362.Merketing 経験曲線効果

2018年5月11日

Experience curve effect(経験曲線効果)

経験曲線効果とは、ボストンコンサルティンググループが1966年に発表したコンセプトだ。
経験と効率との間の関係を示す経験則であり、「同じ製品を生産するあるいは同じ業務をこなすと、その経験の蓄積が総コストに
差が生まれる」ということだ。
一般的に個人や組織は特定の課題について経験を積むに連れて、より効率的にその課題をこなせるようになることを指す。
また累積生産量の増加に伴って、製品数量ごとの間接費を含めた総コストが予測可能な一定の割合で低下していくことを指す。
単に『経験効果』と呼ばれることもある。また「学習効果」もほぼ同意語だ。

      <経験曲線効果のイメージ図>

経験曲線効果

 

1 経験曲線効果とは

(1)生産量が多ければ多いほどコストは下がる

市場占有率が非常に高い製品の場合には生産数の伸びも大きいため、この経験効果を生みやすく、
他の企業に比べて低いコストでの生産が可能となり、市場での優位性を維持するための大きなメリットとなる。
この一連の考え方がPPMの前提ともなっている。

(2)経験曲線効果は生産の場面ばかりではない

このことは何も生産の場面だけに限らず、技術や営業や事務など、すべてに当てはまる。
したがって、人材に関する内部分析を行なう場合、人材の『経験曲線』を推し量ることは重要だ。
それが「適材適所」を生む。

(3)マイナスの経験曲線効果もある

この『経験曲線』はプラスに働くばかりではなく、マイナスにも働き、邪魔をする場合もある。
一番多くそれが現れるのは、変革時における「抵抗」だ。

変革に対する抵抗は、特に経験効果が豊かな人材ほど強く示す場合がある。
また、事務改善などの場合は、必ず変更時点では、経験曲線効果が高いほど、大きな生産性の低下を招く恐れがあるが、
それを恐れていては事務改善はできない。

これらの話では経験曲線効果が豊かな人材ほど、改革・改善の必要性も感じないことと不慣れが生じることによる
一時的な生産性の低下の恐れを感じるため、現場の力があまりに強いとそれが抵抗となって全く
改善が進まなくなる。

したがって、自社の『経営曲線』を生かすも殺すも経営者のリーダシップに負うところが大きく、
どのような『効果』は生むかは経営者の手腕、強いリーダーシップにかかっているといえる。

 

2 経験曲線効果の主な発生要因

(1)作業者の習熟度

作業者が特定の作業を繰り返すと、作業のコツを掴み、効率的に作業を行うことができる。
何事も「初めて」行うことよりも、「何度も」行うことの方が効率的に行える。
それによって『経験曲線効果』が発生する。
自信や技術力は付くものではなく、経験によって付けるものだ。

(2)作業方法の標準化

繰り返しの作業であれば、作業方法を標準化、マニュアル化することができる。
それによって作業が標準化され迷いがなくなり、より効率的な作業が可能となり、歩留率も向上し、『経験曲線効果』が発生する。

 

3 規模の経済と経験曲線効果の違い

「規模の経済」とは、生産規模の拡大により、単位当たりの生産コストが低くなることをいう。
それに対して「経験曲線効果」は、生産コストが低くなる点で同じだが、その要因が「累積生産量」という積み上げられたものだ。
生産規模という「スケールの大きさ」と累積生産量の「経験の積み上げ」という違いがある。

 

これら『経験曲線効果』によって、自社が採択できる戦略の幅が違ってくる。

 

 

企業の営業や生産にとって『経験曲線効果』は大変重要だ。
そのためには研修や教育も大切だが、それを体験させることがさらに大切だ。
現代は人材の早期戦力化が重要だが、それには経験を積み重ねて『経験曲線効果』を得ることが重要だ。
「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」という言葉があるが
この言葉には人材育成のヒントが凝縮されている。

 

 

 

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