754.改善方法を掘り下げる 生産性②

2026年5月15日

マズローの法則でそれぞれの段階にいる従業員の動機付けを図ったとして

それ以後もそれぞれには成長してもらわなければなりません。

そのために必要なのが従業員の「ヤル気」であり、従業員のヤル気は組織を活性化させ、自社を成長させてくれます。

そこで今回紹介するのが「ハーズバーグの二要因論」です。

ハーズバーグの二要因論には、ヤル気に満ちる組織にするヒントがあります。

 

1 ハーズバーグの二要因理論とは

ハーズバーグはアメリカの臨床心理学者ですが、「満足」と「不満」を引き起こす2つの要因についての理論を提唱しています。

ハーズバーグの「二要因理論」によれば、仕事でのヒトの満足度は特定の要因が満たされると上がり、不足すると下がるといい、

満足に関わる要因を『動機付け要因』、不満に関わる要因を『衛生要因』と名付けています。

ヤル気にさせるのが『動機付け要因』、阻害するのが『衛生要因』!

 

2 ヤル気にさせる『動機付け要因』

『動機付け要因』とは、仕事のモチベーションを高めるものであり、仕事の満足度を上げる要素のことです。

その要素として次の5項目を挙げています。

 《ハーズバーグの動機付け要因5要素》

 1.達成すること

 2.承認されること

 3.仕事そのものへの興味

 4.責任と権限

 5.昇進や成長

できた、 認められた、 おもしろい、 やりがいある、任せられた、 昇進した、成長した

それらを感じられることが大事です!

これらはマズローの法則「自己実現欲求」「尊厳欲求」「社会的欲求」を満たす要素でもあります。

この5要素の『動機付け要因』を簡単に説明すると、次のようなことです。

1.達成すること

達成感を感じることは従業員のモチベーション向上につながります。

そのためには「目標設定」が必要になります。

目標設定で大切なことは

 ①従業員の目標と会社の目標がつながっていること

 ②会社目標の達成に対して従業員が共感できること

ノルマのようなに、会社から一方的に与えられた目標では従業員のモチベーションはあがりません。

2.承認されること

人は誰でも他人から認められたい気持ちがあります。

マズローはそのことを承認欲求の中で、「自分は組織にとって必要な存在であり、尊敬され優秀だと認められたい欲求」と

説明していましたが、承認されると、モチベーション・成果・自信・能動的な姿勢などに現れてきます。

企業としては従業員を承認する方法は昇進・昇給・ボーナスなどがありますが、それらをうまく活用することが大切です。

3.仕事そのものへの興味

そもそも、仕事への興味がなければモチベーションはあがりません。

仕事への興味があれば、上司からの指示がなくても自発的に学んだり、業務改善の思考を持つなど、人は自然に成長するものです。

従業員がどうしても仕事に興味を持てない場合は次のような工夫をしましょう。

 ①自己分析をさせて、自分の業務適性を見極めさせる

 ②第三者の意見を聞かせて気づきを得させる

 ③小さなことでも目標設定をさせて仕事にやりがいを見つけさせる

 ④向き・不向きを考える前に、まず仕事に取り組ませる      などです。

また、管理者が部下に、部下の仕事が会社の目標達成にどんな役割を担っているのか、どんな影響があるのかなど、

しっかりしたコミュニケーションを持つことも大切です。

4.責任と権限

責任とは、結果に対処する任務や義務を持つことです。

権限とは、何かする際に自分自身で判断できる力や権利です。

言い換えると、責任は任されたことであり、権限は自分で判断や意思決定ができる権利のことです。

中小零細企業ではこの責任と権限が曖昧であったり、責任は求められても権限はない、ということです。

これでは「よし、やろう」という気持ちにはなりません。

動機付け要因の「責任と権限」が増えると、一般的にプレッシャーは感じるのかもわかりませんが、やり甲斐は高まります。

従業員に責任と権限を与えることで

 ①1つの仕事に対しての意思決定スピードが上がり競争力が高まる

 ②自然とワンランク上の仕事を志向する

など、従業員の成長速度が高まり、失敗も含めて責任があるので次回からの改善を自ら考えるようになります。

5.昇進や成長

仕事で成長を実感することは最大のモチベーション向上になります。

特に、仕事の報酬はお金だけではなく、自分の成長と考える従業員にとっては昇進や成長は最も重要な項目になります。

従業員に成長を促す仕組みとして、昇進や昇給制度・表彰制度・資格取得制度などが上げられます。

従業員が成長を実感できる環境作りは「この会社で長く働きたい」と思わせることにつながります。

 

3 ヤル気を阻害する『衛生要因』

ハーズバーグはヤル気を阻害する要因を『衛生要因』と名付け、いわゆる不満要因でもあります。

大事なことは、この衛生要因を取り除いても、満足にはつながらないということです。

ハーズバーグは「不満の要因と満足の要因は別もの」と見抜いています。

不満の要因と満足の要因は別ものです!

具体的な衛生要因として、給与・福利厚生・経営理念や経営方針・同僚との関係・上司との関係の5点が挙げられます。

《ハーズバーグの衛生要因5要素』》

 1.給与

 2.福利厚生

 3.経営理念と経営方針

 4.同僚との関係

 5.上司との関係

これらの衛生要因を解決すると、マズローが言うところの「生理的欲求」「安全・安定欲求」「社会的欲求の一部」を満たすことに

なります。

1.給与

給与は業務内容に見合ったものであることが必須です。

仮に責任と権限が大きいのに給与が低いと、モチベーションは下がってしまいます。

しかし経営において「黒字化させるために人件費を抑えなければならない」、「内部留保を増やさないと経営が不定定になる」、

「年功序列になっているので急には中堅や若手の給与は上げられない」など、簡単には従業員給与を上げられない事情があることも

事実です。

そこで重要なことは、それらの事情を従業員に知ってもらうという、常日頃からのコミュニケーションなのです。

そこを黙っているから衛生要因となるのであり、それらを理解してもらうように説明すれば、理解を得られるかもわからりません。

ともかく昇給の努力と現状、そして将来を説明することが大切です。

2.福利厚生

福利厚生を企業として努力し、従業員が「働きたい」と思う職場環境にしなければなりません。

言い換えれば、従業員が働きたいと思う職場環境の指標のひとつとして「福利厚生の充実」が挙げられます。

サービス残業や休日出勤が日常だったり、有給休暇が取れない環境では、従業員のモチベーションは低下します。

出来る限りの従業員満足度向上を志向し、有給休暇取得の奨励、資格取得の支援、各種サービスの割引や社員食堂の充実など、

自社で努力できる範囲で福利厚生を充実させることが大切です。

3.経営理念と経営方針

経営者が掲げる経営理念や経営方針は、経営者が個人的に成し遂げたい想いだけを掲げている場合が多く見られます。

従業員の立場から見ればそれは社長の自己満足だけであり、自分たちには何の関係性も利点も見出せません。

これでは従業員は仕事の目的や意味が見い出せなくなりますので、モチベーションが上がりません。

経営理念や経営方針で大事なことは従業員が理念を「自分のこと化」にできることです!

大事なことは経営理念の意図が社内で言語化できていることであり、従業員の定着率や長期にわたって活躍している人が多い

という点などに着目していることです。

経営理念や経営方針が曖昧であったり、経営者の個人的な想いからの自己実現であったりする場合は、従業員が働く意義や目的を

明確にできませんので、優秀な人材も逃してしまうことにつながってしまいます。

4.同僚との関係

同じ職場で仕事する以上、お互い足りない部分を補完し合い、尊重し合うような関係づくりが大切です。

職場での関係が円滑でないと、自分ばかり損しているとか、周囲が理解してくれないなどの不満を抱いてしまうようになり、

モチベーションが下がってしまいます。

同僚との関係とは、職場での関係を円滑にすることですが、相手のプライベートの深い部分に踏み込まないことであり、

悩みを1人で抱え込まずに周囲に相談できる職場にするなどのことをいいます。

5.上司との関係

自分を評価する立場の上司との関係が悪くなると仕事がやりにくくなってしまい、モチベーションも低下します。

上司は個人的な感情で部下を評価したり指導したりせず、あくまで会社の成長に向かうための評価や指導が行える人となり、

上司と部下間で互いに尊重する気持ちが大事です。

その上司との関係を改善するためには「昇進の選定基準」が大切です。

営業成績がいいだけで管理者に昇進させる、経営者のお気に入りだから昇進させるなど、褒賞的・恣意的な昇進の仕組みを

改めなければなりません。

あくまでも上司には部下を育成できる能力に長けていることが、もっとも重要なコンピテンシーとして求められます。

このような上司との関係が成立すると、仕事がスムーズに進むようになり、結果としてそれぞれの評価が高まり、

ついては上司との信頼関係が深まって、キャリア形成するうえで上司との関係性を活かせるようになる、仕事のスキルを磨きつつ

仕事の幅が広がるとかなどの効果が生み出されるようになります。

 

4 中小零細企業で実行したいこと

このハーズバークの二要因理論の根底には、常に従業員一人一人のことを見守るという重要な姿勢が流れています。

つまり、ハーズバークの二要因理論は、実は大企業には不利であって、小さな会社の方か有利であるということです。

そこで、中小零細企業の経営者には

 ①従業員を褒めようと、いつも意識しているか?

 ②従業員を大したものだと、いつも認めようと意識しているか?

 ③その証として、褒賞や昇進・昇給などを公明正大にやっているか?

ということが求められています。

そういうことをただ大事に考えている、思っているだけでは伝わりません。

それを従業員に直接伝え、理解させることが大切です。

ハーズバークの二要因理論の根底には

社長が従業員を褒める、認める、関心を持つということがあります!

 

 

 

マーケティングには企業と企業間のこと、企業と顧客間のことだけではなく、社内マネジメントについても多くの理論があります。

それが「マーケティングとは企業活動全般に関する理論である」と言われている所以です。

時代の進展とともに社会は成熟しており、中小零細企業経営といえども、これからはマーケティングをもって挑むことが大切です。