749.会計のおさらい 会計の見方読み方⑤
2026年4月4日
4 必ず返済しなければならない借入金に対する返済能力の見方・読み方
借入金には特徴が3つあります。
ひとつは、借入金には支払利息がかかり、経常利益を損なうということです。
ひとつは、元金返済を利益から出来ないと、手元資金から返済することになるので資金繰りが余計に悪化するということです。
ひとつは、元金返済できなくなると、保証協会が肩代わりするので以降は新規借入が出来なくなってしまうということです。
このように借入金は設備投資などでどうしても必要なときがありますが、借入には常に倒産リスクを高めるという特徴があります。
したがって借入をした場合には、常に借入金の返済状況を確認することが重要となります。
借入は常に経営リスクを高めるものです!
では、その借入金に対する返済能力をどのようにして読めばいいのでしょうか。
(1)借入金と自己資本を比較し「有利子負債比率(ギアリング比率)」を知る
有利子負債比率はギアリング比率とも呼ばれますが、自社の有利子負債が自己資本(純資産)のどの程度あるのかを示す指標です。
有利子負債比率(%)=有利子負債÷自己資本×100
100%以下、つまり自己資本の方が多い状況が健全な状況であり、150〜300%以上になると危険な状況とみなされます。
一般的に50%以上になるとリスクは高く、25~50%程度が健全な状況です。
300%を超えるようになると、危険水準と判断します。
有利子負債比率は低いほど安全性は高くなりますが、一方、低すぎると経営効率が悪いと書籍などでは説明されていますが、
それは投資家が存在する上場企業などに対する解説であり、投資家がいない中小零細企業ではそのようなことは関係ありません。
またある統計によれば、全業種における有利子負債比率の中央値は『80%程度』といわれています。
高すぎる有利子負債比率を下げるには、借入金自体を削減するか、利益(内部留保)を積み増しをしていくかしかありません。
有利子負債は自己資本以下にすることが通常の経営においては『鉄則』!
(2)利益と借入金残高を比較して「債務償還年数」を知る
債務償還年数とは、一見難しそうに思える用語ですが、要は借入金を今の状況で最短何年で返済できるかということです。
借入金返済の原資は「利益+減価償却費」であり、これを全部注ぎ込んで借入金を返済すると考えます。
一方、返済する借入金残高は正確を期し「借入金ー手元資金」と計算します。
したがって債務償還年数は。次のような計算で求めます。
債務償還年数(年)=(借入金ー手元資金)÷(経常利益+減価償却費)
この債務償還年数は銀行融資の審査で最も重視される財務健全性の一つといわれています。
一般的には10年以内が目安であり、短いほど返済能力が高いと判断されます。
金融機関の評価基準は、10年以内で健全で「良好」、10〜15年以内であれば「要注意」、20年超で危険で「返済能力に疑問
あり」といわれています。
計算式を見て考えれば、いかに借入しながらの赤字経営が「論外」であるか、よく理解できます。
利益を獲得するために設備投資をするのですから、そのために借入をして、その後は黒字経営にするのは当たり前です。
借入後の損益計算は『黒字経営』が当たり前!
なお、債務償還年数は業種によって大きく異なり、不動産賃貸業などの設備主体の業種であれば、20年以内でも許容されます。
(3)利益等と支払利息等を比較して「インタレスト・カバレッジ・レシオ」を知る
インタレスト・カバレッジ・レシオとは、利益で借入金利息の負担をどの程度カバーしているか知ることで、
借入金の支払利息がどの程度損益に影響を与えているのかを認識する指標です。
利益は「営業利益+受取利息+受取配当金」で計算します。
借入金利息は「支払利息+割引料」で計算します。
インタレスト・カバレッジ・レシオ(%)=(営業利益+受取利息+受取配当金)÷ (支払利息+割引料)×100
100%未満、つまり支払利息等の方が多ければ、支払利息等が営業利益を上回っていることになりますので、損益計算的には
負担が多過ぎることになります。
200%以上、つまり利益等が支払利息等の倍以上ある状態であれば、一般的には安定していると判断できます。
500%以上であれば、支払利息等はそれほど損益に影響を与えず、非常に高い財務安全性を示していると判断できます。
しかし借入金はすべからく悪いものではなく、事業を成長させよう、事業をさらに大きくしよう、事業をさらに拡げようと考える
場合、借入金を増やして投資を行う必要があるため、このインタレスト・カバレッジ・レシオは一時的に低くなる場合があります。
但し、その場合はしっかりとした投資計画を立案する必要があることは言うまでもありません。
事業拡大のための借入には『投資計画』を立案することが大事です!
このように会計は上辺だけでなく、読み下していくことが大切です。
そこから戦略・戦術の方向性を見出すことができ、このことを「経営分析」といいます。
決して経営分析は上辺だけを見るだけのものではありません。