738.来年に備えた2025年末の財務チェック!
2025年12月26日
2025年もいよいよあと僅かですが、今年の経営状況はどうだったでしょうか?
今年もロシアによるウクライナ侵攻が続き、高市政権が誕生して中国との関係も冷え込み、日本を取り巻く国際情勢は
混沌としたものがあります。
一方、国内に目を向ければ、円安・コスト高、人件費の高騰は昨年から続き、それに加えて日銀の金利引上げなど、国内経営環境も
やはり厳しい1年でした。
来年もどのような経営環境を迎えることになるのか、先行きが読めない時代ですが、
年末年始の時間がゆっくり取れる時ぐらいは、事業の財務内容を改めて確認し、来年の経営に備えたいものです。
そこで12月の月次試算表をもとに、基本的な財務項目の確認してみませんか。
特別難しいものではなく、数字の意味をよく考えていけば、誰でも自社の財務チェックはできます。
1 手元資金
「手元資金」は何と言っても、一番頼りになる資産です。
その手元資金を「平均月商」と比較することで、その充分性が確認できます。
手元資金が充分あれば、安定した経営ができることになります。
最低でも『平均月商の3ヶ月分以上』の手元資金があるように、経営の舵取りをしたいものです。
2 売上債権
「売上債権」は近々手元資金になる資産ではありますが、多ければ「安心」というものではありません。
売上高と約定に応じて、企業ごとの「適正な売上債権残高」というものがあります。
もし、適正額以上に売上債権があれば、それは「未回収の売上債権がある」ということになります。
手持ち売上債権が不良債権化する前に、相手取引先に支払の確認を取ることが大事です。
3 棚卸資産
「棚卸資産」の肥大化は、売上原価を押し上げる元凶であり、赤字経営の大きな原因でもあります。
実地棚卸を行い、売れ残り商品や不良商品がないか、目で確かめることが非常に大事です。
もし、売れ残り商品や不良商品があれば、処分の方法を検討し、棚卸資産を適正な状況にすることが『黒字経営への要』です。
4 固定資産
「固定資産」は、事業にとって、生産をするために必要な設備などのことです。
したがって、もし稼働率の低い固定資産があるならば、処分するも検討してみることが大事です。
また、固定資産の購入財源も確認しておくことも大事なことです。
経営の基本は「固定資産は自己資本で購入する」ということです。
固定資産と自己資本を比較し、固定比率がどの程度か、認識しておくことが大事です。
もし、固定比率が低いようなら、固定資産と自己資本に固定負債を加えた固定性資本と比較し、固定長期適合率も確認しましょう。
それによって『財務体質強化の経営』に繋がって行きます。
5 流動負債
「流動負債」とは、1年以内に返済する他人資本ですが、言い換えると「運転資金の調達先」でもあります。
したがって、流動負債は「常に換金できやすい資産である流動資産で運用する」ことが大切なのです。
そこで、当座資産に棚卸資産を加えた「運転資産」と流動負債を比較し、流動負債が換金しやすい資産で運用されているかどうか、
確認しておくことが大事です。
また「返済能力」としては、当座資産と流動負債を比べ、当座比率を確認し、150%程度あれば返済能力としては安心です。
6 借入金
「借入金」には「短期」と「長期」がありますが、常にその借入総額のボリュームと最短返済期間を知っておくことが大事です。
借入総額のボリュームは平均月商と比べて、平均月商の何カ月分にあたる借入金があるのかを確認します。
最短返済期間は借入総額と年間の営業利益と減価償却費を比べ、最短で何年程度かかるのか試算します。
できれば、借入総額のボリュームは「平均月商の3カ月分程度以内」に、最短返済期間は「6年程度で返済できる」ように、
経営の舵取りをしましょう。
7 自己資本
「自己資本」とは「純資産」のことです。
この自己資本と「総資本」を比べて、総資本に占める自己資本の割合を常に認識しておきましょう。
安定した経営を続けるためには、自己資本比率が「常に50%前後」で推移するように、経営の舵取りをします。
8 売上高
いろいろな意見がありますが、究極的にモノ(物価)や人件費(給料)は下がることがありません。
したがって、資金の源泉である「売上高」は、やはり「毎年増収」が基本です。
したがって、常に前年同月・前年同期・計画などと比較して、売上の状況を確認することは大切です。
さらに、商品別や得意先別にもその動向を把握しておくことも重要なことです。
と同時に、どういう打ち手を講じてリカバーしていくのか、常にそのようなマインドを持って、売上というものを捉えることが
重要です。
9 粗利益(売上総利益)
「粗利益」とは「売上総利益」と考えてもいいのですが、本質は「売上高-直接原価」です。
つまり、素材である原材料に、どれだけ自社で「付加価値」を付けられて販売できたかということになります。
この粗利益が増えて続けている経営を『高付加価値経営』といいます。
経営にとって、売上高の増収は「プロセス」に過ぎませんが、大事なことは粗利益の『増益』です。
粗利益を増やすには、原価を抑えて増やすことが考えられますが、もう一つはプロダクトミックスによって粗利益の高い商品の
売上高構成比を上げて、粗利益を増やすことも考えられます。
さらには、お客様に納得いただける中で、売価自体を上げることも大事なことです。
10 人件費
昨今の情勢から考えて「人件費」は上げざるを得ません。
しかし、そういう消極的な考え方ではなく、自社にとって「高い人件費にしていくことが士気を上げていく」という
積極的な考え方で、人件費というものを捉えたいものです。
利益の源泉は「商品」そのものだけではなく、その多くの源泉は「人にある」と看破すれば、
人件費を上げて社内士気を高め、より高い利益を求めていくという考え方はとても大切なことです。
安い人件費を求める時代はとっくに終わっています。
やる気のある人材を求め、高い利益体質の企業にする時代・・。いまはそういう時代です。
11 最終利益
最終利益である「当期純利益」は、事業資金を確保していくためにも高めておきたいものです。
どのくらい利益が確保されているのか、必要に応じて確認し(月次での確認は必須です!)、目標利益の達成に近づけて行きたい
ものです。
今年の『企業経営コラム』はこれが最後になります。2026年が良い1年でありますように!