402.図解 事業戦略策定 18

2019年2月22日

事業戦略策定第18回は『ランチェスター戦略』です。

戦略論の4回目です。

ランチェスター戦略といえば、一度は耳にした方も多いのではと思います。

経営戦略の多くが欧米生まれですが、その中でこのランチェスター戦略だけは、なんと日本生まれなのです。

それはともかくとして、ランチェスター戦略は小さな企業が激しい企業間競争の中で勝つ戦略とも言われています。

今回はそんなランチェスター戦略について紹介します。

 

1 ランチェスター戦略が教える3つのこと

(1)経営資源が豊富な企業が絶対有利

企業間競争においては、ヒト・モノ・カネ・情報の豊富な企業の方が、断然有利です。

だからこそ、小さなか企業は「思い込みの打破」や「創意工夫」、「スピード」などをもった経営が重要だと言われています。

ランチェスター戦略では、「資源が少ない企業は局地戦・接近戦・一騎打ちを基本とせよ!」と教えています。

(2)強い企業とはシェア・ナンバーワン企業

ランチェスター戦略では、強い企業とは、売上高ナンバーワンではなく、占有率ナンバーワンであると言っています。

ランチェスター戦略では「地元・分野・客層など、どんな小さな分野でよいから占有率ナンバーワンを作れ!」と教えています。

(3)ナンバーワン企業以外の企業(中小企業)の基本戦略は差別化

差別化とは、狭い地域で顧客と接触し、競合店を絞ってこれだけは負けないというものを作り、顧客の声で勝負しようというような

イメージです。

ランチェスター戦略では「市場戦略は局地戦、顧客戦略は接近戦、競合戦略は1対1の戦い、戦略思考は1点集中主義、コミュニ

ケーションは陽動作戦」と教えています。

 

2 なぜ、シェア・ナンバーワンなのか

日本の現在はいうまでもなく、「低成長・市場縮小」の時代に入っています。

したがって、私たち中小小規模企業は、小さな何かでナンバーワンでないと、存在価値を顧客に示すことができません。

そのナンバーワンになるに原理原則が「ランチェスター戦略」なのです。

それが、いま再び、ランチェスター戦略が注目され出している理由です。

 

3 差別化戦略とは

(1)局地戦

これはランチェスター差別化戦略「第1の戦略」といわれています。

広い地域ではなく、狭い地域で取りかかる。

一度にやろうとするのではなく、一つずつやる。

そんなイメージです。

強者が手を出せない、”死角”や“ニッチ”を狙う戦略とも言い換えられます。

局地戦とは、限られた経営資源を集中して投下することです!

(2)接近戦

これはランチェスター差別化戦略「第2の戦略」と言われています。

顧客の遠くにいるのではなく、近くにいる。 間接販売よりは直接販売です。

不特定多数より、継続性のあるひいき客、顔のわかる顧客に育成することです。

顧客は個客であり、集団ではなく一人一人なのです。

その一人一人のお客様と密に付き合う気持ちで接客することがポイントです。

顧客にとっては、自分一人ひとりが顧客であり、個客です。

接近戦とは、顧客との親密性強化です!

(3)一騎打ち

これはランチェスター差別化戦略「第3の戦略」といわれています。

一騎打ちとは、1対1の戦いに持っていくということです。

1対1とは「どこの、だれに、なにを」を掘り下げていくことです。

「どこ」とは、細分化した特定の地域です。

例えば、出店は半径1キロ以内に同業者が1店しかない場所を選び、なるべく近い場所に出店する、などです

「だれ」とは、顧客を絞り込むことです。

例えば、顧客内シェアの高い上得意先を大事にする営業活動をするなどです。

「なに」とは、品数より品目を絞ります。

例えば、品数を多くすると考えるよりも、バリエーションを増やすことを考えます。つまり、深掘り、特徴を持つということです。

一騎打ちとは、規模の大小を消し去ることです!

(4)一点集中

一点集中とは、地域を絞る、顧客を絞る、商品を絞る、などです。

地域を絞るとは、営業地域を30分以内の地域にするとか、広い場合には核となる顧客を中心点として集中的にアポイントを取る

ようにします。

顧客を絞るとは、万人受けを考えず、一つの業種業態に特化するとか、ある客層に集中するとか、です。

商品を絞るとは、売れている商品や流行の商品に絞ります。

一点集中とは、逆説的にいえば、やらないことを決めることです!

(5)陽動作戦

陽動とは、「かく乱」とか、「その気にさせる」ことをいいます。

顧客のプライドをくすぐるとか、口コミを活用するなどが考えられます。

陽動作戦とは、お客様をその気させることです!

 

 

ランチェスター戦略とは、弱者の戦略です。その基本はニッチと差別化です。「大企業ではできないことをやる!」これがスモール

企業にとっての命綱です。想像すれば、大手と同じことをやっても、勝てないことは容易に察しがつきます。

しかし、現実には、私たちは大手と同じことをやっています。なぜならそのほうが ”安心” だからです。みんなが歩いている道を

行けば”安心”という心理です。しかしそれでは大手に太刀打ちできません。

これまでの慣習や思い込みなどに囚われずに「常識という枠の外に出る!」そのことがやはり大切なのではないのでしょうか。

 

 

 

戦略を考えるにあたって重要なことは、『思い込み』なるものを打ち破ることです。

私たちは思いのほか、思い込みに囚われて、生活や仕事をしています。

その結果が「いま」であることを忘れてはいけないと思います。

違う結果を得たいと思うのであれば、『思い込み』を打ち破るしかありません。