767.売上増収にチャレンジする③
2026年8月30日
前回は「アンゾフの成長マトリクス」と呼ばれる販売戦略を紹介しましたが、
「アンゾフの成長マトリクス」というとなんだか難しそうに思いますが、名称に影響を受けずに簡単に考えればよいと思います。
そうすると売上を増す方法が考えやすくなります。
考え方は下記のとおりすごくシンプルです。
1.現在の顧客や客層に、今の商品ラインナップをもっと購入していただけるように考える
このような考え方を『市場浸透戦略』と呼んでいるということです。
例えば、法人に提案内容を変えて販売数量を増やすことを考えるとか、客層を考えてみてディスプレイを考え直し販売数量を
増やすことを考えるなどです。
つまり、深掘りをするということです。
2.現在の顧客や客層に、新しい商品ラインナップを購入していただけるように考える
このような考え方を『新商品開発戦略』と呼んでいるということです。
例えば、ちょっと工夫して今の客層がもっと購入しそうな新製品として提供したり、客層を考えて新しい商品を仕入したりする
ことです。
つまり、ヨコ展開をするということです。
3.現在の顧客や客層以外の新しい顧客や客層を念頭に置き、今の商品ラインナップを購入していただけるように考える
このような考え方が『新市場開拓戦略』と呼んでいるということです。
例えば、新しい法人との接触を図ってその法人に適した提案を考えるとか、これまで客層が高齢層であったならもう少し下の
ミドル層に焦点を当てた商品のディスプレイやキャッチコピーなど見せ方を工夫するということです。
つまり、新規顧客を開拓しようということです。
4.現在の顧客や客層以外の新しい顧客や客層に、新しい商品ラインナップを購入していただけるように考える
このような考え方が『経営多角化戦略』と呼んでいるということです。
例えば、新しい商品やサービスを取り入れて、これまでの顧客や顧客層を開拓するということです。
このように「アンゾフの成長マトリクス」と呼ばれる販売戦略で考えてみると、いままで漠然とした考え方が筋の通った考え方
になりますので、採ろうとする販売戦略が明確になりますので、売上増収の道すじが見えて来るという利点があります。
今回は顧客と商品・サービスという切り口ではなく、「競争力」を主軸に増収の考え方を紹介しましょう。
競争力や集客力という競争力の源泉は、「素材」と「加工力」と「応対能力」です。
素材とは、原材料のブランドや産地などです。
加工力とは、デザインであったり、味付けであったり、見える部分のスキルです。
応対力とは、美観や接客サービスなどです。
マーケティングではマイケル・ポーターの「競争戦略」という考え方があります。
ポーターは競争戦略を次のように整理しています。
1.競争の軸
競争の軸は「価格」と「差別化」です。
(1)価格とは低価格で勝負するということです。
基本的に規模の小さい企業ほど経営コストはかかりませんので、価格は大手より抑えて提供できる優位性があります。
このような販売戦略を『コスト・リーダーシップ戦略』といいます。
(2)差別化とは他では手に出来ないモノやサービスで勝負するということです。
これも規模の小さい企業は顧客数や顧客層は狭く、小回りも効きますので、大手には真似のできない商品やサービスを
提供できる可能性がありますが、価格と比較するとその難易度は高くなります。
このような販売戦略を『差別化戦略』といいます。
2.対象市場の軸
対象市場の軸は「絞り込む」か、「広げる」かです。
(1)市場を絞り込むとは少人数の顧客や狭い市場を対象にするということです。
大手は規模の小さい企業ほど市場を絞り込むことは出来ませんので、大手より優位性を確保しやすくなります。
ただパイが少ないので飽和性を招きやすくなりますので、頻繁なバージョンアップが必要となります。
このような販売戦略を『コスト集中戦略』といいます。
(2)市場を広げるとパイは大きくなりますが、大手との競合する場面が多くなることが予想できます。
それだけ強い価格力や商品力が求められます。
このような販売戦略を『差別化集中戦略』といいます。
では、もう少し詳しくそれぞれの戦略について説明しましょう。
3.コストリーダーシップ戦略
「コストリーダシップ戦略」というと、先頭を切って低価格で提供するように思いますが、そうではありません。
ポイントは、低価格ではなく、低コストを実現するということです。
低コストで価格対応力を強くする戦略です。
ですから、売上原価や販売費を抑え、低価格で販売しても適切な利益が稼げるし、ましてそれなりの販売価格であれば高い利益率を
確保することができます。
したがって、小規模な企業に向いた戦略でもあります。
そのためには、この戦略を採るバックボーンには、管理力を高め、仕事のやり方を変えることが必要となります。
4.差別化戦略
「差別化戦略」とは、他社に対して競争優位を高めることです。
そのためにはランチェスター戦略に示されているような、「局地戦」「接近戦」「1対1」「1点集中」「陽動戦」などの考え方を採る
ことが重要です。
5.集中化戦略
単なるコストリーダーシップ戦略や差別化戦略は、対象市場を広く想定していますので、どちらかというと大企業が採りやすい
戦略です。
そこで小規模な企業は「集中化戦略」を採ることが肝要となります。
集中化戦略は、特定の市場を対象として限定的に競争優位の軸を築く戦略ですが、コスト集中と差別化集中に分けられます。
集中するセグメントによって成否が左右されますので、自社の強みが発揮できるセグメントか、そのセグメントで成長性と収益性が
十分取れるのか、考えることが大事になります。
どれの戦略が採用しやすいかといえば、コスト集中戦略とコストリーダーシップ戦略ということになりますが、
これらの戦略で素晴らしいところは、同時に自社の体質改善を導いてくれ、高収益型の企業体質にしてくれることです。
いろいろとアイデアや考え方はあります。
大事なことは考えだけに止めず、まずはチャレンジしてみることではないのでしょうか。
注:「チャレンジ」とは、取り合えずやってみようよと安直にやることではなく、しっかり考えた上でやることです。