746.会計のおさらい 会計の見方読み方②

2026年3月6日

1 収益性の見方・読み方

 

(1)収益性とは稼ぐ力、利益力の強さのこと

収益性とは、事業に投入した資本や獲得した売上高に対し、どれだけ効率よく「利益」を上げられているかということです。

ポイントは、収益性とは単にお金が入ってくる収益力だけをいうのではなく、費用を差し引いたあとの稼ぐ力である利益の強さを

表すということです。

収益性とは費用を差し引いたあとの稼ぐ力『利益力の強さ』のことをいう!

つまり、収益性とは売上高を見ることではなく、利益を見るということです。ここがポイントです。

たとえば・・・

①自己資本利益率(ROE)であれば、自社の資金でどれだけ稼げたかを示していると捉えます。

②総資産又は総資本利益率(ROA)であれば、自社の資産・資本でどれだけ稼げているかを示していると捉えます。

③売上高利益率であれば、売上のどれくらいが利益になっているのかを示していると捉えます。

またROEとROAは区別しにくいですが、ROEは「リターン・オン・エクイティ」の略であり、ROAは「リターン・オン・

アセット」の略です。

つまり、ROEはエクイティである『自己資本』に対する利益率であり、大手であれば株主の資金の使い方、中小であれば自己資金

の使い方の効率を示します。

それに対して、ROAはアセットである『資産』に対する利益率であり、すべての事業資産を使った効率を示します。

エクイティとは「自己資本」、アセットとは「資産」のことですので、視点を変えて利益を見ると考えるとわかりやすくなります。

 

(2)中小零細企業は本業で利益をだす『総資本営業利益率』が重要

中小零細企業は、まず本業でしっかり利益を出すことが肝心です。

したがって、ROEやROAではなく、中小零細企業の収益性で重要なのは『総資本営業利益率』です。

たとえば、自分のおカネを何かに投資した場合、だれも損をしようとは思いません。事業もそれと同じです。

事業もおカネを投資して行っているわけですから、損しないこと、利益を獲得することが大事なのです。

したがって、経営理念は別にして、事業を始めた以上、儲けることが重要なのです。

また、儲けは自社の事業に対する社会の評価でもあるのです。

儲けが出せない事業は社会から評価されていないと考えることが大事です!

しかしなから、中小零細経営者には意外と「損しても仕方がないか」と思う経営者が多くいます。

事業は1年間だけではなく何年間も続けて、たとえ少人数でも従業員の人生も背負っているものですから、赤字を出さないように

儲けなければなりません。

儲け続けることは、事業を一緒にやってくれている従業員に対する経営者としての責務でもあるわけです。

したがって、『総資本営業利益率』が中小零細経営にとって一番大切な指標なのです。

『総資本営業利益率』が中小零細企業にとって一番大切な指標です!

 

(3)総資本営業利益率を掘り下げる

さて、ただ単に「総資本営業利益率が低い」とか「もっと上げなければ」とただ念仏のように思っているだけでは、

総資本営業利益率は良くなりません。 会計はそのヒントも与えます!

①総資本営業利益率は営業利益を総資本で割り算して求めます。

総資本営業利益率(%)=営業利益÷総資本×100

②この算式はよく考えると、売上高営業利益率と総資本回転率の積でもあるのです。

(営業利益÷売上高×100)×(売上高÷総資本×100)=営業利益÷総資本×100

③つまり、総資本営業利益率を良くするには、売上高営業利益率を高めるか、総資本回転率を高めるか、あるいは両方高めるかの

 3通りの戦略があることがわかります。

④売上高営業利益率を高めるには、売上総利益率を高める、販売費及び一般管理費を抑えることなどの戦術が考えられます。

⑤総資本回転率を高めるには、売上高を増やす、総資本を圧縮するなどの戦術が考えられます。

つまり、算式を展開させることで、戦略・戦術まで掘り下げられることになります。

算式を展開すれば戦略・戦術まで掘り下げられる!

 

(4)総資本回転率を掘り下げる

もう少し具体的に説明すると、次のようになります。

①総資本回転率を良くするためには各資産の『回転期間』で見てターゲットを決めます。

 たとえば、総資本回転率が2回ということは、回転期間に置き換えると182日程度になります。

 これは総資本を1日当りの売上高で割ることで求めることができます。

総資本回転期間(回)=総資本÷(年間売上高÷365)

②同様に各資産も回転期間が求められます。それらを足すと総資本回転期間となります。

 総資本回転期間 =流動資産回転期間+固定資産回転期間+繰延資産回転期間

         =流動負債回転期間+固定負債回転期間+自己資本回転期間

 流動資産回転期間=現預金回転期間+売上債権回転期間+棚卸資産回転期間+その他流動資産回転期間

 固定資産回転期間=有形固定資産回転期間+無形固定資産回転期間+その他固定資産回転期間

 流動負債回転期間=買入債務回転期間+短期借入金回転期間+未払金等回転期間+その他流動負債回転期間

 固定資産回転期間=長期借入金回転期間+その他固定負債回転期間

 このようにしてみると具体的な改善項目が見つけられるようになります。

 

(5)売上高営業利益率を掘り下げる

売上高営業利益率も同様に掘り下げられ、具体的な改善項目が見つけられるようになります。

①売上高営業利益率を良くするためには各利益・費用項目の『売上高比率』で見てターゲットを決めます。

 たとえば、売上高営業利益率が3%ということは、費用に売上高の97%も費やしていることになります。

売上高比率(%)=利益・費用項目÷売上高×100

②これには次のようなものが上げられます。

 売上高売上総利益率=売上高100%ー(商品仕入比率+材料費比率+労務費率+その製造経費比率)

 売上高営業利益率 =売上総利益率ー(販管費比率+営業外費用比率)+営業外収益率

 販管費比率    =販売費比率+役員報酬比率+従業員人件費比率+その他経費率

 このようにしてみると具体的な削減項目が見つけられるようになります。

 

 

 

このように会計は上辺だけでなく、読み下していくことが大切です。

そこから戦略・戦術の方向性を見出すことができ

このことを「経営分析」といいます。

決して経営分析は上辺だけを見るだけのものではありません。