715.簿記の仕組み⑭ まとめ
2025年7月20日
「会計は、一体何のためにあるのか?」
この問いに対する答えは、確かに決算申告をするためには必要なので「決算申告のために会計はある」という考え方もあるが、
しかし、決算申告の前に、経営状況を常に把握し「健全な経営を遂行するために会計はある」というのが正しい答えだ。
その本来の目的を満たすために、会計の基礎知識である『簿記』を理解する必要があるというのが、このコラムの主旨だった。
今回は、そのまとめをお送りしたい。
1 二つの目
二つの目とは、「借方」(左)と「貸方」(右)だ。
借方には、「資産の増加」、「使途の増加」が来る。
貸方には、「資本(負債・純資産)の増加」、「源泉の増加」が来る。
2 負債・純資産
負債・純資産とは、「総資本」のことを指す。
負債は「他人資本」であり、純資産は「自己資本」だ。
3 資産
資産とは、「資本を運用している姿」のことをいう。
主なものに、現金、預金、売上債権、棚卸資産、固定資産などがある。
現金に近い形で運用している方が、万が一の場合に支払能力がある形になるので、経営としては安全性が高い。
4 貸借対照表の読み方
貸借対照表は、資産、負債・純資産から構成されている。
事業はまず負債・純資産である総資本(負債・純資産)を調達することから始まり、それを資産に投下し、経営活動を行い、
利益を獲得する流れとなる。
《事業の流れ》
総資本の調達 → 資産への投資 → 経営活動 → 利益獲得
この流れに沿って状況を読んでいけば、貸借対照表が読めるようになる。
すなわち、次のような読み方となる。
①総資本の構成はどうなのか?
自己資本の割合、負債の割合、借入金の割合など。
②総資本の資産運用はどうなのか?
流動資産と流動負債のバランス、固定資産と純資産のバランスなど。
③資産を活用した経営活動はどうなのか?
売上高と総資産の比較、売上高と固定資産の比較など。
5 損益計算書の読み方
損益計算書は、「経営成績」を表す。
つまり、『各段階の利益獲得』はどうなのかということである。
6 仕訳
貸借対照表と損益計算書を読んで自社の経営状態を正しく把握するためには、仕訳が正しくされていることが前提となる。
仕訳は、借方・貸方から成るが、その基本は次のとおりだ。
借方には基本、資産の増加、負債・純資産の減少、売上高の値引きや返品、経費の増加が来る。
貸方には基本、資産の減少、負債・純資産の増加、売上高の計上、経費の返品が来る。
仕訳や金額を間違えないことは言うまでもないが、もうひとつ『ワン・イヤー・ルール』を守ることが大切だ。
7 消費税
消費税の経理方法には、税込経理と税抜経理があるが、常に業績管理を正しく行うためには『税抜経理』が基本中の基本だ。
消費税10%の影響は大きく、それを除外して常に業績管理するためには税抜経理をしなくてはならない。
一部「税抜経理は負担になる」と言われることもあったが、会計ソフトで経理をすることが当たり前の世の中になったいま、
負担になることはあり得ない。
8 特殊な仕訳
会計にはあらかじめリスクを見積もり、そのリスクに備える機能がある。そのことを『リスクヘッジ』という。
会計の主なリスクヘッジの仕組みには、次のようなものがある。
①貸倒引当金
②月次棚卸資産の洗い替え
③減価償却
④リース会計 など
9 注意すべき科目
会計と税務申告では、収益と費用に関する考え方が一部違うので、気をつけなければならない。
会計上はこれは費用なので利益はこのぐらいと思っていると、税務上は費用にならず、思った以上に所得が増えて、
予定納税額を大きく上回ることがある。
そのことを『損金不算入』といい、税務上はその損金は所得に加えなければならない。
その一番ポピュラーなものが「租税公課」だ。
特に法人税、地方法人税、都道府県民税、市町村民税などは、損金計上できないので要注意だ。
このように、会計の理解が深まれば、それだけ経営技術を向上させられることになる。
つまり、会計のルールには健全な経営をしていくための意味が隠されているのだ。
だから経営者自身が会計に対する造詣を深めることが大切だ。
科目の読み方や意味がわかれば、健全な経営への道筋が見えてくるようになる。
もうや、「どんぶり勘定」や「勘に頼る経営」は、はるか彼方のものだ。
これからは「管理会計」と会計を読む力「会計リテラシー」が問われる。
会計はわかれば、楽しい!