752.会計のおさらい 会計の見方読み方⑧

2026年4月25日

7 会計の見方・読み方 重要な読み方ベストチョイス

これまで、収益性・生産性・安全性・債務償還能力・成長性・収益構造の6つ分野から説明してきました。

しかし、それらの重要性は、経営の状況やそのときどきの社会情勢などによって変わってきます。

現在の社会情勢は米国とイランの紛争、あるいはロシアのウクライナ侵攻など、非常に戦争リスクが大きくなっています。

海外に対する依存度が高い日本において事業を経営をしている私たちは、いつ大きな環境の変化に陥るかわかりません。

重要な「会計の見方・読み方」というものは経営状況や社会情勢によって変わる!

 

そこで最後にその情勢を踏まえて、これまで紹介した中でも現在の状況で最も大切な見方・読み方をベストチョイスし、

「まとめ」として紹介します。

 

 

重要度1.安全性 『当座比率』『自己資本比率』

なんといっても経営環境がいつ大きく変わるかわからない現代において、企業経営に問われるのは「安全性」です。

少々のことが起こっても凌げる経営ということが、大事になって来ます。

事業の安全性を読む指標は多くありますが、短期的な安全性として、何と言っても大切なのは『当座比率』です。

通常70~80%であれば、当座資産以外にこれから当座資産になるうる棚卸資産などもありますので「大丈夫」と言われますが、

現在の情勢においては100%超、できればもっと高めておきたいところです。

さらに長期的な安全性を高めるには、やはり『自己資本比率』です。

自己資本比率が高ければ営業外費用を抑えることにつながりますから、営業利益から経常利益段階になっても、

さらに利益率を高めることになります。

向こう短期間の安全性は『当座比率』、長期に渡る安全性は『自己資本比率』!

 

 

重要度2.収益体質 『損益分岐点比率』

手元資金を厚くするには、まずは収益体質を改善しておくことが大事になります。

収益体質が改善されていくと、売上高が増加しなくとも利益は増加します。

そのうえで、さらに売上高自体も伸ばすことができれば、利益はさらに増加します。

したがって、『損益分岐点比率』を下げることは非常に大事なことです。

通常80%程度であれば「正常」とも言われますが、現在の情勢においてはさらに60%程度は目指していきたいものです。

そのためには、冗費節減と、付加価値を高めることが大切です。

収益体質の改善状況は『損益分岐点比率』で判断する!

 

 

重要度3.収益性 『総資本営業利益率』

営業利益は本業ベースの利益です。

事業も投資活動のひとつであると認識すれば、本業ベースで事業投資額の総額である総資本に対して、10%超の営業利益は

稼ぎたいものです。

損益分岐点比率が下げられれば、自ずと『総資本営業利益率』も上がりますが、あらためて常に定点観測して認識しておきたい

ものです。

事業も投資活動であれば『総資本営業利益率』を常に認識する!

 

 

重要度4.債務償還能力 『有利子負債比率(ギアリング比率)』

債務償還年数や借入金対月商倍率も大事なのですが、両者とも業績の影響を受けますので、その状況で大きく変わります。

そこである程度、企業体質としての債務償還能力を読むには『有利子負債比率(ギアリング比率)』が適していることになります。

銀行から借入である有利子負債が自己資本と比べてどの程度あるのかを知っておくことで、自社の債務償還能力をマネジメントする

ことができます。

石橋を渡るような固い経営をしたいならば、有利子負債ゼロでの経営を志向することが大事です。

しかし通常、事業経営に銀行借入は付き物ですから、その前提に立つならば、有利子負債比率は50%程度を基準にマネジメント

したいものです。

自社の債務償還能力は『有利子負債比率(ギアリング比率)』で管理する!

 

 

重要度5.成長性 対前年売上高比率

ここまで体質的な改善が出来ているのであれば、人件費を含めコストは常に増加して行くものですから、『対前年売上高比率』は

常に100%超の増収体質にしておきたいものです。

増収体質にするためには、常にディフェンス売上高とも言える自社にとっての継続売上高と、増収の元であるオフェンス売上高とも

言える自社にとっての新規売上高というものを明確にして、それぞれ目標設定を行い、常に進捗管理をすることが大切です。

『対前年売上高比率』は継続売上高と新規売上高に分けマネジメントを行い、増収を目指す!

 

 

重要度6.生産性 『一人当り売上高』

最後は生産性である『一人当り売上高』となります。

一人一人の人件費を増やしていくためには、一人一人の売上高を増やすことが必要ですが、しかしそれは「結果論」です。

人件費を増やすために売上高を増やすことを求めることは、一見、道理があるように見えますが、それは間違いです。

それでは動機はともかく、結果は「ノルマ」の強制となってしまいます。

一人一人の売上を増やすということは、一人一人が売上を増やすことではなく、全体で売上を増やすことをいいます。

いわゆる「全員参加型」の経営体質を変えることをいいます。

『一人当りの売上高』は全員参加型の経営体質に変革させることをいいます!

 

 

 

このように会計は上辺だけでなく、読み下していくことが大切です。

そこから戦略・戦術の方向性を見出すことができ、このことを「経営分析」といいます。

決して経営分析は上辺だけを見るだけのものではありません。