・以前なら手元流動比率は、中小企業では2~3ヵ月あれば十分と言われていましたが、今回このような経験をすると
  少なくとも6カ月程度は欲しいところです。

 ・もっとシビアに見たいのであれば、最低固定費である人件費と地代家賃の何カ月分があるのか、ということです。
  (「手元流動性最低固定費倍率」)

  この見方であれば、最低でも6カ月分、できれば12カ月分を目指したいところです。

 

では、この手元資金を増やすにはどうすれば良いのでしょうか。

この問いに対する回答には、「どの企業でもこうすればよい!」という回答はあまりありません。

それぞれの企業、経営者が努力し、創意工夫するということが真の回答となります。

《すべての企業に共通する回答》

 ・経費を減らす      👉経費を減らせば、その分手元資金は増えます。

 ・借入金を増やす     👉借入できればそれは現預金収入となり、手元資金は増やせます。

 ・融資枠を拡大する    👉いわゆるコミットメントラインの確保です。但し、これはどこの企業でもできるわけではないか

               もわかりません

 ・黒字経営を継続する   👉当たり前といえば当たり前のことですが、現代では5割以上の中小企業にとっては難しい課題だ

               と思われます。

ここまでが比較的、どの企業にも通用する回答だと思われます。

では、それぞれの企業が努力し、創意工夫する方法にはどういうことがあるのでしょうか。

《それぞれの企業が努力し創意工夫して手元資金を増やす回答》

 ・売上を増やす      👉具体的には各社で考えることになります。

 ・限界利益を増やす    👉これも具体的な方策は各社で考えることになります。

 

会社の安全性を高めるには手元資金を増やすことに尽きる

 

 

4 会社は操縦(マネジメント)するものである

しかしならが、経営は思いどおりにはいかないものです。それはごく普通のことです。

だから、経営も「操縦」することが大切なのです。操縦することを「マネジメント」といいます。

自動車や船舶も、常に障害物を避けて操縦します。会社経営も同様です。

会社を操縦することを「マネジメント」といい、どんな小さな会社でもマネジメントが必要なこととなります。

 

特に注意して、操縦しなければならないことは次のとおりです。

 ・総資産であれば、手元資金、売上債権、棚卸資産、(有形)固定資産

 ・負債であれば、買入債務、借入金、未払金/未払費用、預り金

 ・純資産であれば、繰越利益剰余金

 ・損益であれば、売上高、売上総利益、営業利益の3段階の収益と、

  その間にある売上原価と販売費及び一般管理費

 

会社は規模を問わず、操縦(マネジメント)するものである

 

ぜひ、会計を活かして、会社を操縦し、自社に経営力を高めて行きましょう。

 

 

 

このようなことを考えながら会計をすると、会計で会社を徐々に強くできます。

いかがでしょうか、会計は意外と楽しいもので、経営に役立つものだと思われませんか。

少しでもそのように思われてきたのなら、それだけ貴社の経営力が高まって来ていることを示しています。

会計を楽しみながら、荒波に強い会社になるよう取り組みませんか!?