760.改善方法を掘り下げる 返済能力
2026年6月27日
ここでいう「返済能力」とは、あくまでも金融機関からの借入金に対する返済能力をいいます。
金融機関からの借入金を無理なく返済できる状況か、どうかということです。
なお、「金融機関以外からの負債」に対する返済能力・状況は「安全性」で見ることになります。
1.返済能力を判断する経営分析
それは下記のとおりでした。
①有利子負債比率(ギアリング比率)(%) : 有利子負債 ÷ 自己資本 ×100
これは自社が返済期限や利子(支払利息)を伴う借入金にどれだけ依存しているかを示す財務上の安全性指標です。
有利子負債比率は低いほど安全性が高いと評価されます。
適正な目安は中小零細企業なら70%〜80%程度とされています。
自己資本の何倍の有利子負債があるかということでもあります。
②債務償還年数(年) : (借入金ー手元資金) ÷ (経常利益+減価償却費)
自社が抱えている借入金を、毎年生み出せる利益(返済原資)で、何年間で完済できるかを示す指標です。
銀行が融資審査において融資先の返済能力を評価する際に最も重要視する数値の一つと言われています。
この債務償還年数は短いほど、借入金に対して稼ぐ力があり、返済能力が高いと評価されます。
一般的な目安は10年と言われ、10年を超えると銀行から「要注意先」として警戒されるラインとなります。
なお、設備投資が大きい製造業や不動産業などでは、15年〜20年程度まで許容されることがあります。
③インタレスト・カバレッジ・レシオ(%): (営業利益+受取利息+受取配当金) ÷ ( 支払利息+割引料) ×100
インタレスト・カバレッジ・レシオ(ICR)とは、自社が本業で稼いだ利益で、借入金などの利息の支払をどれだけ余裕を
もってカバーできているかを示す指標です。
ICRが大きいほど、利息の支払能力が高く、財務上の安全性も高いと評価されます。
健全性の目安は以下のとおりです。
1倍 未満(支払利息の方が多い):本業の利益で利息を支払い切れておらず、資金繰りに危険信号が出ている状態です。
1倍〜2倍程度 :最低限のラインであり、やや余裕がないと言えます。
5倍 以上 :十分に安全性が高く、いわゆる営業外損益に余裕がある状態です。
2.銀行借入の3つの常識
あらためて説明すると当たり前のことばかりですが、意外と借入時点では借入することだけに頭が行き、忘れられています。
(1)借入には支払利息がかかる
当たり前のことですが、それ相当の支払利息がかかり、支払利息は経常利益を損なうことになります。
(2)元金返済を利益から返済できないと手元資金から返済することになる
これがよく忘れられていることです。
借入返済の常識は支払利息もそうですが、元金も利益から返済できないと、元々あった手元資金から返済することになります。
つまり、借入が資金繰りの悪化を招くということです。
(3)元金返済できなくなると保証協会が肩代わりする
一般的に借入時には保証協会の保証が求められますが、これは返済できないときの保険のようですが、そうではありません。
もし保証協会が代位返済をすると、以後は借入が出来なくなってしまいます。
つまり、事業に大きな支障が生じます。
借入金は設備投資する時などに必要なことが多いものですが、借入にはこのように常にリスクがあります。
したがって借入をした場合は、常に借入金の返済状況を確認することが重要です。
借入は常に経営リスクを高めるものでもあります!
では、そのような借入返済を確実するにはどうすればよいのでしょうか?
3.借入返済対策はただ一つ
①有利子負債比率であるギアリング比率は、自己資本が増えれば下がり、安全性が高くなります。
②債務償還年数は、経常利益が増えれば短くなり、返済能力は高くなります。
③インタレスト・カバレッジ・レシオであるICRは、営業利益が増えれば大きくなり、財務上の安全性も高くなります。
つまり、借入をして利益さえ増えれば、借入返済を、確実にそして資金繰りを悪化させずにできることになります。
借入返済対策はただ一つ 利益を増やすことです!
この、ごく当たり前のことをどう思われますか?
しかし、これは設備投資などの投資目的を端的に表しているのです。
機械が古くなったから入れ替えよう、営業が不足しているから人を入れようなど、いろいろな事情があって投資をし、
そのために必要であれば銀行借入を起すわけですが、それで利益が増やせるという見込みがなければなりません。
借入の裏にはそれで必ず利益が増やせる という必要条件があります!
借入返済で困っている経営者の方にはそこの考えが少し足りないということが共通事項として挙げられます。
したがって自ずと借入を起す場合には、必然的に「借入金採算計画書」や「設備投資採算計画書」が必要になってくるのですが、
それを嫌がる経営者が多くおられます。
ぜひ、借入される際には「借入金採算計画書」や「設備投資採算計画書」を策定し、借入後のプランを明確にしましょう。
また、既に返済中の場合は収益改善を断行して、黒字経営を続けるしかありません。
このように会計は上辺だけでなく、読み下していくことが大切です。
そこから戦略・戦術の方向性を見出すことができ、このことを「経営分析」といいます。
決して経営分析は上辺だけを見るだけのものではありません。